僕はお酒が弱い。
どれくらい弱いかというと、晩酌に缶ビール1本あれば十分満足できるレベルだ。
とはいえ、付き合いで飲みに行ったり、美味しいお酒をおごってもらったりで、それでも多少飲めるようになった。
単純に年齢がいってアルコールに対する反応が鈍ってきただけなのかもしれないけれど。
弱いけどお酒が好きなもんで、学生の頃はいんちきイタリアン居酒屋のカウンターで、シェーカーを振っていたこともある。
今でも独りでオーセンティックバーに入り、しんみり飲む姿には憧れている。やったことないけど。
そんな僕は飲む時には必ず何かを食べる。食べたいから飲む、というケースもあるくらい。ギョーザにはビール、とかとか。
そう、お酒にはそれぞれお似合いのおつまみがあったりするのだ。というわけで、今回は様々なおつまみ画像を貼りながら話をすすめたい。
本書は、著書の浅暮氏がふとした疑問から馴染みあるおつまみを調べることになり、そこから興味深い事実を知ったことをきっかけに、おつまみにまつわる様々な話を紹介する内容になっている。
例えば、ジャイアントコーン。実はペルーのある限定された地域でしか生産されておらず、しかもその消費のほとんどが日本とスペインなのだそうだ。
カシューナッツは木の実ではなく種の中の仁(ぎんなんみたいなもの)だとか、日々、ポイポイ食べていたのが恥ずかしくなるくらい知らないことが多い。
▲熊本にあるバーで頂いたレーズンバター。いちじく入り!激うま!
レーズンバターはもともとヨーロッパで葬儀に出される干しぶどうのお菓子が起源ではないかと言われている。
ちなみに、小岩井のレーズンバターなら軽く一本いけるくらい、僕はレーズンバター好きだ。
六花亭のマルセイバターサンドは世界一美味いお菓子だと思っている。全世界に配りたい。
▲佐賀の郷土料理の店で大将がサービスしてくれた有明海の海苔。激うま!
写真の海苔は有明海でとれた初物の海苔で、さっと炙っただけのものだけど、香り、歯切れ、色、甘さすべてが異次元だった。
聞けば卸値が平均の10倍以上するものらしく、そりゃあ日本酒もすすむよねって話だ。
そんな高級焼き海苔も瓶詰めの磯海苔もお酒のお供になる。
他にも"この商品はこの会社"というものは多い。
例えば、なとりの「チーズ鱈」、中野の「都こんぶ」。企業の努力と試行錯誤で商品化されたおつまみたち。本書にはその由来や経緯なども紹介されており興味深い。
子供の頃、たまに都こんぶを食べたことはあったけど、正直おつまみとしての認識はなかった。
久しぶりに買って食べてみたら、これはおつまみだ。そして、あの表面についた「都パウダー」の成分は企業秘密なのだそう。
▲大阪のおしゃれバーではシャンパンに合わせていちごとキンカンの盛り合わせを出してもらった。おっしゃれー。
気分が乗っている時は、家でもちょっとしたおつまみを作ることがある。
白子ポン酢を作ったり、サバの味噌煮缶にバターを入れてコンロにかけたり、だしをとったあとのイワシを三杯酢につけたり、密かな娯楽になっていたりする。
でも飲みが進むと、さすがに何かを作るのはしんどい。
基本、チョコやナッツは用意しているけれど、カワキモノがなくなると、最終的にコーンフレークをつまむのが常だ。
上杉謙信はお酒のお供に塩をなめていたそうだけど、おつまみは手軽な方が望ましい。
▲新潟駅のポン酒館にはたくさんの塩がおいてある。お塩だっておつまみだ。
元も子もない言い方をすると、おつまみを食べる時は、結局お酒がメインだったりするので、おつまみの方に注目することは多くない。
ただ、ワインにはワインの、日本酒には日本酒の作り手や酒蔵の物語があって、それを肴に飲むことがあるのだから、おつまみだってまた然りだ。
飲みの席でうんちくを語るのは避けたい。だれど、本書の話は十分、酒のつまみになるおつまみ話だった。
いつかバーのカウンターで、隣に座った美女に「カリカリ梅の作り方、ご存じですか?」とか言ってみたいなぁ。