まずはこの地図を見て欲しい。
先日読んだ「比叡山1000年の道を歩く」(竹内康之/ナカニシヤ出版)という本で紹介されていた「比叡山系縦走概念図」だ。比叡山に関係ない人には全く興味のない地図だけど、僕にとってはかなり画期的な地図だったりするのです。
普段、比叡山に行く時は大文字山を越えて一度住宅街を通ってから登山口に入るわけだけど、この地図でいくと地元の毘沙門堂から北上して山中を比叡山まで抜けることができる。そしてそのまま途中峠まで到達すれば、そこそこのロングトレイルが成立するのではないかと。
比叡山から大尾山(童髯(どうぜん)山)までは以前走ったことがあるので、今回は途中峠から比叡山まで南下するルートを確認したいと思います。
▲本にのってたこの雰囲気地図を頼りに登る。これがそもそもの失敗。
▲JR湖西線の和邇駅を降りて登山口のある還来(もどろき)神社まで向かいます。
▲午前8時、和邇駅到着。登山者が数人いたけど車に乗ってどっかに行った。
▲知る人ぞ知るワニのキャラクター。“輪っかが二つ”のマークもある。
▲まずは県道311号線まで行く。十字路のど真ん中に石碑がある。
▲え、何このやんごとなき飛び出し坊や。
ここ和邇は小野妹子の里で有名らしい。じゃあこれは飛び出し坊や妹子バージョンか。目的地は311号線を西にまっすぐ進んでいくんだけど、「小野神社」の表記があったのでちょこっと寄り道することに。
▲小野神社に到着。朝早いので誰もいない。
この小野神社、妹子をはじめ、小野篁、小野道風、小野小町などなど小野氏の氏神社。家系図みたら小野氏って皇族出なのね。小野ヤスシも小野リサもそうなのかしら。
小野篁は平安時代のお役人で、夜な夜な井戸を通って冥界へ通っていたという言い伝えがある。その井戸は僕が好きなお寺のひとつ、京都の六道珍皇寺っていうお寺にあります。どうでもいいけど。
▲わかりにくいけど奥にあるのが六道珍皇寺にある「冥界の井戸」
小野道風(とうふう/みちかぜ)は篁の孫で、和様書道の祖と言われる書家。柳の枝にジャンプして飛びつこうとするカエルを見て「無駄やん無駄やん届かへんやん」と思っていたら、風が吹いてカエルのジャンプが成功するのを目の当たりにし「マジか…やっぱ何事も努力って大切やん素敵やん」と思い直したという逸話があって、それが花札の雨の絵柄になってるヤツです。
有名な小野小町も篁の孫らしい。地元にある隨心院は小野小町所縁のお寺で、そういえばそのあたりの地名は小野という住所だわ。小野小町の本名は「小野吉子」かもしれないそうです。キラー・カーンの本名が「小澤 正志」と知った時と同じくらい衝撃。
▲百人一首の歌はあまりに有名。75歳まで生きたらしい。
▲小野氏を祀る小野神社。質素ながらも風格漂う。気がする。
▲こちらは篁を祀った小野篁神社。同じ境内にある。
ちなみに小野神社の祭神は、簡単に言うとお菓子の神様。菓子業の功績者に匠や司の称号を授与するのを担当していたのが小野道風だったそうですよ。
▲さて、先ほどの石碑のところまで戻ってあらためて目的地へ。
▲しばらくはこんな感じの何もない道を行く。
▲途中で見かけた何故かコーラ推しの自販機。
▲道が分岐しますが車道は危ないので集落の中を通ります。
▲むっちゃ名前が記入されているけど個人情報大丈夫なのか?
走ること約1時間、目的地の還来(もどろき)神社に到着しました。駅からだいたい6キロくらい。旅行安全、家内安全とのことなので今回の山行の無事を祈ります。
▲還来神社到着。
還来神社は藤原旅子という人を祀っています。タビコとはまたなかなかステキな名前だけど、この女性、平安京でおなじみ桓武天皇の皇妃なのです。33歳という若さで亡くなっているのですが、その際に「わが出生の地、比良南麓に梛の大樹あり、その下に葬るべし。」と遺言を残したそうです。そうして「還り(もどり)来た」ということで還来神社と名付けられましたとさ。
▲これが神木「梛(なぎ)の木」。この下に旅子が…!?
▲本殿の脇にも立派な大木が立ってる。
▲お守りの無人販売。カエルのお守り、ちょっと欲しかった。
ひと通りお参りを済ませた後、持参したウィダーを飲んでエネルギー補給します。神社の前には公衆トイレもあるので、ここで一度用を足して少し休憩。若い女性がひとり、神社の写真を撮ってるのを見かけたけど何かのマニアかしらん。
県道に続く橋を渡ると、道を挟んで向こう側に何やら登山口のようなものが。本の説明には「不明瞭ながら還来神社から南西へ入る谷を登路に」とあるので、わかりにくいけどたぶんそれがそうなんだろうな。
▲急カーブ注意の標識の向こうに入口らしきものがある。
▲だいぶ生い茂ってるけど、どうやらここで間違いないっぽい。
思いのほか歴史談義にひとり盛り上がってしまったので、続きは次回。全然トレイルランとか関係ないし。ひとつ懸念していたのは、走ってる時に右ひざに痛みとまではいかないまでも、やや違和感があったこと。
結局、この違和感は痛みに変わるし、地図も全然役にたたないし、今回のトレイルは思いのほか難儀することになりました。
つづきます…iparappa.hatenablog.com