右足の幅がFでした。

サブ6ランナーかく語りき

運営の感染対策が素晴らしかった話 ~ 生駒トレイルラン 2020 <夏山>

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大阪で新型コロナの感染者が初めて100人を超えた翌日に開催された本大会。

いろんな大会が延期、中止されている中、開催に不安の声もあったけど、何せ主催のアクトレップの対応が素晴らしかった。

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▲7:50に私市駅に到着。予定より早く着いた。

本大会はもともとショート20キロ、ロング30キロを同日開催する予定だったのだけれど、それを土曜日と日曜日の2日に分けて開催し、人数を分散している。

さらにゼッケンナンバーごとに受付時間を限定し、スタートも3班に分けて、それぞれ30分という結構な時間をあけてのウェイブスタート。

そんなこともあって、最寄駅を降りたときにはホントに開催されるのか?と思うくらいまばらな人出だった。

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▲駅前からルート案内がある親切。

不安になりつつ受付会場に向かうんだけど、何人か走る風の人はいるし、案内も出ているし、いそいそと前の人についていく。

僕は遅刻することにかなり不安があるタイプなので、少し早めに会場へ行くよう計算していた。そのうえ、予定より1本早い電車に乗ったものだから、人の少ない時間帯でもあったわけだ。

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▲受付に行くまでにもそこそこのトレイルを歩くことに。

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▲受付会場に到着!

8:20に会場へ到着。だけど、僕の受付時間は9時だったので、そこからしばらく待たされることに。受付時間も徹底的に分散している。すばらしい。

そりゃ早く来すぎた僕がわるい。小雨降る中、傘をさしてベンチで待機する。

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▲午前9時、第一陣のA班がスタート!

9時スタートのA班のスタートを見送った後に受付をする。かなり時間に余裕をもたせたスケジュールだ。

ちなみに、今回東京からの参加者に対して、希望者には来年度への振替参加措置を行っている。それくらい人数をしぼって開催されている。

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▲B班は9:30のスタート。1m感覚を保つようアナウンスがあった。

開会の挨拶やルール説明も各班ごとに行っていた。待機している人にはマスク着用を促したり、運営側もかなり気を遣っている。もちろんその分、労力は大変なはずだ。

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▲じゃーん!なんちゃってアクションカメラ!持ってきたけど全く使えねぇ!

以前、あやしい通販サイトで購入したカメラを持参した。せめてスタートくらいは撮影しようと意気込んでみたものの、録画された動画を見たらそれはそれはひどいもので、お見せするのもはばかられる。やっぱGoProほしい!

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▲林道を抜けたらトレイルイン!じめっとしてる。

9:30、我らB班がスタート!カウントダウンからのスタートって、やっぱテンション上がるよね。動画の撮影に気を取られて腕時計をスタートさせるの忘れてた。

スタート直後、林道を駆け上がるわけだけど、まぁまぁそこそこの坂道なのだ。もしかすると、ここで走力的な振るいにかけて、集団を分散させて蜜を避ける作戦なのかもしれない。(見事に振るい落された)

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▲のっけから階段を上らせるスタイル。

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▲前方に広がる飯盛霊園。

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▲霊園の中はウォーキング指定区間。今回は2か所あった。

どうでもいいけど、僕の偏見では生駒=霊園のイメージだ。なんでだろう、昔テレビでCMを見たりしてたからかな。

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▲霊園を抜けたら国道沿いを行く。ここもウォーキング指定。

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▲この交差点までは歩いて進む。

信号待ちで10人ほどのランナーが足止めされる。こういう時、僕はたいてい後ろから付いていく派なんだけど、久しぶりの大会なので、ここはひとつ先陣決めてやんよ!と思い立ち、信号が青に変わった瞬間に躍り出た。

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▲国道から山手の方へ。

案の定、トレイルに差し掛かるまでに抜かれ、トレイル入ってから抜かれ、ちょっと格好悪い展開になったけど、果敢に攻めた自分を褒めてあげたい。そう、僕は自分に甘い。

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▲しばらく登りが続く。

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▲このあたりはまばらではあるけど、何人かのランナーの姿が見られた。

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▲坂を上ると堂尾池。農業用のため池兼、環境回復を目的につくられたらしい。

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▲階段が続く。今回のコースは思いのほか階段が多かった。

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▲第1エイド、発見!人、少な!

