右足の幅がFでした。

サブ6ランナーかく語りき

東海自然歩道:比叡山中腹を行く

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 今年、トレイルの大会はもう出る予定がないのでちょっと物足りない気もするけど、気持ち的には何となく気楽な感じ。気ままに裸足を楽しみつつのんびり山を走ろうと思って大文字を登ったものの、思いのほか調子良かったのでそのまま比叡山へ。先日走った京都グランドトラバース65のコースを逆走するカタチになるんだけど、その時の記憶を思い出しながら登ります。

普段、バプテスト病院の登山口から瓜生山を越えて京都一周トレイルのルートに沿って比叡山を登るのだけど、今回はいつもと違うルートを選択。実は比叡山って登山道がむちゃくちゃたくさんあるんですって。昔の参拝道とか。途中、東山67番の標識まではいつも通り登って、そこから真っすぐ進みます。ちょうど石鳥居が目印の場所。

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▲石鳥居。今日はここからスタート!

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▲京都一周トレイルでいうと東山の67番目。左に行かず真っすぐ。
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▲しばらく林道を進むことになります。

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▲地図右の「東海自然歩道」と書いてあるところへ向かう。

上の写真の通り、このあたりは治山事業の対象区域で治山施設(ダムみたいなやつ)がたくさん設置されています。建設資材の持ち運びのためもあってか道もある程度整備されていてトレイルというよりはほぼ林道。走りやすくはあるけど、山登り感は乏しいし、何より砂利が足に痛い。

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▲こんな感じで砂利道の林道。

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▲こまかい砂利が痛いのでワラーチで走る。

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▲お!ヤスデ発見!小さい。

整備されているとはいえ、全く人ともすれ違わないし道に雑草も生え放題だし、あまり通る人もいない様子。いまいちマイナーっぽいルートっぽい。そのためか、虫やらトカゲやらヤスデやらをたくさん目にする。でも動物は見なかったなぁ。

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▲川に出た。このまま手前の石橋を渡って奥へ進んで行くけど…

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▲橋を渡らずとりあえず川へ入る!水、冷たい!

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▲まだまだ林道が続きます。

このあたりからしばらくは小川沿いに進みます。水がきれい。修学院を流れる音羽川という川があるんだけど、その源流がこの先にあって、音羽川、高野川、鴨川と水系がつながってます。鴨川からは桂川、途中、宇治川と木津川と合流して淀川になって大阪湾へとつながります。

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▲結構な数の治山施設。

どうやらこのあたり20年くらい前に山腹が崩壊して土石流が流れたらしい。そういった被害をなくすために治山施設が作られているそうな。

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▲謎の小屋発見。何かの施設だけど誰もいない。

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▲ここは右へ。鳥居が見える。

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▲稲荷神社。鳥居が朽ちてるし祠も古い。

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▲「辨才天道」と書かれた標石。無動寺への参詣道だったみたい。

無動寺は比叡山における千日回峰行の拠点となるお寺。そこへの参拝道は無動寺道と呼ばれていて、いくつも道が伸びてます。昭和2年のケーブル開通でそこを通る人も少なくなったようだけど、江戸時代や明治時代はそこそこ賑わっていたのだそう。

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▲ここの分岐は右の舗装路へ。ホントは左が正解だった。

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▲バイクや車のエンジン音が聞こえる。

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▲閉じてる門の向こうに車道が見える!

