右足の幅がFでした。

サブ6ランナーかく語りき

【読クソ完走文】鯖/赤松 利市

f:id:iparappa:20190328002417j:image

東京は神田のとある居酒屋で「鯖缶バター」というメニューを食べたことがある。

なんて事はない、味噌煮の鯖缶にバターをひと切れ入れて缶ごと温めるだけ。

コンロに網をひいて缶を乗せるだけなので、家でもたまにやるのだけれど、これが手軽で美味い。

もうその居酒屋はなくなったけど、鯖缶バターは我が家で生き続けている。

焼いて良し、煮て良し、漬けて良しの万能魚類、それが鯖。

おまけに頭良くなるし、血液サラサラになるし、ダイエットにも効果的ときたら、もう食べずにはいられない。

フランス人がサヴァサヴァ言うのも納得できる。(意味が違う)


そんな鯖を巡って物語が展開する本書、題名もそのままズバリ、「鯖」だ。

小説を読んだのは久しぶりか。小説のことを書くとネタバレになってしまうから詳しくは書けないんだけど、次どうなんの?という目まぐるしい展開でとても楽しめた。

主人公は一本釣りを営む漁師で、ある船団に属している。漁師仲間はそれぞれ個性的なメンバーが揃っていて、登場人物の関係性が本作の見所でもある。

僕自身が捉えた主題としては、「人は謙虚に生きなきゃダメだな」ってこと。

人生にはいろんな転機がある。それを幸運ととるか、破滅のワナととるか…これは某参謀の言葉だけど、その見極めが最も重要だ。

虎穴に入らずんば虎子を得ず、というのは間違いない。だけど、自分の器を己で正しく理解し、やってやれないことに手を出さないことも人生を乗り切るコツだと思う。

自分を過小評価したり卑下したり卑屈になったりとは違う。自信を持つのは大切だ。

大切だけど、驕るのではなく、いろんな物事から何かを得る姿勢、他人から何かを学ぶ姿勢というのを忘れてはいけない。

そして調子の良い時、ノッている時こそ気をつける。周りを顧みる。そんな教訓を得た読書だった。


さて、本作にはヘシコが登場する。鯖を発酵させた食べ物で酒のアテになる郷土料理だ。

f:id:iparappa:20190412225011j:image
▲先日食べた「へしこのお茶漬け」。味が濃い!

そして象徴的に用いられるクエ。大型で、かつ高級とされる魚で、何かと言うとこの魚の料理が出される。

本文の描写や扱いを見ていると非常に食べたくなるわけなのだが、それ以上に気になるのが中国のお酒「紅星ニ鍋頭酒」だ。

f:id:iparappa:20190425103405j:imageアメ横の中華食材店で購入。

要所要所で登場するこのお酒。「人生への挑戦」をメタファーとしているのか、読み進めるごとに飲んでみたくなる。

ただ、描写を見る限りむちゃくちゃ強そうだ。紅星印のモノは大きいサイズしかなかったので、酒弱の僕はヒヨって小さいサイズを探して購入。

アルコール度数は58度。口に含むと唇がブルブルして飲み込んだら胃が熱い。

小説ではコレをグビグビ飲んでいた。そんなことしたら死んでまうわ。マジで。

f:id:iparappa:20190426234431j:image
▲オットセイの〇〇〇とかトラの〇〇〇とかが漬けられていた薬酒。

以前、これも東京なのだけど、白酒にいろんなものを漬け込んだ薬酒なるものを飲んだことがある。

同じく強烈なお酒だったけど、3杯ほど飲んだところで視力が良くなったんじゃないかってくらい視界がクリアになった。

そんな不思議な経験ができたのだから、やはりできる挑戦はやるべきだ。

とくに男性は、30歳を過ぎると服装も食べ物も良く行くお店も固定してくる傾向があるそうだ。

とりあえず謙虚な挑戦として、食べたことないメニューを頼むとこからはじめたい。