右足の幅がFでした。

サブ6ランナーかく語りき

京都一周トレイル グランドトラバース 65 完走の記録

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2017年9月2日、「京都一周トレイル グランドトラバース 65」に参加してきました。これまで東山コース、北山コースと分割されてきた大会ですが、両方を一日で走りたいという声に応えて開催された記念すべき大会。第一回大会ってのは魅かれるし、関西でロングトレイルを走れる大会って少ないし、しかも今回はゴール地点が地元だから歩いて帰れるし…ってなノリで出場したわけです。

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▲今回の荷物。あとこれにハイドレーション1.5リットル。

エントリーした後、よくよく見ると制限時間が12時間。昨年走った比叡山インターナショナルの記録は50キロで11時間…累積標高が異なるとはいえ、15キロ増しの距離をプラス1時間で行けるのか、と考えたらかなりあやしい。しかも関門制限が2か所あり、2つめの比叡山で47キロ9時間、むしろその方が厳しい設定。さらにここで関門アウトになるとエスケープが非常に面倒になってしまう。だから絶対通過したい。というわけで、今回は47キロを9時間で走る大会と想定して臨みました。どう考えてもキツいもんはキツいけど。
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▲もうすぐスタート。175人が出場。
8:00からのウェーブスタートで、僕は2組目の8:05出発。事前のブリーフィングで37キロの第四エイドにも関門が設定されることに。マジか。

トレイルのレースではよくあるけど、マイカップ持参というのがあります。実際は運営のご厚意で紙コップを用意してくれてるので持っていかなくても何とかなるのだけど、今回は以前何かの記事で外国人選手がジェルの空きパックをマイカップにしてるってのを読んだこともあり、いきがってマネすることに。

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▲マイカップはVAAMを切って持ち運ぶ。これ、思ったよりいいわ。
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▲スタートは2組目の8:05。ルナサンダルの人、ひとり見つけた。

午前8:00、京都グランドトラバース65がスタートしました。しばらくは嵐山の観光地を走ります。このあたりはウォーミングアップって感じ。六丁峠までの登りは早速歩くわけだけど、先はまだまだ長いので本大会は積極的に歩くつもり。そのかわり下りは飛ばす。この下りでもそこそこスピード出して10人くらい抜いていく。

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金鈴狭、錦雲渓と清滝川沿いを走る。岩がゴツゴツして滑りやすいけど総じて比較的走りやすい区間が続いてスタートから8.5キロ、最初のエイドに到着しました。この時ちょうど9時。自分なりにはなかなか良いペース。
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▲第一エイドの清滝橋。
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▲高雄を抜けていく。天気いい。

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▲現在の気温は26度。暑いけど真夏ほどじゃない。
この大会、人が多い場所や国道沿いの危険な場所はウォーキング指定区間に設定されていて、走ることが禁止されてます。走れる人にはもどかしい区間かもしれないけど、僕にとったら公然と休める区間なので、そこそこ助かりました。ここ高雄から福ケ谷林道へ向かう数百メートルもウォーキング指定。

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▲福ケ谷林道の登りで自作トレイルバーをポリポリ。
福ケ谷林道から沢の池まではずっと登り。試走した時に決めていたけど、ここは歩く。パワーハイク。でもなんか前の人とどんどん距離があいていく。くそ、歩幅のせいか?あらためて登りで歩くの遅い…。林道からトレイルに入ってからも登りは続きます。上ノ水峠まで思いのほか登りがキツかった。「下りで稼いで、平坦で使って、登りで借金」のスタイルよろしく、バンバン抜かれていきました。

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▲第二エイドの山の家はせがわ。
でも抜かれたって気にしない。第二エイドでも水分補給してすぐに出発しました。その代わり5分間は歩きながら休む。そう決めるだけで気持ち的に安定してたかも。歩くのには変わりないけど。

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▲エイドで補給したお茶片手に徒歩休憩。

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▲エイドから氷室別れまできっちり5分。
ここまで歩きもって休んだわけだけど、まだしばらく登りが続くのでさらに歩く。何か歩いてばっかな気もするけど、この後に向山が控えてることを僕は知っている。RPGで言えば中ボス。そのためにも今は虎視眈々と歩き。
氷室神社、盗人谷を走りぬける。この時点で足裏が結構痛い。とくに右カカトで何か鋭利な石を踏んだらしく、重さがかかると痛みがひびく。でももう少し、もう少し行くとドボンポイントがある。そこで足を冷やして顔を洗う。それを楽しみに走ります。

