【神と仏の長距離走】御金神社 ~ 神泉苑 ~ 蚕ノ社
京都市内で京都らしい景観のひとつ、白川。今回はここからスタート。
岡崎から祇園まで続くこの川沿いは街中をゆるゆると流れていて、そのまわりにもいくつかのスポットがある。
先日、「光秀の定理」という小説を読んだ。個人的には釈然としない内容で、「光秀じゃなくてもよくね?」という感想だ。
だけど、物語の前半は京都が舞台であったこともあり、せっかく光秀とも接点があったのでゆかりの場所へ行ってみることにした。
▲三条通りから白川を南に入り、少し行った先の路地を覗くと…
▲狭い道の一角にひっそりと「光秀の首塚」がある。
▲名を馳せた戦国武将としてはちょっとしょぼい。壁に掛かったホウキとチリトリが何かせつない。
▲広さで言えば四畳半程度か。だけどきれいに保たれていた。
光秀の首はもともと少し離れた場所に埋められていたそうで、江戸時代にここへ塚を作って埋めたらしい。
豪奢な伽藍に祀られているわけではないけれど、こうして素朴ながらも名所として弔われているのは親近感がわく。
▲ついでに近くの「行者橋」と呼ばれる石造りの橋を見に行った。
▲千日回峰行を終えた行者が渡る由緒ある橋。とりあえず渡る。
この近くには浄土宗の総本山「知恩院」があるけど今回はスルー。
白川をさかのぼり疎水まで北上、そこから西へ。
▲東大路通りまで出た。この近くの「日の出テント」でおしゃれなカバンが売ってる。欲しいけど高いんだよなー。
▲京都人ならおそらく誰もが知ってるであろう仁王門通り。車だと抜け道に使う。
▲仁王門通りの周辺にはものすごい数の寺院がある!ほとんど非公開だけど…
▲この日は天気もいまいち。だけど鴨川ランナーは多かった。
御金神社
鴨川から御池通りをひたすら西へ走っていく。御池通りは歩道も広く走りやすい。信号さえなければ最高なのだけど。
途中、京都国際マンガミュージアムがある烏丸通りを越えて、さらに西へ進み西洞院通りまで来たらそこを上ル(北上)。
▲ご覧の通りなんのヘンテツもない路地を数十メートルいくと…
▲金色に輝く鳥居を発見。なんだろう…なんかエロい。
▲御金と書いて「みかね」と読む。「おかね」じゃない。
この御金神社、鉱山や鉱物の神様で金属類、武具、農具の守護神として祀られており、金属類を護る神様というのは国内唯一だそう。
近年は資産運用の神として崇められており、その名の通りお金にまつわる神様なのだ。
▲本殿は小さい。鈴が金の布で俵型にくるまれていた。
▲本殿の横に末社があるんだけど、大きく通行禁止の看板が。うーん、なんか意味ありげ。
▲看板の奥にあった末社。狭いよ…
▲よく見ると境内奥にある建物が売り物件になってる。そこが私有地ってことか。
▲瓦には金、金、金の文字。ここまで金を押し出すと逆に気持ちいい。
▲御金神社グッズの数々。まぶしい。そのわりには無人販売だったりする。
僕が行った時には5人くらいの参拝客がいたし、帰る時にも4人ほどやって来ていた。小さい神社だから決してメジャーな場所ではないけれど知る人ぞ知るって感じ。
ちなみにお正月、初詣の時にこの前を通るとびっくりするぐらいの行列が出来ている。この神社をつくった人が一番金運に恵まれてるんちゃうか。
神泉苑
御金神社を後にし、さらに御池通りを西へ進むと堀川通りという大きな道に出る。
この近くにあるのが、平和の時代を象徴する「元離宮二条城」だ。なんてったって世界遺産、外国人観光客も非常に多い。
▲征夷大将軍になった家康がパーティーしたのも二条城、慶喜が大政奉還したのも二条城。
▲ちなみにお城の周りを走る二条城ランナーも多い。
そんな二条城だけど、今回はスルー。平地の城に用はない。
堀川通りから以西、御池通りはものすごく狭くなり、歩道もひと二人分くらい。気をつけて走りたい。
そんな狭い歩道を走っていると右手に大きく開かれた場所が見えてくる。それが神泉苑だ。
▲境内のほとんどが池。ここも知る人ぞ知る京都のパワースポット。
▲もともとは平安京にあった天皇の庭園だったのだけれど、二条城を築城する際にほとんどの敷地をとられてしまったらしい。
▲ここが本堂の利生殿。聖観世音菩薩、不動明王、弘法大師がご本尊。
▲願いごとを念じながら渡って向こうの社でお願いすると叶うらしい。
▲これがその社。善女龍王を祀っている。空海パイセンが雨乞いのため「北印度の無熱池」から呼び寄せたそうなのだけど、それってどこなの?インド?