10:30、スタートからちょうど1時間で第1エイドに到着。

今回、エイドには感染対策として水しか置いてないとのことで、コップは受付時に配布し、手づかみ系のものは置いてなかった。とはいえ、個包装のマシュマロやタブレットは用意してくれていたし、アルコール消毒も完備していたのは運営のやさしさ。

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▲エイドには最低限の補給。それでも冷たい水をもらえたのはありがたかった。

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▲いつものパウチをマイカップにし水を飲む。

第1エイドではさっきバシバシ抜かれたこともあり、水だけ補給し歩きもって休憩する。っていうか、エイドで休憩している人、いなかったなぁ。

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▲野外活動センターの中を通過していく。

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▲室池に到着!

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▲このあたりは走りやすかったけど、ところどころ地面が滑る。

しばらくは前の方に一人、ランナーを見ながら走っていたけど、このあたりからいよいよ前後の間隔が空いてきて、ほぼ独りみたいな感じ。

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▲国道8号線に出た。歩道橋を渡って向こう側へ。

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▲しばらく郊外の工業地帯的なところをダンプと並走し…、

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▲ここから再度トレイルへ。

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▲右手に阪奈カントリークラブを見つつ、狭いトレイルを行く。

心配されていた雨も、僕が走ってる間はほとんど降ることもなく、思いのほか暑くなってきた。スタート前は気温が23度だったので、涼しいかもなんて思っていたけど、そんなはずはない。だって7月だもん。

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▲道がぬかるんで登りがつらい…

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▲ぬかるみのトレイルを脱して林道へ。しばらくは坂道を登る。

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▲ぬかた園地までもう少し!ということは第2エイドももう少し!

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▲大阪を見渡す眺望。

あと少しでエイドだ!と思った瞬間、後ろから「おさきです」との声。横を見ると女性ランナーが僕をかわしていく。

マジか!もう追いついたの!?速い人にはいずれ抜かれるだろうとは思っていたけど、ちょっと速すぎない?僕が2時間掛けて走ったところを1時間半で来たことになる。

そんな彼女はエイドで水だけ補給してすぐさま走り去ってしまった。

それを見て僕までゆっくりしているわけにはいかない。同じく水だけもらって足早にエイドを立ち去る。

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▲第2エイドでも冷たい水だけ補給して先を急ぐ。

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▲この写真ではわかりにくいけど、石階段を水が流れ落ちていた。
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▲ぐふふ、抹茶ようかん。

とは言え、僕の場合は歩き休憩区間なのだ。身体は前進しているけど、心はいまだ第2エイド。武奈ヶ岳で口惜しい思いをしたので、甘いモノを持ってきた。

これで僕の抹茶ようかんへの思いも成仏されただろう。霊園で眠れ。

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▲階段を上りきったら一気に坂道を駆け下りる!

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▲両脇にあじさいが咲いてるゾーン。このあたりのあじさいは関西最大級なんだって。

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▲次のエイド、なるかわ園地までは1.6キロ。

ようかんへの思いに決別し、勢いよく舗装路を駆け降りる。この区間、そこそこの距離を走るんだけど、道の両側にあじさいが群をなしていて、調子よく走り抜けることができた。

だけどそれもここまで。今思えばここからが泥との闘いの始まりだった。トレイルに入ってから細い道を下るんだけど、若干傾いていて、ぬかるんだ道はかなり危険だ。

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▲えらい滑るなと思ったら、足裏はこんな感じ。溝が泥でうまって滑る!