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比叡山ドライブウェイに出ましたー。道の向こうに標識がある。

神社からしばらく行くと比叡山ドライブウェイを横切ることになります。地図ではトンネルがあるって書いてあったけど、どうやら間違えたみたい。ドライブウェイは歩行者進入禁止。車もかなりのスピードで走っているので横切る時は気をつけましょう。

ドライブウェイを横切ると東海自然歩道に入ります。ここを北に上がると無動寺を経て延暦寺へ至りますが、今日はこのまま滋賀県側へ下っていきます。ちなみにこの「東海自然歩道」ですが、東京の高雄から大阪の箕面まで続く長さ1697キロの自然歩道。ところどころ住宅街を抜けたりしてわかりにくい場所もあるけど、いつか走破してみたい。

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▲見えていた標識がコレ。どうやらこの小道が東海自然歩道みたい。

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▲ここから自然歩道を走ります。

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▲まずは夢見ケ丘を目指す。何となく相川七瀬の曲が頭をよぎる。

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▲こっからは山裸足。

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▲イイ感じのトレイル。人の気配も全くしない。

人の気配はしないものの、トレイルはしっかり整備されていて、ずいぶん長い丸太階段が続く。結構な下りだけど、地面も優しい感じだし裸足でも問題いなしヒャッホイ!

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▲階段があるからちゃんと手入れされてるっぽい。

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▲っていうか、階段多いな、おい。

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▲振り返れば丸太階段…これを登ると思ったらゲー出るわ。

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▲階段を降りきると開けた場所へ。

下りきったら少し広場のような開けた場所に。ここで生い茂る木々に標識を隠されていて、危うくこのまままっすぐ進んでしまうところだったけど、たまたま沢で顔を洗おうとかがんだら標識が見える。これに気付かなかったらもう取り返しがつかないくらいどんどん下っていたと思う。

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▲このまま真っすぐ進もうとした時、茂る木の向こうに何やら看板が…

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▲夢見ケ丘は逆方向だった。あぶなかったぜ…

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▲草が茂ってわかりにくいけど向こうに渡ります。

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▲ひっそりと標識が立っている。

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▲こっちで正解。夢見ケ丘まであと400m!

正しいルートを見つけた喜びもつかの間、次はガシガシ登らされます。いや、これがね、かなり厳しい。たぶん今回のルートでは一番しんどかったかも。誰もいない山奥で独り黙々と坂を登る。何やってんだろ感はもちろんあるんだけど、それより修行感というか特訓感があって、かろうじて頑張れる感じ。登りに義務を感じたらもう山に行かない。

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▲ここからつづら折りが続きます。

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▲地図に載ってるややこしそうな場所がここかッ!

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▲何とか登りきってここを右へ。

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▲ドライブウェイのサービスエリアのような雰囲気。
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▲ここが夢見ケ丘です。

トレイルを登りきったら夢見ケ丘に到着。ドライブウェイのサービスエリアになっていて、結構な人が休憩してました。何故かザリガニ釣りとかあるし。実はこの時、飲み物が残り少なくなっていたのでだいぶ助かりました。自販機でお茶を購入。駐車場がある場所とは逆方向、琵琶湖が臨める場所に腰を下ろしてしばらく休憩します。

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▲展望も良し。

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▲じゃーん!本日の甘いモノ。ファミマのどら焼き、秋バージョン!

天気もいいし、見晴らしもいいし、ちょっと長めに休憩をしてから出発します。さっきの標識まで戻って、崇福寺跡の方角へ向かう。途中、ザ・山ガール、山ボーイといういで立ちの二人とすれ違ったのだけど、山登るのに何であんなオシャレになるのかしら。こっちはサンダルにユニクロTシャツなので正直バツが悪い。っていうか、僕もHOUDINIのオシャレウェアが欲しい。

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▲柵もあるし走りやすいんだけど…

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▲隣の杭が妙に圧迫感ある。

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▲ここは右。左へ行くと壷笠山方面。

今回は寄らなかったけど、壺笠山の山上には壺笠城跡があります。織田信長と対峙した浅井・朝倉連合軍が立てこもった城だそう。この後、信長による有名な比叡山焼き討ちが行われます。

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▲しばらくは草の生い茂るトレイルが続いていたけど…
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▲またしても砂利道林道。

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▲足裏痛いのでワラーチ装着。

壺笠山の分岐からはいくつかの治山施設を越えて山を下ります。どうしても林道になっているので砂利がひいてあって足裏が痛い…。

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▲手前とわかりにくいけど奥にも分岐あり。

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▲手前は弥勒堂跡。

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▲奥は崇福寺金堂跡に続いてます。

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▲その近くには金仙滝という小さな滝がある。滝の横に四角い洞穴がある。

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▲近くでマイナスイオ…ぶおっ!

