11月20日金曜日。この日は有給休暇をとって平日での休みだった。漫喫にこもることも頭をよぎったけど、僕にはやらなければならないことがある。
つい先週も走った琵琶湖走だ。今日が金曜で前回走ったのが土曜だったから、あれから一週間経ってない。
だけど、この勢いで走らないと、たぶん年内の達成は難しいんじゃないかと思い、雨予報ではあったけど決行する。
▲今回走ったルートがこちら。
行きにたまたま忍電車に乗れたので、ちょっとテンション上がりつつ、堅田駅に到着したのが10時過ぎ。
堅田駅からスタートして南下しても良かったんだけど、そこからだとゴールの浜大津まで15キロくらいしかないため、ラストランとしてはちと物足りない。
というわけで、一度琵琶湖大橋まで行って、そこから湖岸を行くことにした。
▲琵琶湖大橋最高地点にある展望台まで行く。
▲向こう岸を走ったのはいつのことだったか…
▲橋の上から西側を見る。あのあたりをずっと走ってきたんだなと思うと感慨深い。
とりあえず今回はどんだけ見積もっても20キロは走らないので、いろいろと寄り道しながら行こうと思う。
うーん、これぞジョブトリップ。
ちなみにこの日は出発直前にアンパンを一つ食べただけ、水分も含め無補給で完走することになる。雨で涼しかったし…
▲まず最初のスポット、出島の灯台。出島と書いて「でけじま」と読む。
▲琵琶湖の一番くびれた場所に建つ灯台は珍しい木造。下手したら燃えるで。
▲この付近は普通の住宅街。狭い道を縫うように走り抜ける。
▲次のスポット、天然図画亭。琵琶湖畔にある日本庭園だ。
▲残念ながらこの日は休館。
▲古めかしい町医者。趣ある建物も多い。
堅田周辺は他の湖岸部同様、やはり昔は交通の要所だった。その中でも「堅田衆」と呼ばれる組織が自治する最大の都市として栄えていたそうだ。
▲今回のメインスポット、満月寺の浮御堂。
▲こちらが浮御堂。境内には入らず横の駐車場から見学した。
こちらの浮御堂、近江八景のひとつ「堅田の落雁」で有名だ。近江八景は江戸時代、関白の近衛信尹が詠んだ和歌を起源としている説がある。
以降、さまざまな歌人や画家がそれを題材にしてきた。今回のコースでは後ほどもうひとつ近江八景を紹介する。
浮御堂からは住宅地を通って国道に向かう。国道に出たらしばらくは道なりだ。
っていうか、雨足が強くなってきた。そこそこビショ濡れだ。さむ。
▲歩道を行く。雨が降ってるのでほとんど人がいない。
▲出た!ゴールデンゲート!この向こうには雄琴あわあわ王国が広がっている。
▲ここで国道と別れて左手へ。
▲畑の中にある神社を通り過ぎ…
▲近い場所から琵琶湖を臨む。
▲公園っぽいところを走ってたらいつの間にかよその家の裏庭に入ってた。
▲再び国道に合流する。浜大津まであと6キロ!
ゴールは浜大津にある大津港。正確な距離はわからないけど、標識に出る浜大津までの距離を目安に進む。
あと6キロで終了すると思うと、やっぱり何かちょっとさみしい気もする。だって今日まだ10キロちょっとしか走ってないし。
そういや第一回目のスタート時、100均で買った油差しにジェルを入れていたことを紹介してたけど、実は今使ってる油差しは二代目なのだ。
っていうか、いい加減Salomonのソフトフラスク欲しい。
▲突如、歩道に見覚えのあるマーク。あいつの家紋やで。
▲と思っていると左手に現れた謎の建物。
実はここ、坂本城跡なのだ。これまで坂本城といっても、は?って感じだったけど、現在放映中の大河ドラマ「麒麟がくる」でおなじみ、明智光秀が築城した城といったら話題だろう。
▲だってほら、臨時駐車場まであるんだから!盛況なはず。
▲と思ったら誰もいねぇ。
坂本城は比叡山焼き討ちの翌年、信長が光秀に命じて作らせたお城だ。日本では最初の石垣と瓦葺きの天守閣を持っていて、大天守と小天守があったとされている。
安土城に先行して作られたそうだから、もしかするとプロトタイプ的な感じだったのかもしれない。
琵琶湖に面した水城で、説明書きには「豪華絢爛だった」と書かれている。確かに、再現図とかジオラマを見るとかっこいいんだよな。
▲ちょうどこのあたりから石垣が発見されたとか。