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午前11時、やってきました向山。試走含めたらこれで三度目のトライなのでもはや無心で登ります。ただここに来て問題が二つ。ひとつは今にも足がつりそうなこと。とくに右ふくらはぎは力を入れるたびにピクリピクリと、あたかも俊足ランナーが一塁ベースからリーリーリーと言わんばかりの状態。塩サプリをバリバリ食べても症状は変わらず、何度か立ち止まってストレッチをする。

もう一つは右ひざ。下りを意識的に飛ばしたせいか、かなり負担が来てる。深刻なほどではないしまだ何とかなるレベルだけど下りで踏ん張るとぶっちゃけ痛い。右足薬指は相変わらず腫れてるし(お盆休みに石にぶつけた)、右カカトも痛いし右足災難続き。
でもロングトレイルだとそういうこともあるし、想定内のことなので何とかだましだまし進んでいきます。

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▲前半の山場、向山を抜けて鞍馬までのウォーキング指定。
懸念していた向山、二ノ瀬から貴船までの登りも無事にクリア。悲観的にならず登れたのは自分でも少し驚き。普段、しょーもないことを考えながら登ってるんだけど、今回は余計なことは考えず集中できた気がする。そういやフリーダイバーの篠宮龍三さんも「脳が一番酸素を使う」って言ってたしな。いつも余計なエネルギー使ってるんだろな。

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▲第三エイドの鞍馬駅前。14時関門だから余裕あり。
貴船口から鞍馬までは1.5キロのウォーキング指定。かなり長い間歩かされました。でもその間に冷たい水を買ってちょびちょび飲みながらトレイルバーを食べつつ補給。実はこの時点で自作トレイルバーが気持ち悪くなって、これ以降は食べてません。8本持って来たのに3本が限界…。もうちょっとあっさりしたのを作りたい。

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▲目の前には鞍馬寺。観光客も多かった。
鞍馬のエイドに到着したのが12:30。関門時間の14:00までには十分のペース。ここで荷物を整理します。ハイドレーションも補給しようかと思ったけど、まだ結構残ってたのでそのまま。自販機でポカリを買って、ここも足早に出発します。
鞍馬から薬王坂を越えると、次の大原エイドまでは大きな登りもなく僕にとってはボーナスエリア。出来る限り歩かず走ります。平坦なら足もそんなに痛くない。30キロは越えたけど今日はホント調子いい。

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▲静原を行く。のどか。
しばらく行くと静原の公園前を通る。ここは東山コース、北山コースの大会でゴールに設定されているところで、公園前では子供たちが簡易プールで水遊び。お母さんがホースで水をまいていたので、通り過ぎざまに頭にかけて欲しいと頼んだら快くOKしてくれて思わぬところでクールダウン。勢いあまってパンツまで濡らされたけどそれも愛嬌。

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林道を抜けて国道を渡って江門峠からトレイルに入ったのだけど、その入口にあった石につまずいてスリップ。右ひざをすりむいてしまった。いやもうね、今日はホントに右脚が呪われてるんじゃないかってくらい。細かいこと言うと擦り傷も2か所ほどあるし。

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▲第四エイド到着。15時関門が追加された場所。
大原の集落を走って13:40、ついに第四エイドに到着。自分が予想してたより1時間ほど早めに着いた。もうこのあたりになると選手もばらけていてエイドもこんな感じ。水分補給に順番待ちもしないくらい。ここで頭から水をかけてもらい、梅干し食べて5分ほどで出発。この後に待ってるのが本大会のメインとなる比叡山越え。登りがキツいのはわかってるから、時間を掛けてボチボチ登ろうという作戦。
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▲ここからがクライマックス。仰木峠から水井山、横高山を経て比叡山へ。

しかしここで思ってもみないことに後ろから声を掛けられる。「もしかしてダイトレ出てました?」はい、出てました。なぜそれを?どうやら声の主も前回のダイヤモンドトレイルに参加していたとのこと。実はゴールした後、僕が控えめだけど真剣にワラーチをオススメしたその人だったのです。

えぇ!覚えてますとも!なんとまあ、その時のことを覚えて頂いていたとは超うれしい!そんなわけでしばらく談笑しながら一緒に進みます。ナカシマさんという大阪の方で、トライアスロンにも出場されている(!)陽気でバイタリティある方。まさかの再会にテンションも上がりつつ、歩きもって標高も上がりつつ、トレイルのこと、トライアスロンのこと、走った後はコーラだよねとか、粉飴を使った自作栄養ドリンクがマズいとかとか色々なことを話しました。すると不思議なものでキツいながらもあっという間に急坂を登りきることができました。
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▲登りをずっとリードしてくれたナカシマさんと。
僕は普段、独りでトレイルを走ってるし誰かと一緒に走ることはないのだけど、今回の様に苦しい場面で今を共有できる人がいるとすごく心強いというか、つらさが2分の1になるというか、正直なところかなり助けてもらいました。たぶん独りで登ってたら悪態ついて苦しいだけの登りだったと思う。この後もナカシマさんとはゴールまでご一緒することになります。
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▲足は完売だけど笑顔が出せるくらい気持ち的にはまだ大丈夫。
仰木峠を越えればもうすぐ次のエイドだ、と勝手に思い込んでいたけど、登りきってからも先は長かった。この時はもう足がつりそうなことはなかったけど、相変わらずヒザが痛くて下りがきつい。足裏も結構敏感になってきてる。それでも時間的な余裕もあってかメンタルも大丈夫だし、心肺も問題ない。半分は過ぎたとはいえまだ20キロはあるので無理のないペースを保つ。

