右足の幅がFでした。

サブ6ランナーかく語りき

さよなら、比叡山縦走計画。 山科~比叡山~途中峠

以前から計画していた「比叡山縦走計画」。これまで2回に分けて走ってきたわけだが、今回ついに走破することができた。走破とは言い様で実質「走った」とは言えない内容ではあるけれど。過去の記録については以下のブログを参照して頂きたい。


比叡山縦走計画 過去ブログ

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▲距離32キロ、文字通り比叡山を縦走してきた。

1.山科 ~ 比叡平

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今回、そこそこの距離を走ることになるし、ほぼ山の中を行くため補給はしっかりできるよう準備した。ハイドレーションに1.5リットル、500mlのお茶1本、アミノバイタル5つ、おにぎり2つにおやつは羊羹。

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▲スタートは山科の毘沙門堂。7:00出発!

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▲いつものルートで雨社大神に7:36。すでに散歩の方がいる。

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▲林道を抜けて池の谷地蔵に着いたのが7:42。朝日がまぶしい。

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▲7:54に比叡平のオサンポカフェ。ちょうど6キロ。

 ここまでは順調に進んだ。ただ、池の谷地蔵から比叡平を抜けるまで約2キロはほぼ住宅街を進むことになる。できればトレイルでつなぎたかったのだけど、どうも私有地っぽいので断念した。


2.比叡平延暦寺

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オサンポカフェから公園を抜けてトレイルに入る際、もう少し良い入口はないかと前とは違うルートを探してみた。残念ながらそれらしい道がなかったので、前回同様のルートで行く。しかしながら、どこでどう間違えたのかケーブルの立て札を見失い何度も地図を確認しつつ、かろうじて山中町へ辿り着いた。

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▲前は見なかったNHKケーブルの注意書き。

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▲道なき斜面を下り民家の裏庭へ出た。すんません…

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▲8:24、樹下神社に到着。

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▲こんな石仏があったのか!京都白川派の石工が作ったらしい。

結局、比叡平から山中町をつなぐトレイル(6~8キロ付近)は明確でないままになってしまった。山中町側からだと登山口と思われる場所があったので、そこからルートを確立してもいいのかもしれない。
今回はもうひとつ、うやむやになっていた山中町~比叡山へのルートも探ってみた。前回気になる場所があったのでとりあえずそこへ行ってみることに。

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▲最初に現れる治山施設。前回はこのまま真っ直ぐ進んだが…

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▲左を向くと気になる場所が。遊具があるちょっと右上の方。

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▲この辺りから山に入れそう。

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▲かなり急だけど道がある。

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▲やった!トレイルに出た!これが白鳥越えか?

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▲かろうじての目印発見。間違いないっぽい。

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▲左手には遥か向こうに大比叡の頂が見える。

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▲その前に右奥に見えるNHKの建物に行く。

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▲前にも見た標石だ。9:00ちょうど。出発してから2時間経過。

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▲言ってる間にNHKの建物まで到着。京都市内一望。

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滋賀県京都府の県境をまたいでみる。あしゅら男爵か!(意味不明)

一本杉のあるドライブウェイの駐車場に着いたのが9:08。すでに観光客がちらほら見られ景観を楽しみ記念写真に興じている。もちろん皆、車でやって来ているわけだが。ここからは延暦寺に向かって進んでいく。未だ登山者とは遭遇していない。

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▲9:37、白龍大明神に到着。ここから参道を登ってケーブルへ。

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▲9:49、ケーブル比叡に到着。このショット何回撮ったことか。

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▲こっちからは琵琶湖が一望。相変わらずウサギが怖い。

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▲右へ行くと延暦寺、今回は左を登って大比叡に向かう。

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▲駅から約150mの登り。今回の最高峰に到着したのが10:09。

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▲釈迦堂を横目に京都一周トレイル北山コースを行く。

 

3.延暦寺 ~ 仰木峠

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このあたりからかなり多くのトレイルランナーと出会うことになる。ちょうど比叡山インターナショナルトレイルラン(以下HITR)の試走の方が多かったようだが、季節的にも山登り日和だし、またメジャーなトレイルということもあって登山者の方も多かった。ちなみにさっきの釈迦堂で僕を抜いて行った人は嵐山までいくそうな。