▲城からはなんとなくこんな風景が見えたんだろうなと想像してみる。
▲建物の場所が本丸の位置と思われる。
ちなみに坂本城は光秀が山崎の戦いで敗死した後に落城している。秀吉が再建したそうだが、拠点が大津に移ったことで廃城となったそうだ。
ちなみに光秀の首は京都の東山三条付近に祀られている。
▲光秀の像。ジャイアントロボみたいだな。
▲坂本城跡公園にある謎の鳥居。
▲坂本城の跡を後に(ややこしい言い方…)国道を進む。
▲唐崎で国道から外れ左手へ。
▲お、菊だ。
▲菊農家ってわけでもなさそうだけど、立派な菊がならんでる。
今ではもうなくなったけど、昔、ひらかたパークでは毎年「大菊人形」という展覧会をしていて、その年の大河ドラマなどをテーマに菊人形が飾られていた。
2005年には終了してしまった本展覧会だけど、今思い返すと、人形の服が本物の菊になってるってボタニカルだな。
現在でも「ひらかた菊フェスティバル」としてボランティアが菊人形を展示している。
そんな菊に思いを馳せながら到着したのが唐崎神社だ。
▲境内の向こうには琵琶湖が広がっている。
▲ここにも菊が奉納されていた。
▲こちらが「唐崎の松」。一見しただけではその全貌がよくわからない。
▲境内中央に祀られている松は三代目らしい。
この唐崎霊松は633年に植えられたという伝承がある。大化の改新前にはあったというのだから驚きだ。
とはいえ、初代の松は江戸時代に倒れ、植栽されたりして現在に至っている。もはや何がなにかよくわからないが、すごいことは間違いないので、保全のため心ばかりの寄付をしておいた。
▲かっこよく撮りたかったけど、どうもうまく撮れなかった。
▲うーん…いまいちだぜ。
▲そんな唐崎の松は近江八景の一つに数えられている。
▲こちらが近江八景のひとつ、「唐崎の夜雨」。
▲それはそうと、普通に松と琵琶湖の組み合わせがステキ。
惜しむらくは琵琶湖の水が臭かったということだ。せっかくの景観が台無しだけど、広々として清々しい神社だった。十分堪能したので、とりあえず先を急ぐ。
▲唐崎神社を過ぎたら残り3キロ。いよいよゴールが近い。
残り6キロから坂本城後へ行ったり、唐崎神社に行ったりしてたので、まだ3キロもあるのか!という思いだったけど、それはそれ、走れるのもあと3キロ。
さて、このあたりはもう街中だ。びわこボートの外向販売所の横を通る。心なしか寂しい背中のお父さんたちを横目にひた走る。
ギャンブルの高揚感も走った時の高揚感も根本的には同じ、みたいなことを言われたことがあるので、ある意味、僕と彼らは同類だ。
▲見慣れた琵琶湖の景色。向こうにミシガンが浮いている。
▲ついにゴールの標識がでた。あと少し。
▲大津港の敷地に入った。マラソン大会で言ったら競技場のトラックか。
▲ガチョウがお出迎え。
▲と思ったら足を突かれそうになった。あぶね。
▲大津港に到着、ついにゴール!
午後1時、スタートから約3時間という、本企画では異例の早さで最後のフィニッシュ。走行距離は19キロ、これまた中途半端な距離になってしまった。
▲とくに撮るものがないので船着き場を撮ってゴール感を出してみる。
2018年の9月からスタートし、2020年11月にゴールするという足掛け2年2ヶ月、琵琶湖一周ジョグトリップ計画は無事に終了した。
以下に記録を示しておく。
第4回:近江塩津 − マキノ 34キロ
第5回:マキノ − 堅田 52キロ
総距離、223キロ
▲あの遥か向こうも走ったんだぜ。
達成までにかなり時間を要したこと、最後の最後はいろいろ中途半端になったことで、あまり自分の中で大盛りあがりはしなかったけど、とりあえず企画を終えたことで安堵感は大きかった。
最初の方が前過ぎて、あまり覚えてないからもう一回走ってやろうかしらとも思わなくもないけど、しばらくはたぶん走らないだろうな。
でも思い返すと、琵琶湖周辺に気になる場所がいくつかあったから、そのあたりをもう一回行ってみてもいいかもな。
とりあえず、当初の目的であった「琵琶湖?あぁ、一周したよ」とドヤ顔してみる。
最後に、こんな不定期な企画を応援して下さった皆さま、本当にありがうございました!