今回は乃木神社からスタート。そしてのっけからスルーする。
さて、関西ではそこそこ有名な京都一周トレイル。その東の起点は京阪本線の伏見稲荷駅なのだけど、実はその先に「伏見・深草ルート」という延長コースがある。
こちらは伏見桃山駅が起点となっており(ややこしい)、そこから約1キロ地点にあるのが乃木神社だ。
訳あってこんな中途半端なところからスタートするが、今回は伏見・深草ルートをなぞって行こうと思う。
▲こちらが御陵。まあまあの広さ。
▲京都一周トレイルの標識。桓武、明治両天皇の名前が入った珍しいパネル。
このあたりは丘まるまる明治天皇の御陵というイメージだ。ふもとにはその昔、「伏見桃山キャッスルランド」という遊園地があった。
残念なことに2003年に閉園したんだけど、桃山城を模した天守閣だけはシンボルとして残されている。ちなみに鉄筋コンクリート製。
▲キャッスルランドの名残のキャッスル。
▲お城付近は公園になっていて、走っていて気持ち良いコースになっている。
▲伏見は豊臣秀吉ゆかりの地。歴史的に関わるものも多い。
▲とはいえ、しばらくはこんな感じの住宅街を走る。
▲やっと未舗装路になってきた。
▲子供用の車に時代を感じる。いつのやねん。
大岩山に向かう林道に入りしばらく登る。そこそこ急な登りだ。ただ、このあたりは建設業者の敷地になっているので、景観はあまりよくない。
そんなこんなで上ること600メートル、展望台に到着。
▲大岩山展望台に到着。ピークはちょっと離れたところにある。
▲標高で言ったら180メートルにも満たない場所だけど、条件がよければ大阪まで見えるそうな。
▲さて、ここから本格的にトレイルイン!
展望台からそのまま林道を行くルートもあるんだけど、ここは標識通りにトレイルに入る。ちょっと小雨が降ってきた。
▲しばらく下ると、なんか物々しい雰囲気の場所に出くわす。
▲神社であるのは間違いない。
▲朽ち感ハンパない。鳥居、折れてるし。
大岩神社
そうです。この廃神社がひとつめの目的地、大岩神社。
実はここへくるのは2度目だったりする。最初遭遇した時はあまりの荒廃ぶりにビビったけど、今回もやっぱりビビった。そんな雰囲気なのです。
そういや前も小雨が降ってたような気がする。てか神社に入ったら雨が降るタイミングって何回かあるかも。
▲拝殿はまだかろうじて手入れがされているような気がする。提灯にビニールかぶせてあるし。
▲でも燈篭が倒れてる。なんで倒れるの?
▲病を治す神様が祀られているそうな。
▲ご神体の大岩。もう一つ、小岩というのもある。
▲午前中だというのにこの陰鬱さ。
▲あまり長居はしたくない雰囲気の境内。
最初に訪れた時、気になって調べてみたら、野犬の住処になってるとか、心霊現象があるとかネガティブな情報が多かった。
僕はいずれにも遭遇したことはないけど、そう言われても信じてしまいたくなる場所であるのは間違いない。っていうか、野犬こわい。
▲なぞのデザイナーズ鳥居。何このレリーフ。
▲かつて社務所だったところ。何か張り紙がはってある…
この大岩神社、平成26年に神主さんが退職してしまい、それ以来、無人状態になっている。
有志の方々が手入れをされているそうだけど、人がいない建物はどんどん荒れ果てていくんだなぁ。
写真奥にも納屋のようなことろがあったけど、さすがに写真はおろか、中を覗くのもためらわれた。犬いたらイヤだし…
▲黒板には平成29年に書かれた文字とイラストが。っていうかなんでブレてんの?
▲社務所内を撮った写真。結局4枚撮ってどれもブレていた。(だって怖くて…)
▲廃墟好きにはたまらん場所なのかも。
▲転げ落ちた狛犬。元に戻そうと思って持ってみたけどビクともしない。そりゃそうだ。
大岩神社を後に、さらにトレイルを下っていく。後でわかったんだけど、この道は本殿につながる参道だったようだ。ところどころに鳥居や塚がある。
▲約40年前の鳥居。
▲こうして見ると、かつては多くの人が参拝してたんだろうなと思う。
▲細いトレイルを下って行くと…
▲またも鳥居を発見。
▲ここにも拝殿がある。傾いてるし。
▲ちょろちょろと流れ落ちる滝。お不動さんもいるから滝行スポットだ!
実はこの滝の向こう側にも拝殿があるんだけど、その前で黒ずくめの男性が座っていた。
うわちゃ!見えちゃったか…と思ったけど、イヤフォンしながらスマホを見てたから、多分現代人だ。セーフ。
しかし、こんなさびれた場所に、しかも小雨降る天気の中、何してるんだと多少興味が湧いたけど、ヤブヘビになったらかなわないので見て見ぬフリをしておいた。
▲こんなところにもデザイナーズ鳥居が!
▲狛犬までなんかメカチック。
▲異質な鳥居、鬱蒼とした景色、荒廃した建物、独特の雰囲気。
▲扁額部分には「大岩大神・小岩大神」の文字が。これは大岩神社のものだ。
▲このデザイナーズ鳥居は堂本印象という日本画家が制作したものらしい。
ここ大岩神社は結核を治癒する神様ということで、ざっくり言うと、その神力にあやかった堂本印象がこの鳥居を寄与したとの記録がある。
もちろん、さっき本殿境内にあった鳥居も彼がデザインしたもの。
そんなことより、黒ずくめの人をしり目にパシャパシャ写真を撮っていた勇敢な自分をほめてあげたい。
▲さらに進むとまた鳥居。
▲もう少し行くと大岩神社を記す石碑が立っていた。
▲竹林を抜けると…
▲道路に出た!