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▲どろどろゾーンを越えるとまた林道へ。っていうかだいぶ下ってきた。

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▲人里へ抜けた。

第2エイドのあたりがおそらく今回の最高峰で、537m。そこから一気に80mほど下ってきた感じ。たよりにならないGPSウォッチの計測なので定かではないけど。

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▲なるかわ園地の入り口に到着!

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▲第3エイド到着!トイレもあった。

第3エイドに到着。スタートから2時間45分。ここで気付いたんだけど、ほとんどみんなエイドで休憩しないんだよな。30キロだからって短期決戦なの?

そんな空気に背中を押されて僕もやっぱり休憩せずに歩きだす。ま、食べるものもないし密を避けるためにも止まらない方がいいしな…

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▲またも階段を上っていく。

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▲ここからも大阪の町が見える。東大阪あたりかな。

エイドから石段と坂道を登らされるんだけど、ここでかなりペースダウンしてしまう。

前の人には置いて行かれ、4~5人に抜かれる始末。そして右ふくらはぎが今にもつりそう。ぴくぴくしとる。

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▲ここまで登り切ったら下りメイン!

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▲が、しかし!路面はどろどろのどろ。

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▲結構えぐい。そして危ない。

しばらく下りが続く区間になるんだけど、困ったことにここの路面がひどくぬかるんでいた。

おそらく通常であればダウンヒルよろしく颯爽と駆け降りてタイムも稼げるエリアなんだろうけど、今日ばかりは正反対。

滑ってこけて怪我でもしたら大変だ。ややへっぴりではあるけれど、安全第一で進む。

このあたりからワラーチへの負荷が気になっていたけど、あと10キロきってるし、とりあえずそのまま進む。

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▲十三峠の方へ向かう。

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高安山まで6.1キロ。ということはゴールまで7キロくらいか?

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▲突如あらわれるキノコのオブジェ(?)。なにこれ。

小刻みなアップダウンが続くコース、結構キツい。その上、この地面。どろどろだし、足を踏ん張って変に力が入るし、太ももの付け根も痛くなってきた。

そうこうしてる内、ぬるぬるの下りで文字通り足元をすくわれてしまった!身体を反転させ、うつ伏せの状態で手をついたので身体が汚れることはなかったけど、手がどろどろ。うえーん。

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▲ここにも!今度は赤いキノコ。

今にも泣きそうな状態で坂を越えると向こうから声がする。

エイドだ!第4エイドだ!

ほっとして舗装された階段を駆け下りる。一気に緊張から解放されて気が緩んだためか、ワラーチが階段にひっかかってしまった。

その状態で段差を降りたものだから、鼻緒の部分がちぎれてしまったのだ!がちょーーーん!

 

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▲左ワラーチの鼻緒部分が壊れてしまった…

まずはどろだらけの手を何とかしないと、というわけでエイドで手を洗わせてもらう。水道とかないんだよな。ポリタンクからちょろちょろ出る水でどろを洗い落す。

さて、この状況をどうするか。

ワラーチで山へ行く際、僕は必ず予備のヒモを持ち合わせている。もちろん今回もだ。

なので、応急処置として鼻緒の穴にヒモを通し、切れていないヒモとくくりつけた。

見た目はいまいちだけど、なんとか走れそう。

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▲とにかく進む。ゴールまでもう少しや。

もはやエイドに寄らずゴールを目指す人もいて、大会もいよいよクライマックスな感じ。運営の方の話ではあと4キロほど。

左ワラーチは首の皮一枚で持ちこたえてる状態だけど、いける、いけるでー!

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信貴生駒スカイラインに出て、並走するかたちで進む。

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▲十三峠の石仏があった。

スカイライン沿いの狭い狭い未舗装路を進む。相変わらずどろどろだ。だけどもうちょっと!前のランナーが近づいてきた。ぬかしたるー!!

道を譲ってもらって駆け降りた時、右足に異変を感じる。そうこれまでも感じたことのある、無重力になったようなあの感覚…

足元を見る。間違いない、とうとう右ワラーチまでも大破したのだ!