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▲お堂の前で瞑想する登山者。手前にはHITRの目印テープ。

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▲横高山の地蔵前で休憩。ここでも数人のランナーに出会う。休憩をはさみ11時に出発した。

回峰行道を進んでいると中年夫婦っぽい二人組とすれ違ったので明るい感じで挨拶したもののまさかのガン無視。確かにトレイルランナー嫌いの登山者は多いし好きになってくれとは言わないけど、せめて挨拶くらいは返して欲しい。そう思って走っていると狭いスペースに15人くらいのトレイルランナーが休憩しながらワイワイしていて、なるほどとちょっと察したところがある。

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▲他のランナーに追われるように横高山、水井山の山頂を踏む。11:17。

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▲仰木峠に到着したのが11:33。ここでだいたい21キロ。

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▲ここから大尾山方面へ。ちなみに左へ行くと鞍馬、大原方面。


4.仰木峠 ~ 小出石越え

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京都一周トレイルを離れ、大尾山へ向かって走る。しばらくは右手に見晴らしの良い景色が続く。少し行くとトレイルを抜けて林道を走って行くのだが、そろそろ足がきつい…。ここはHITRのコースでもあるんだけど、同じく「奥比叡・仰木 棚田トレイルラン大会」のコースでもある。僕は第一回大会に出場していて、完走はしたものの、怪我と暑さと水分不足に泣いた思い出深い大会でもある。未舗装率が低く初級者向けではあるけど、今年は久しぶりに出ようかと思ってる。

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▲右手に琵琶湖大橋が見える。あそこが堅田だからさらにその先(JRで二駅先)まで平行して行くことになる。

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▲大尾山到着。シャツと看板のカラーリングがシンクロニシティ

12:17、大尾山に到着。ここまで25キロ、正直結構疲れて来ていたので腰を下ろして休憩する。これがHITRの本番だとしたらかなりしんどい。あと半分もあるのか。2年も前によくぞ完走したな、自分!何てことを考えててると5人のランナーが追いついて来た。そのうち一人はさっきの横高山で出会った人だ。
「試走ですか?」と質問すると「はい、そうです」との答え。見たらわかる、バリバリのトレイルランナーだ。「(大会に)出られるんですか?」と質問を返されたのだけど、いえ僕は違うくて、ちょっとそこまで…などと意味不明な返しをしてしまった。皆、休憩もそこそこにすぐ走り出したので、僕もすかさずその最後尾へつける。この行動も意味不明だ。

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▲途中、右手に折れてみなさんは滝寺方面へ。僕はこのまま真っ直ぐ。

途中の分岐で試走組と別れ、ここからはゴールするまで誰一人出会うことのない孤独の山行になった。それはそれで全然かまわないのだけれど、普段から人が通らないのだろう、道が整備されておらず荒れてる上にわかりずらい。いやむしろ山道と言えるのか状態。結果、2回ほど大きくロストすることになった。

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▲看板はあるものの道がない。結局このあたりで30分近くウロウロしてしまった。

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▲伊香立峠の看板。Googleマップでは「小出石越え」とあるのがこのことだと思う。

通れそうな場所を模索しながらフラフラと進んでいくのだけど、一番参ったのは足元が荒れていることだ。倒木や枯枝がかなり多い。通った場所も悪かったのだろう、枯枝に擦れて膝下が擦り傷だらけになってしまった。こういう所は短パンNGだ。


5.小出石越え ~ 途中峠

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ルートが明確でないため、地図を確認しつつ境界線(県境)の上を進んでいく。境界線には「境界票」という目印がある。地面に刺さっている杭のようなヤツだ。あれを埋めたってことは人が通ったということだから、そこに道があるはずだという理論である。あながち間違いではないのだけれど、このせいで最後の最後にこれまでで一番大変な苦労をすることになった。

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▲一応看板もあるし道っぽいところもある。あるにはあるが、もうどこが道か全然わからない。

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▲14:39、見覚えのある標識発見。13年前のものか…。

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▲14:45、ついに宮メズラに到着!落書きめいた表示がうさんくさい。

