右足の幅がFでした。

サブ6ランナーかく語りき

靴と椅子が悪いんじゃね?という話

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 イギリス人ジャーナリストの著者が駅伝を取材、出場することを描いた日本滞在記。駅伝のことだけでなく、外国人から見た日本のランニング文化について面白く、ときに皮肉交じりに書かれています。

駅伝は日本発祥の競技だけど、個人競技である マラソンを団体競技にしてしまおうというのは「和を重んじる」日本ならではの発想であると著者は言います。
そんな駅伝のことがメインに書かれている訳ですが、今回はそこではなく、「第14章 ベアフットランニングとの出会い」の内容が興味深かったのでご紹介。

結論から言うと、ベアフットランニングに出会った著者は新しい走り方を手にして(ん?足にして?)、自己ベストを更新します。 ただ、全くの裸足というわけでなく、本書では「ミニマリスト・シューズ」という言い方で紹介されていましたが、ソールの薄い専用のシューズで走っていたそうです。

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ニューバランスのミニマス。これも裸足感覚シューズ。

ポイントは「裸足」になったということではなく、「裸足に適した走り方」を実践したということ。 本文を拝借すると「頭を上げ、身体をわずかに前傾させ、踵ではなく中足部(土踏まず)から着地し、一輪車に乗るように脚で円を描く」ような走り方。

もともとサブ3の実力がある著者だけに、そこはうまくハマって良い結果が出たのでしょう。ただ、この後アキレス腱を痛めることになり、その時はじめて自分の身体がベアフットランニングに適していないことを実感します。

じゃあ、「裸足に適した走り方に適した身体」ってなに?という話になりますが…

もともとヒトは裸足で駆け回ることができる生き物だけど、靴を履くこと、または靴を履かなければならない環境をつくったことで、その機能を衰えさせてしまいました。

 それは足裏だけのことじゃなく、例えば足首。いわゆる「ウンコ座り」ができないのは足首の柔軟性が失われている状態で、運動会でコケるお父さんはだいたいコレが原因。

 あとは足の親指。走る時の安定性、まっすぐ前進させる勢いをつける働きがあるわけだけど、そこが機能しないと走り自体が不安定になってしまう。

 地下足袋が親指だけ分かれてるのは、高所で何かをつまんで身体を固定する意味合いだけじゃなく、ちゃんと理由があったんですね。そういえば、先日MUTEKIを手に入れたので、また近々履き心地をレポートしたいと思います。

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 さて、

 著者が実感した「適した身体」というのは足首から下の部位だけの話じゃなく、 結局のところ、身体全部の話になってきます。

ひとつ面白い事例を挙げていて、ケニア人選手がオリンピックの男子3000メートルで圧倒的な強さを見せている、その理由。それは「彼らが走る姿を見ると、首筋がすっと伸びて、姿勢がまっすぐなのがわかる。つまり、身体が連続的に機能している証拠」だと言います。

でも、ケニアには障害走のための練習設備はほぼゼロに等しいと著者。何が言いたいかというと、もはや練習や訓練ではなく、ケニアの選手は日常生活において姿勢の美しさを作っていて、ヒトが本来持っている自然な動きを身につけているから障害走であってもバランス良く走れてしまう。

その姿勢の良さ、ここで言う「ベアフットランニングに適した身体」とは、頭のてっぺんから足の先まで、人間が設計された通りに機能する能力を持っているかどうかということ。そして、それに気づくにはやっぱり裸足(それに近しい状態)で走るしかないんじゃないかと思ったりします。

さらに本書に登場するベアフットランニングの専門家、リー・サックスビーさん曰く、我々が良い姿勢を保てないのは、ズバリ、椅子に座るからだッ!と。マジか。

じゃあ、ケニアの人は椅子に座らないのか、と言われるとそうではないし、もちろん、靴も履いてる。ただ、日本を含め、欧米諸国はこういったものに依存しすぎてるのかもしれない。いや、現代人のほとんどがそうなってると思う。僕自身もそう。

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▲HADASHIは水陸両用だぜ!

 こういった話をまとめると、靴と椅子が悪いんじゃね?という話になりますが、僕は決してそこまで過激な考えを持ってるわけじゃないっすよ。(弱腰)何せ自分がまだちゃんと走れてないですから、実践して結果を出してから声高に言ってやりますとも!

ただ、姿勢の悪さは諸悪の根源と思っているので、美しい姿勢を保つため、裸足で走ってみたりしてはどうでしょうね。

そういや「漫勉」に出てた古屋兎丸先生は立ちながら漫画描いてたな。デスクワークもスタンディングスタイルでやりたいな。