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▲さらに下るとY字路に出る。

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▲振り返ると右が弥勒堂跡、左が崇福寺跡へ続いてる。

崇福寺というのは天智天皇が大津遷都の翌年に建立させたお寺。歴史の教科書にはあまり出てきませんが、ここ大津にも都がありました。大化の改新が645年におこり、勝利した中大兄皇子天智天皇になった後の667年、飛鳥京から遷都されたのですが、その頃のお話。

崇福寺建立の経緯を簡単に説明すると、

天智天皇はお寺建てたいなぁと思っていた。

夢にお坊さんが現れて「西北に霊廟あるで。そこ行ってみ」と言う。

行ってみたら霊廟があってそこに老人がいた。

老人「ここがその霊廟だぜ」といって消えていった。

というわけで、ここや!と思った天智天皇崇福寺を立てたらしい。さっきの金仙滝の横にあった洞穴がその霊廟だそうです。

どうでもいいけど、JR湖西線の「大津京駅」は都にちなんでつけられた名前で、僕が子供のころはまだ「西大津駅」という名前でした。

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▲近くにあった略図。略しすぎ。

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▲もうだいぶ下山した感あり。もうほぼ道。

ここをさらに下ると石仏があります。石造阿弥陀如来坐像、通称「志賀の大仏」。高さ3.5メートル、幅2.7メートル、巨大とまではいかないけど、石仏としてはそこそこの大きさ。造られたのは室町時代らしく、往来する旅人が安全を祈願していたそうな。

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▲でた!「志賀の大仏」!「おぼとけ」と読む。「おとぼけ」みたい。

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▲なんと柔和な。お線香あげました。

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▲ついに人の営み感のあるところまで下りてきました。

これまでもいくつか史跡がありましたが、もうひとつ山側に「百穴古墳群(ひゃっけつこふんぐん)」という遺跡があります。時代はさかのぼって古墳時代、大きな石を積み重ねて作ったお墓(横穴式石室)がつくられました。この一帯にはたくさんの古墳があることから「百穴」と呼ばれるようになったとか。

詳しいことはわかってないけど、こういったお墓の特徴は中国や朝鮮半島からやって来た人と関わりがあると言われています。百済系渡来人の中心地があったとも言われていて、現在の大津から志賀町まで居住地が伸びていたらしい。
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▲入口にはもう少し後世のお墓が並んでる。

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▲これが古墳。石、でかい!

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▲中はこんな感じ。土器やお祭り用の炊飯具セットも出土したらしい。

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▲ついに下山、琵琶湖見える。

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大津京駅に到着ー。文字の上に何気に鳩が。

下山後、しばらく住宅街を抜けて無事、大津京駅に到着。夢見ケ丘以降は寄り道もして結構ゆったり走った感じ。今回走ったコース、林道以外は裸足でも全然大丈夫だし、行き交う人も少なくて静かだし、史跡なんかの見どころもあってなかなか良いトレイルでした。今回ルートは下記の通り。

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▲実際は大文字山を越えて北白川から入山してます。

 大比叡の山頂までは行かず比叡山の中腹を西から東へ抜けた感じ。縦に走ってる道が比叡山ドライブウェイで、中央を東西に抜けているのが山中越え。比叡山に入山してから下山までは約12キロ、2時間10分ほどのランでした。

この日はそこそこ天気も良かったんだけど、走った後はなんかもう身体がむちゃくちゃ臭くて、そのまま電車に乗り込んだんだけど、かなり迷惑をかけてしまった…。ラン後、公共交通機関を使用する時は十分注意したいと思う今日、この頃。