紆余曲折あったけれど、なんとか宮メズラまでやってくることができた。さて、ここからあとは途中峠に下りるだけ。以前、還来神社の登山口から登った際、明確な道がなく直登を余儀なくされたことがあったので、できればそれは避けたい。マップでは逆方向に境界線が伸びている。以前読んだ本にも西側からの登山口があるようなないようなと書かれていたので、それを信じて西側へ向かう。だって後ちょっとだし!
しかしこの判断が全くの間違いだった。最初の内は境界票を辿って行くも、どんどん周りの様子がおかしくなっていく。明らかに人が通れるような状態じゃない。急な斜面に生い茂る木々。だけど境界線は続いているので下りて行くしかない。だって後ちょっとだし!しかしこれが苦難への入口だった。

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▲看板を発見するも道はない。開発区域?何これ。
距離にすればたかだか350m、しかも下りだ。すでに車が通る音は聞こえてきているので人里は近いはず。そう思っても通れるところを確保しながらジグザグに下るので遅々として進まない。元の場所へ戻ろうかという考えも頭をよぎったが、戻ったとしても逆ルートが正しいとは限らない。何よりこの急登を引き返す気力がない。

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▲見ての通り行く手を阻む木、木、木!ここまで来たらもはや後戻りはできない。半泣きで進む。

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▲下りきった!と思ったら沢があってまた登ることに。車の音は聞こえるのに全然車道が見当たらない。

所々に大きな倒木があり地盤も緩いのでかなり危険ではないのかとビクビクしながら滑るように斜面を下る。さすがに遭難したわけではないし周りも明るいのでそういう意味での不安はなかったが、もし僕が脱獄犯で逃亡中にこんな状況になったら「逃げるのに疲れました」と自首するところだ。とにかくここ近年の山行の中では一番つらい経験だった。
そうこうしているうちに、ついに目の前が開けた!やったー!出たー!

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▲と思ったら目の前に広がる人工的な景色。

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▲にわかに受け入れられない状況だが、明らかに工事現場っぽい。

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▲足下に見えるのが国道。ここは一体どこなのよ!?

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▲国道から見たところ。どうやらあのあたりに出て来たみたい。

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▲しかも左足にイヤな感覚!ワラーチのヒモを通す穴がちぎれた!

抜けた先はとある会社の工場だった。15:15、実に30分かけて山を下って苦労の甲斐もなく訳の分からない場所に出てしまった。さらに無茶な下りで負荷を掛け過ぎたようでワラーチも大破。失望した上、絶望するとはこのことだ。
周囲を探索したものの車道へ出る方法が見つからない。仕方なく工場を突っ切って外にでることにした。重機が作業する近くに建物があり、そこに守衛らしき人がいる。まさかケモノすら阻むほど生い茂った雑木林を抜けて人がやって来るとは思いもよらなかっただろう。現代の山越えハンニバル的行いに守衛さんはさぞ度肝を抜かれたに違いない。まぁ一番度肝を抜かれたのはワタクシなわけだが。

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▲どんなカタチにせよ、とりあえず途中峠まで達することができた。

予想もしない幕切れとなったが、総距離32.54キロ、8時間22分で比叡山を縦走することができた。25キロ以降はほぼ彷徨っていたような気もするが。この後、和邇駅までの8キロ、左足のワラーチをパタパタいわせながら失意の中走ることになる。ダウンジョグだと言い聞かせながら。

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▲還木神社に寄って、とりあえず無事だったことのお礼をする。

 

まとめ

昨年から構想していた「比叡山縦走計画」だが、やってみていくつか問題点が見つかった。

  1. 比叡平から山中町へのルートが不明瞭
  2. 大尾山以北のルートが不明瞭かつ荒れている

1に関しては何度か足を運べば一番よいルートがわかってくるんじゃないかと思う。ただ2については解消するのが非常に困難だ。個人の力でどうこうできる問題でもないと思う。進むことはできるものの、走れるような状態ではなかったのでトレイルランには向いていない。ただほとんど人が通らないので、静かに山行するには良いかもしれない。その際、宮メズラまで行ってしまうと下山が大変なので、伊香立峠あたりから林道に入って大原方面か滋賀方面へ抜けることをおすすめする。

結局、走るのなら大文字山から北白川へ下りて京都一周トレイルに沿って行くべきだし、大尾山から東へ抜けて仰木の里へ下るのが一番良いと思う。それがわかっただけでも今回は良しとしよう。さよなら、比叡山縦走計画。