【琵琶湖一周ジョブトリップ計画】近江塩津 〜 奥琵琶湖パークウェイ 〜 マキノ
かつて、走って琵琶湖を一周しようという企画があったことをご存じの方はいるだろうか。ブログを書いてる本人がうっすら忘れているのだから、知ってる人はほぼいないだろう。
それもそのはず、前回走ったのは昨年5月。すでに1年と半年が経とうとしている。
これだけ期間が空いた言い訳を、一応書いておきたい。理由は2つ。
実はこの春に一度走ろうと思ったことがあったんだけど、コロナの影響で遠出するのを控えたこと。
そしてもう一つは前回終了した場所が電車で1時間半かかる遠方ということで、ついつい足が遠のいてしまっていたからだ。これが一番大きな理由。
▲文字が黒くてわかりにくいけど、近江塩津駅の看板。
今回、満を持して(?)早朝から電車に乗り、スタート地点の近江塩津駅までやってきた。近江塩津駅は琵琶湖の北にある滋賀県最北端の駅だ。
改札はもちろん無人。そして駅のロビーには示し合わせたように、おじいさんとおばあさんがベンチで休憩しているというシチュエーション。さらにどういうわけか駅構内も薄暗いから不思議だ。
▲駅構内の案内板。「北陸」という文字をみるとなぜか哀愁を感じる。
琵琶湖の北側を走った今回、地図で見るように地形が入り組んでいて、湖岸沿いに走ったログを確認するとあまり進んでないような感じ。
と思ったけど、実は感じだけでなく、過去4回走った中で距離は一番短かった。20キロまでは順調だったんだけどね、それ以降が毎度の如くグダグダだった。
▲駅からはしばらくJRの高架に沿って走る。
9時45分、近江塩津駅をスタート。まずは駅から南下すること5キロ、奥琵琶湖パークウェイの入口に到着した。
奥琵琶湖パークウェイは全長18.8キロ、琵琶湖北側の半島にそって伸びているドライブコースだ。最高地点は455メートルと、ちょっとした山になっているためそこそこ上ることになる。
実は西側からの一方通行だそうで、僕が今いる場所、正確には入口じゃなくて出口。
、
▲奥琵琶湖パークウェイへ向かう。料金所とかないんだな。
事前に調べたところ、パークウェイは一応歩けるようで、徒歩の場合、一方通行は関係ないらしい。
こんなへんぴなとこ、次いつ来るかわならないしな。せっかくなので走っておきたい。
さあ行くか!と登りに差し掛かるところで早速のハプニング。なんと通行止めの看板が出ている。うお、マジか。
どうやら2キロ先が工事通行止めとのことらしい。ただ、車じゃなし自転車でもないし、もしかして歩きならいけるんじゃね?ま、仮に引き返すとしても2キロだしな…ということでとりあえず進むことにした。
そういや、ゆるキャン△のしまりんも同じような経験してたな。
▲ここが入口(出口)みたい。通行止の看板がある。どきどき。
▲先日の大雨で土砂崩れが起こったらしい。
▲道路は大丈夫だったけど、崩れたところがブルーシートで覆われていた。
どうやら通行止めは本当だったようで、一部崖が崩落していた。ちょっとためらわれたけど、歩きなら問題なさそうなので、そーっと進むことにする。
道をふさぐほどの崩土があれば無理だったけど、幸いこの程度の状況だったのでそのまま進むことができた。ホントは良くないけど…
▲月出峠展望台に到着。
▲おー、眺めいい。
▲こんな感じの道が続く。もちろん誰もいない。
通行止めを過ぎてからは快適に進む。ずっと緩やかな上りが続いていたのでペースは全然だけど、景色は良いし、誰もいないし、なんか楽しくなってきた。
いや、しかし、ホント誰もいないな。それもそのはず、この区間はずっと通行止めだから対向車がやってくることもない。
こんなとこ走ろうという物好きもなかなかいなだろうし。
▲進むにつれて標高もあがるため景色も良くなるしテンションもあがる↑↑
▲土と落ち葉を詰めた袋から草や木が生えていた。
▲たぶん右上の山のあたりまで行くんだろうな。そこそこ距離あるな…。
ちょうど走り始めて1時間。ずっと車道を走ってきたけど、ここでトレイルを見つける。
奥琵琶湖パークウェイには自然道もある、ってどこかのサイトに書いてあったけど、これがそうみたい。
走るならこっちの方がいいのかなとも思ったけど、自然道は半島の東側にしかないので、とりあえず引き続き車道を行くことにした。
そしてこのあたりをピークに少し下りが続く。そしてまた上る。そんなアップダウンを繰り返す。
▲なんかよくトレイルで見かけるような看板がある。
▲文字が薄れてよくわからないけど、どうやら自然道の看板らしい。
▲今ちょうど展望台まで半分くらいか。
▲曇っているけどいい景色。雲の向こうに見える左の山はおそらく伊吹山。
▲山田山。上から読んでも山田山、下から読んでも山田山。
▲東屋にポツンと白鳥が一匹。
▲右手にも琵琶湖が見えてきた。
▲前にも後ろにも全く人の気配がない。
ここまで黙々と走ってきたけど、まあしかし、見事に誰もいない。あまりに気配がないので、地球滅亡後の廃墟の街を独り走ってるかのような錯覚に見舞われた。
道路もいい感じで手入れされてないし、古びた看板がいい味出してるし、秋だから枯れ葉も多くてさびれた雰囲気は抜群。
何より通行止め区間だもん。人がいるわけないし。
トレイルを走ってる時は独りのことが多いからそんなに珍しいことじゃないんだけど、人工物があるようなところで全く人の気配がないと、何とも不安で不思議な気持ちになるのはなんでだろう。
▲撮るものがないので、とりあえず琵琶湖ばかり撮る。
▲お!ゲート発見!