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▲右ワラーチのヒモを通す箇所がブチ切れ。もはや修復不可能…

落胆する僕を見たランナーが「大丈夫ですか?」と声を掛けてくれる。あ、どうぞ先に行ってください…と力ない笑顔を精一杯浮かべて両手を差し出す。

さて、どうしたものか。どうしたもこうしたもないけど。

ここは…そう、伝家の宝刀、裸足ランを見せる時!実はさっきのエイドでも裸足になることは頭をよぎったけど、ゴール前だけいきりやがってと思われても恥ずかしいので、その案は却下したのだ。

そうと決まれば心も軽い。ワラーチをザックにくくりつけ、いざ山裸足!ひゃっほい!

幸い、どろだらけの地面が足裏にやさしい!もはや泥パック!いや、全然違う!

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▲だってこんなだぜ?

と、独りでニタニタ走っていると、先ほどのランナーが立ち止まってる。どうしたのかしらと思っていたら、「あの、これ。僕もう使わないんで良かったら足に…」と、おもむろに肘用サポーターを差し出してくれたのだ。

うお!マジか!あんた神か!さっきの十三峠の石仏か!

人の本質は極限状態にこそあらわれるっていうからな…この方、本当に親切な人なんだろうな。

そういや過去にもトレランの大会で塩タブレットをわけてもらったり、坂道を引っ張ってもらったり、親切してもらった経験は何度かある。なんてやさしい世界なんや!

とはいえ、裸足で大丈夫という旨伝え、せっかくのお申し出だったけど、丁重にお断りする。あの時のランナーの方、どうもありがとう!!

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▲狭苦しいトレイルを行く。

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スカイラインの下をくぐる。立石越えというところかしらん。

さて、ここでもひとつ素敵な出会いがあった。トンネルの写真を撮っていると、後続の方から声を掛けられたのだ。

「裸足ですか!勇者ですね!」

いやいや、スタートから裸足なら勇者かもしれないけどね。とか思いつつ、勇者なんて言われたらイヤな気はしない。

この方、徳島の方で朝3時に車で大阪へ来て、この大会に出ているらしい。

なんでもトレイルの大会はこれが初めてとのことで、僕はメモリアルな瞬間に立ち会えたというわけだ。

もともとマラソンやウルトラを走ってる方とのことで、四万十川の大会をかなりオススメしてくれた。行けるものなら行きたいっす。

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▲ついに駅の表示が見えた!

そんな方だけど、僕の足を見て「縄文人ですね」と言い放つあたり、肝が据わってる。そもそも初対面の人に「縄文人」って言う?

っていうか、初対面の人に「縄文人」って言われたの3回目なんだけど。いやまあ「弥生人」ではないのは自分でもわかるし、特に嫌な気はしないし、どちらかというと心の距離は縮まった感じ。

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▲最後の下り!砂利が痛ぇ。

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▲ゴール!

後半、そんなこんなでいろいろあったけど、怪我もなく無事にゴールしました。久しぶりにゴールテープを切ったら、なんかちょっとうれしくなったよ。

ゴール付近には運営の方が数人しかおらず、お世辞にも盛り上がりのある状況ではなかったけど、個人的には充実の大会でした。

今回、いろいろと工夫をこらして対策をし、大会を開催してくださったアクトレップ運営の方々には本当に感謝です。ありがとうございました!

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▲ゴール直後、土砂降りに。ギリギリセーフ。f:id:iparappa:20200726112031j:plain▲4時間30分の山行でした。

30キロとは言え、計測では実質26~27キロくらいだった今回のコース。僕はだいたいキロ10分ペースで進んだことになる。

こないだ、独りで30キロ走った時は途中で走るのに飽きてしまったけど、今回は逆にあっという間のゴールだった。

身体はしんどいしワラーチも壊れてるけど、正直、もうちょっとだけ走りたいなと思える、いい大会でした。

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▲帰りはケーブルに乗りました。