右足の幅がFでした。

サブ6ランナーかく語りき

ホームマウンテン、大文字山を紹介してみる <台風編>

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9月4日に日本列島を襲った台風21号。僕の住む京都でもめずらしく甚大な被害があった。

昨日、近所の商店街にお好み焼きを買いに行った時、店のおばあちゃんがお好み焼きを焼きながら、

「あんなひどい台風、初めてやわ。」

と言っていたので、長年京都に住んでいる人にとっても驚くような出来事だったらしい。

今年は本当に台風当たり年で、週末の度に台風がやってくるから、マラソンやトレランの大会がいくつも中止になった。

そんなこともあり、10月6日、またも24号が日本に近づいていたので、雨風で走れなくなる前に大文字山へ行くことにした。

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これまで何度か麓のルートは通っていたので倒木があったのは知っていたが、台風後に頂上まで行くのは初めて。

どのルートで行くか迷ったが、とりあえず疎水トンネルあたりから山へ入り、七福思案処を経由して京都一周トレイルに入るコースをとる。

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▲根こそぎ倒れている木。斜面なので落ちていきそうで危ない。

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▲七福思案処付近。本来なら真っ直ぐ進んで折り返すんだけど、道が塞がれていて別のルートが作られていた。

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▲いたるところ木々がなぎ倒されて地面がめくれてる。

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▲岩肌と見せかけて…

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▲実は木がめくれあがっている。

途中までは「ひどいなぁ」と思って進んでいたけど、いよいよその被害が尋常じゃないことに気付く。

もう地形が変わってるし、あれほど通い慣れた大文字山が全く知らない山の様に思える。

これは記録しておかなきゃなと思い、今回ブログに掲載することにした。

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▲途中、完全に道がふさがれている。

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▲とおもったらちゃんと迂回路が用意されていた。

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▲横にしたら普通に生えてるように思える。

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▲心なしか木々が減ってるような…

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▲場所によっては道をふさぐ倒木が切断されているところも。

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▲土遁の術でも使ったのか!?ってくらい地面がボコボコ。

そうこうしてるうちに頂上へ着いたのだけど、ここでも見た目の変わり様に愕然とした。

頂上は南西側に開けていて景色が良く見えるんだけど、もろに風が吹き抜けていったらしい。

頂上広場の木々がことごとくなぎ倒されており、倒木の処理途中なのか、不思議な空間になっていた。

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▲倒れた木の樹皮がキレイに剥かれている。このままベンチとかに使うのかしらん。

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▲こんな感じで処理されていた。

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▲なんかシュール…

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▲逆からみたところ。お墓みたい。

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▲倒れた木にさらに木が倒れ、もう一本倒れて来た模様。

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▲東側の林の木々も結構地面に転がっていた。

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▲ちょっと雨が降り出してきた。山の状況もふまえて遠回りルートはあきらめて普通に下山することに。

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▲とりあえず甘いモノを食べる。小雨降る中、ひとり仁王立ちで景色を見ながらシャワー食い。

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▲頂上にはどなたかが丁寧に状況を記していてくれていた。

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▲マップまである!この写真が後々役に立つとは今はまだ知らない。

さて、ここから下山していくわけだけど、当初、頂上から東へ抜けて雨社大神から下ろうと思っていた。

でもあまり人が通らないルートだし狭いしなんか危険な気がしたので、一番近道でわかりやすいAコースを辿ることにした。

頂上で見た注意書きには「倒木多数で危険」と書かれていたけど、危険なくらいで通行には問題ないだろうという判断だ。

Aコースは途中まで軽トラが入れるくらい道が広いから、そういうところは大丈夫だろうという推測なのだが、これがそもそもの間違い。

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▲下りは軽快に行く。誰もいない。

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▲途中、カエルに遭遇。人が入ってこないからか、3匹ほど見かけた。

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▲スギの葉が地面を覆いつくしていて、むしろ裸足には優しい。

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▲沢を挟んだ向こうの斜面を見るとシャレにならない状況…

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▲というか、登山道もだんだんシャレにならない状況に。

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▲根っこのアーチをくぐるんだけど、落ちてきそうで怖い。それより足元ぐちゃぐちゃ。

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▲道が完全にふさがれていたので、斜面を登って迂回する。

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▲あまりの荒れようにちょっとマズいなと思い始める…

Aコースには途中、沢の横をかなり狭い道が続いている箇所があって、斜面・道・谷みたいなところがある。

そこに木々が倒れ込んできていたので、斜面を登って進んだけど、木を乗り越えたり、場所によってはもぐりこんだりして行かなければならなかった。

とくに木の下をくぐるっていうのはなかなか怖い。くぐると言っても這いつくばる体勢になるので、もし上から木が落ちてきたらと思うと正直ビビる。

ここで初めて実感したんだけど、倒木があって地盤がゆるくなっている時に何かしらのきっかけで木がなだれ落ちて来たら…

誰もいない、雨も降ってる。慎重になりながらも急いで下山しようと気持ちがあせる。

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▲沢をわたる丸太橋。ここを越えたらあとは林道になる。

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▲丸太橋から左を見上げるとまさに惨劇。

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▲林道へつながる道が完全に無くなっているので、右から沢を下るルートを行く。

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▲どこへ進めばいいのか、かろうじて分かるけど、これはひどい

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▲もう少しで林道に出る!