スタートから1時間半、久しぶりに人の気配を感じることができた。通行止め区間の終わりを告げるゲートが見えて来たのだ。
眼下には広い駐車場があって人がたくさんいる。ここまで走って出会ったのは野生の日本猿3匹だけだったから最後まで無人かと思ったけど…なんだ人いるじゃん。
▲人がいる!っていうかバイク多いな。
▲ここが奥琵琶湖パークウェイの展望台。
▲お店もあるし、結構人も多かった。
ここがつづら尾崎展望台。パークウェイの中間地点、半島の中で最もせり出した場所になる。
売店もあったんだけど、なんか急に人に会ったもんだから急性人見知り中毒になってしまった。しかも、みんなそこそこ厚着をしてるんだけど、僕は半袖短パンサンダル野郎だったのでアウェイ感ハンパない。
恐竜のモニュメントやら恋人の聖地やら、半島の先へ続く遊歩道やらあったようだけど、なんとも居心地の悪さから、休憩もそこそこに逃げるように出発した。
▲展望台から見た琵琶湖。たぶん右の突き出た半島の向こうまで行く。
▲所々、片側通行になっていたので信号は守る。
展望台からはずっと下りが続く。すれ違うのはバイク7割、車2割、自転車1割という感じ。
何ヵ所か片側通行になっていて、時差式信号が設置されていたんだけど、これってやっぱり徒歩の人でも守って…いいんだよね…?
そんな下りを走りながら、あらためてこんなトコロを走れること、多くの人がバイクや車でしか来ないようなところを走ってる自分がちょっとだけ誇らしく感じられた。いや、まあだからなんだというわけだけど。
▲だいぶ下ってきた。向こうの集落が菅浦の集落。
▲奥琵琶湖パークウェイ、走破!
▲振り向けば菅浦にも行けるけど、今回は先を急ぐ。
逆方向には菅浦という集落があって、国の重要文化的景観に指定されている。かくれ里と称される菅浦は、昭和30年ごろまでは船でしかたどり着けない陸の孤島だったらしい。
古代の日本、それこそ租庸調の時代に天皇や朝廷に食べ物を贄(にえ)として貢ぐことがあったらしく、菅浦はそれを行う贄人(にえびと)が定着した場所と言われている。
そういうのを聞くとかなり魅力的なところなんだけど、ここを目的地にしないとなかなか来れない場所だしな。次来る時は車かな…。
▲とはいえ、せっかくなので琵琶湖の近くへ。
▲今回、初のレイクイン!水はそんなに冷たくなかった。
▲道中、土砂崩れの工事をしてたんだけど、信じられない角度で重機が停まってた。
▲しかし奥琵琶湖の景色は最高やな。情緒があるぜ。
▲ここでちょうど20キロ。ちょっと休憩。
パークウェイを降りてから、引き続き湖岸沿いをひた走る。やや曇っているけど、気温は高すぎず快適だし、琵琶湖も近くて気持ちいい。
しかし、今回はバイクの人がむちゃくちゃ多いな。確かにバイクで走るにはいい場所なんだと思う。
そんなこんなもあって、今回はあっという間に20キロ地点に到着。ちょっとお腹も空いて来たので休憩をとる。
▲今、このあたり。
▲小さなようかんを2つ食べた。
いつもならおにぎりを持ってくることが多いんだけど、いろいろあってようかんしか持ってこなかった。車道を走るから、どこかで食べ物を調達できるかと思っていたけど、それは甘かった。コンビニなんて影すら見えない。奥琵琶湖をなめてたぜ。
エネルギー不足か、はたまた体力不足か、このあと急激にペースダウンしてしまった。根本的なスペックというか、コンディションも含めて僕の限界がそうだったのかもしれないけど、メンタル的なところも大きい気がする。
「きつい、もう駄目だ」と思ったとして、「きつい」というのは避けようがない事実だけど、「もう駄目」かどうかはあくまで本人の裁量に委ねられている...っていうことを村上春樹が本に書いていたけど、「もう駄目」と思うタイミングっていうのは、エネルギーが不足している時に起こると思うんですよ。炭水化物、大事。
▲このあたりは釣り人が多かった。