▲どうやらここからが表参道だったみたい。
この近くに深草こどもの家という施設がある。おそらくさっき見かけた黒ずくめはそこの生徒だったんじゃないかと思ってる。そう思いたい。
▲さて、ここらかはまたしばし住宅街を行くことになる。
伏見・深草ルートは大岩神社がある大岩山を除き、ほぼ住宅街を通ることになる。ホントに住宅街なので、近隣住民の迷惑にならないよう走りたい。
▲仁明天皇のお墓もあるらしい。
▲住宅地の家と家の間の細い道を行く。
▲そこにひっそりとたたずむ仁明天皇陵。
▲民家の軒先にある標識。ここから山の方へ向かう。
▲標識に出ている「白菊の滝」を目指す。
▲のどかな田園風景の中を走り…
▲竹藪の道をさらに登っていく。
▲途中にいたサイコ犯みたいなカカシ。
▲お!こんなところにもネコちゃんが。
▲とりあえず猫が向いてる方向へ行くか…。
ここから京都トレイルのルートを外れて白菊の滝方面へ向かう。この先、滝ゾーンになっていて、ちょうど逆側から伏見稲荷へ向かうコースだ。
おもかる石や千本鳥居を見たい人はルート通り左へ行くことをおすすめする。
▲まず最初に現れたのが七面の滝。
▲この鳥居をくぐって下の方へ降りて行きます。
▲祀られているのは七面天女。
七面天女は七面大明神とも呼ばれていて、日蓮宗で法華経を守護する女神とのこと。つまり仏教な訳だけど、稲荷神社となんか関係あるのかしらん。
▲行場はやや薄暗い雰囲気。
どうやら以前はもうちょっと荒廃していたらしく、滝にうたれても逆に悪い気が入るから立ち寄らない方がいい、みたいなことをその筋の人が言っていたそうだ。
滝にうたれてネガティブになるなんて踏んだり蹴ったりやないか。
今は手入れもされて、しめ縄もされているのでだいぶ良い気が宿っているらしい。っていうか、あまりみだりに入って良い場所ではないんだな。
▲次に訪れたのは看板にも出ていた白菊の滝。七面の滝のすぐ隣にある。
▲こちらは優しい感じの滝が一筋。
▲滝場を囲むようにいくつもお稲荷さんがあるんだけど、キツネが苔に侵食されていて見た目的にかっこいい。
▲さらにそのお隣にある御劔の瀧。
▲こちらもうっすらと一筋の滝。
▲名前の通り御劔大神を祀っている。
▲滝ゾーンを過ぎると分かれ道がある。左に行くと伏見稲荷方面。今回は右手へ。
▲しばらくは階段が続いている。
▲このあたりもなかなかの雰囲気をかもしだしている。
▲伏見稲荷ではたまに見かけるこの光景。これは置いてるの?放置してるの?
▲道標の通り進んでいく。
大岩大神
階段を登りきったところにあるのが大岩大神だ。ここのご神体も名前の通り大岩。
どれくらいの大岩かというと…
▲ジャーン!この後ろにあるのが大岩!でかい。
▲岩の上に鳥居がそびえ立つ。
▲別の角度から。
▲ただの岩肌とも言えなくもない…
ここ大岩大神は病に効く神様とのことで、先ほどの大岩神社と同じ神様ではないかというのがもっぱらの予測だったりする。
大岩神社の由緒が焼失して不明なこと、こちらの由緒も明確ではないことから、その関係性もよくわからないそうだ。
ただ、稲荷山だけでもたくさん神様はいるし、古くなった神社はもはや何が何か良くわからないし、どう参っていいのかもわからない。
▲大岩大神を後にし、さらに進む。
▲しばしトレイルを行くと四つ辻がある。まだ時間あるので伏見稲荷方面へ。
▲全然高い山じゃないけど、まあまあの景色。
▲鳥居のある参道に合流したら…
▲山頂に到着。
▲山頂にある末広大神。とりあえず参る。
▲ここからは本殿の方へ行かず、さらに北へ向かう。
さてこの後、長者社神蹟、薬力大神、清瀧を経て帰路についた。
さすが伏見稲荷、興味深い場所が多くて、なかなか歩が進まない。もはや走るどころか、ただの参拝客になってしまった。
神社に興味ない人でも、ここの光景にはぐっとくるものがあるはずだ。
さすが行きたい観光地No.1だぜ。
せっかくなので撮った写真の一部を掲載しておく。
▲最後はトレイルインし、
▲なぞの指さし標識に導かれ…
▲竹林を抜けて…
▲住宅街へ出て来た。
▲最後は謎コーラで補給。
大岩つながりで二つの神社を訪れた今回、それぞれのバックグラウンドがわからず、単純に外観を紹介するに至ってしまった。
とくに大岩神社は、ネット検索すると心霊スポットとしての色が濃く、それはそれで切ないというか納得できないというか、不本意な気がしないでもない。
コロナ禍の今こそ活躍できそうな神様なのになぁ。
どうやら「深草誌」という昔の書物に当時の記録があるそうなので、機会があれば調べてみたい。