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▲倒れた木に登って向こうを見渡してみると…

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▲そこは倒木の大海原。もはや人が通れる場所じゃない。

林道にさえ出れば何とかなる、と心のどこかで思っていた。しかし、現実はこんな感じ。

網目のように張り巡らされた倒木の中をかいくぐって高い木に登り、そこから見渡したその先は見渡す限り木の世界。

まさかここまでとは…!

どうかんがえても進める雰囲気じゃない。木の上を進むにしても、濡れた丸太の上が危険極まりないのは身をもって体験している。

後ほんの少しで下山できるのに!しかもこれまでそこそこ危険な場所を乗り越えて来たのに!これ以上進めないという失望はかなりでかい。

何にせよ引き返さなければならないのだけど、ここでさっき頂上で見た注意書きが役に立つ。よくぞ写真に撮ってたな!さっきの自分偉い!

Aコースは倒木多数ってことだったけど、Bコースに倒木情報はなかった。Bコースは僕が一番通ってる道だ。

Bコースの分岐に出るにはさっきの危険ゾーンを引き返さなければならない…。でもそれは避けたい。

そこで思いついたのが、Aコースから西へ進んでBコースへ出るというプラン。

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▲僕の思惑ではこんな感じでいけるんじゃあないか、と。

勝手知ったるBコース。どこかで合流すればわからないはずはない。と思う。

「道迷い遭難」を読んだ後なので、素直に引き返すのがセオリーなのはわかっているが、時刻は9:30、まだ早い。

とりあえず行ってみておかしいと思えば引き返すつもりでBコース合流作戦を開始する。

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▲この斜面を直登すればBコース。のはず。

これまでいろんなトラブルに遭遇した成果か、自分でも変に焦らず冷静に考えられたと思う。

そして道なき道を行く、これもこなれたもんだ。本当はあまりやりたくないけど…。

できるだけ登りやすそうなルートを探しながら登っていく。こちら側の斜面はあまり倒木もなく比較的穏やかだ。

そうこうしている間に登山道へ出た!Bコースだ。やったぜ、オレ!

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▲多少、いつもより荒れているが、見たらわかる。Bコースやん!

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▲しばらく進むとB-5の看板。ビンゴだぜ。

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▲木がこっちむきに倒れてる。遠近感半端ない。

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▲末っ子にもらった塩タブレットを食べる。

実は今日、走りに行く前に末っ子が「また走りにいくの~」と文句を言ってきた。

「せっかくの休みやのに一緒に遊べへんやん」と。まあそう言ってもらえるのは嬉しいのだけど、あまりにしつこく言ってくるので、

「お前は人がやりたいことをしようとする時に自分の都合でやめさせるのか」と少しキツいことを言ってしまった。

もしかすると、僕が山へ行くと大変な思いをするということを何かのカタチで察知して悪態をついていたのかもしれない。

そう思うと、僕の山行を止めようとしていたとも思うし、この塩タブレットがお守りのような気もする。

絶対無事に下山して一緒に遊んでやろうと誓う。

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▲季節型トラップ発動。ちょっと踏んだ。

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▲向こうに人里が見える!あと少し!

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▲このあたりから雨足が強くなる。最後まで慎重に進む。

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▲無事に下山。ほっとした。

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▲登山口にも同じ注意書きがつるされている。

今回、台風からひと月が過ぎていたので、おそらくもう山道は大丈夫だろうと勝手に思っていた。

それに車が通れるくらいの林道なら大丈夫だろうという根拠のない予測をしていた。

思い込みという点において、想像力のなさや経験不足が露呈したと言っていい。

結果的に何事もなく帰って来れたので良かったが、もし倒木に足を挟まれたとか、土砂崩れに巻き込まれたとか考えるとゾッとする。

荒天時だけでなく、災害後の山も危険極まりない場所であることを十分注意して、行くなら事前情報の収集が必要だと肝に銘じたい。

 

しかし、これほどまでに山が荒れているとは本当にショックだ。いつもお世話になっている大文字山。何かできることがあればいいのだけど。