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▲まだまだ登りは続く…

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▲794mの水井山。平安京かッ!
本コースの最高峰、水井山に到着したのは14:50。結局、次のエイドまでは1時間ほどかかるんだけど、なんせ下りが痛い。水井山からの下り、横高山からの下りは結構な坂になってて登りと同じくらい時間が掛かってしまったと思う。もうこのあたりまでくると、ほんと足を上げてる感覚と実際に上がってる高さに差があって、危うくつまずきそうになる。なので慎重に足を運ぶようお互い気を付ける。

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▲大原の里を見下ろせる比叡山のビュースポット。とにかく足が痛い…

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▲第五エイドのケーブル比叡から。1時間前に関門突破!
延暦寺でトイレに行ったナカシマさんとは第五エイドで再び合流。何とか最後の関門をクリアできたことを喜びあってしばし休憩。といっても、あまりゆったりはできないので16時過ぎに出発します。どうでもいいけどこのあたり砂利も多いし足裏痛いし。

比叡山の下りに入ってもナカシマさんのリードですすんでいきます。もう一人後ろについてる方がいて、いつの間にやら3人パーティーで下っていきます。途中の沢で顔洗ったり足冷やしたり思い存分、水と戯れます。女性ランナーが「気持ちよさそうですね」と声を掛けて行ったけど、確かに女性が沢でプルプル顔を洗ってる姿は見たことないな。いろいろ事情があるんだろうな。

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さっきのエイドが56キロ地点。この先、僕自身の最長記録のランになるわけだけど、比叡山の長い下りも基本走り抜けることができて、この状態でも走れてる自分に驚いたくらい。いやしかし、もしこれがひとりだったら歩いてたし止まってたしもっとゆっくり走ってたと思う。そうならず力を発揮できたのはやはり協走のおかげだと確信しています。

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▲大文字火床から。夕日がまぶしい。
ナカシマさんが「建物全部が金閣寺みたい」とボソリ。確かにその表現がしっくりくるほど夕日に京都の街並が映えてた。こんな時間にこんなとこ来ることないからなぁ。えぇもん見れた。景色を愛でる余裕もあるよ、コンチクショウ。大文字山頂でも写真を撮る。見知らぬランナーの写真も撮る。だって後は下るだけ!
山頂を出発したのが18時過ぎ、この時はまだ夕日の明かりが残ってたけど下りの途中でいよいよ真っ暗に。足はフラフラだし根っこや石につまずくしで危なっかしい走りだったけどナイトトレイルの雰囲気も味わいながらゴールに向かいます。

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大文字山を下りきる頃には真っ暗。でも、もうすぐゴール。
暗闇の向こうに誘導灯の明かりが見える。最後はもちろん走る!でもゴール前に50mほど絶妙な登り坂がある!キツいけど登りきる!そして10時間54分31秒、無事に65キロ走りきってゴール。ナカシマさんとゴールテープをきってがっちり握手。第四エイドからのコース後半、大きな助けをもらいました。ホントにありがとうございました!

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▲無事ゴール!

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▲フィニッシャーTシャツももらえた!うれしい!

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▲計測結果。平均タイム10分は自分としては上出来。

今回、試走してコースをあらかた把握できていたのが大きかったし、課題にしていたエネルギー補給、これも十分できたと思う。登りが弱いのは仕方ないけど、その分潔く歩いて回復する区間を設けたのも良かったと思う。あとは何といっても良いペースで一緒に走ってくれる人がいたことが大きかった。そんな自己分析だけど自己最長記録も更新できたし大きな怪我や故障もなく走りきれたし、京都グランドトラバース、大満足の結果でした。

 後日談ですが、延暦寺からの下りや大文字山の下りのガレた場所で足裏が妙に痛いなと思っていたら、ワラーチのソールに穴が空いてボロボロになってました…。そりゃ痛いわ。また新しいの作らなきゃ。

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