▲恵方に向かって社が動く恵方社は日本で唯一。ちなみに今年は東北東。
▲稲荷社や辨天堂、今は立ち入れないけど鐘楼堂なんかもある。
▲この池が「御池通り」の由来という説もある。
▲そんなパワースポットもただいま修復中。
祇園祭の発祥であったり、源義経が静御前と出会った場所であったり、何かと由来の多い神泉苑。
以前、池に住んでいたアヒルにエサをあげることができたのだけど、今回そのアヒルは見当たらなかった。
まだまだ御池通りを西へ進む。しばらく行くとJRの二条駅に突き当たる。地下鉄の駅もあってシネコンもあって、ほんの少し賑わう駅前だ。
▲駅を突っ切って向こう側へ出る。
▲この先はよくある風景。郊外の国道沿いって感じだ。
▲暑さでフラフラしながら走っているとなんか向こうに人影が…
▲浄土真宗の開祖、親鸞聖人。ここでお亡くなりになったそうだ。
蚕ノ社
▲京都の西を流れる天神川。ここも越えてさらに西へ。
▲太秦天神川駅に到着。御池通りはここまで。西へ向かう長い旅だった。
ここ太秦(うずまさ)はご存じ、太秦映画村がある。僕が子供のころは時代劇の撮影と言えばこの場所で、うっかり八兵衛と一緒に写真を撮ったこともある。
最近では仮面ライダーやプリキュアのショウもあって子供たちに大人気のスポット。
仮面ライダー1号からフォーゼまで一堂に会したショウはさすがにテンションが上がった。そして全員と握手してきた。一応言っておくが息子を連れて行ったんだからね!
そんな太秦の街中にどっしり構える大きな鳥居がある。それが今回の最終目的地、蚕ノ社(かいこのやしろ)の入口だ。
▲ここからが参道になるのかしらん。一見、普通の住宅地。
▲少し進むと境内が現れる。正式名称、木嶋坐天照御魂神社(このしまにますあまてるみたまじんじゃ)という。
はぁ〜、着いた着いた。という感じで鳥居をくぐった瞬間、鈍感な僕でもわかるくらいの空気の違い。
ここはマズいゼ…!と、言ってみたかっただけなのだけど、確かにこれまでと雰囲気が違う。
禁足地じゃないけど、こういう所のことを言うのかしらん。自分が異物のような感覚。
おばちゃん二人とすれ違ったけど、それ以降は誰もいない。神主さんの気配もない。
▲京都でも最古の部類に入るこの神社。厳か過ぎる。
▲まずは左手へ進む。うっそう感が異界っぽさを引き立てる。
▲きつねの首が長い。伊東美咲みたい。
▲ひとつ目のお稲荷さん。素朴ながら圧を感じる。
▲ふたつ目のお稲荷さん。木々に覆われている。
▲そして正面に鎮座する白清稲荷。もう見るからにヤバい。
▲朽ち感が半端ない。雰囲気出し過ぎ。
▲社を組む石垣に名前の入った石が。寄付した人達じゃね?
▲中の様子。撮影もはばかられる雰囲気だったけど一枚だけ失礼した。
▲白塚とだけ書かれた塚。説明がないのがよけいに不気味。
▲社殿は修復中。お参りした直後、雨が降り出した。いやいや、祈雨の神様とはいえ、そのタイミングで?
▲右が拝殿。左には下へ降りる階段があり、そこに鳥居がある。
▲出た!三柱鳥居!これを見たかったんだよなー。
▲囲いがしてあり近くに行くことはできない。ホントは池の中に立ってるはずが、水は枯れて池はなかった。
▲御金神社のようにグッズ展開はなく、置いてあるのはこのおみくじだけ。
▲帰り際、振り返ると当然誰もいないけれど何かの気配を感じるような気がするようなそんな感じ。
推古天皇の時代に建てられたという伝承はあるけれど創建は定かでないし、三柱鳥居の由来もはっきりしてないし、いろいろ謎が多い蚕ノ社。
これまでいくつも神社やお寺を巡って来たけど、この神社ほど何かを感じることはなかった。こういうのを畏怖っていうのか。
街中なのに山中で出会った神社のようだった。
すぐ隣に保育園があるのだけれど、時折、境内から見かける保母さんの姿に安堵する、ということでやっぱ保母さんは癒しなんだよなー。なんのこっちゃ。
▲京都が誇る電車の1つ、嵐電。