▲のどかな景色が続く。というか、ずっとこんな感じ。
▲桟橋からボートを出して釣りをする人々。夕日とかならもっとキレイだろうな。
▲船の形をしたモニュメント(?)このあたりでレンタルボートがあるらしい。
▲大浦付近。天気良くなってきた。
▲今、この左側の凹んだところ。
▲今回のゴール、マキノまではあと13キロ。でも駅まではそんなにないはず。
大浦にはちょっとした集落がある。その昔、福井県の敦賀から運ばれてきた海産物なんかをここで船に乗せて大津(琵琶湖の南側)まで運ぶということが行われていた。
昔の街道の要所にもなっていたようで、塩津、海津とともに湖北三浦として栄えていたらしい。三港あわせて100隻くらいの船があったというんだから、そこそこ大きな集落だったんだろうな。
さっきの船のモニュメントみたいなのは、当時使われていた丸子船を模したものだったみたい。
▲しばらくは大浦の集落を走る。今は静かな場所だ。
▲八幡神社の御旅所。とくに建物はないみたい。
▲風情ある眺め。昔はここを船がいっぱい通ってたんだろうな。
▲なんか湖が近い。
▲もっと近づいてみた。
▲本日、2度目のレイクイン!水の屈折で右足の指がヤバい。
▲遠くに見えるのが竹生島。
▲烏帽子の浜。ちょうどこの看板で烏帽子っぽい岩が隠れてしまった。
▲道は果てしない。
▲大門の浜。大門なんてどこにもない。
左手に琵琶湖を臨みながら代わり映えしない道を行く。このあたりから歩き走りを繰り返していたけど、いよいよしんどくなって、もういいや!みたいな気分になってしまった。
というわけで、ちょっとちゃんと休憩することに。琵琶湖側まで下りて残りのようかんを水で押し流す。そうなんだよな。今回は水とようかんしか持ってなかったんだよな。
なんでもっとテンションあがる食べ物を持ってこなかったのか。どら焼き食べたい。
そんなことを思いながら、ごろりと横になる。僕は普段寝転がって休憩するようなことはないんだけど、今回はなんかそんな気分。
▲竹生島を臨みながら休憩する。残していた小さいようかん2本を食べた。
▲しばらく寝転がる。あー、しんど。お腹へったなぁ。
いっそこのまま寝てしまいそうになったけど、近くに釣り人の気配を感じて我に返った。寝てる場合じゃない。走らなきゃ。
▲ついに高島市へ突入!あともう少し。
▲こんな感じの道が見える限り続いてる。
▲ときおり琵琶湖を眺めて現実逃避しながら進む。
▲このあたりからトンネルゾーン。
▲ジェットスキーが爆音で暴走してた。
▲トンネルの向こうも琵琶湖。
▲久しぶりに見たビワイチマーク。
▲海津大崎港へ到着!
出発から約4時間、海津大崎港へ到着した。ここから竹生島へのクルージングができる。
大崎には大崎寺というお寺があって、奈良の興福寺(阿修羅像とかがいるお寺)の末寺だったそうだ。
その後、いろいろあって秀吉がお寺を修復する時に安土城の残材を使ったんだけど、そこに血痕があったことで「安土の血天井」と言われるようになったとか。
と、まあそんな見どころがあったり桜並木があったりして、こんな場所だけど、1件だけお食事処がある。
お蕎麦を食べたかったけど、さすがに汗だくで店に入るわけにはいかないし、ゴールまでもうあとちょっとだから水分補給だけにしておいた。
▲あと4キロほどだけど、補給スポット!
▲コーラを注入する。
▲ワンちゃんとパドリングしてる人がいた。穏やかな水面。
▲桜並木が続いていて、春はこんな場所でも渋滞するらしい。
▲マキノの集落に入った。
▲集落は琵琶湖に隣接してる。
▲ここに昔の海津港があったらしい。
マキノ町といえば、小学校の時なんかにスキー教室で行く定番の場所だった。あとキャンプ場もあるので、2回ほど泊まったことがある。
ただいずれも山側でのことなので、琵琶湖側へ来たのは初めて。穏やかな湖岸が続いている。家のすぐ後ろが湖なもんだから、これはもうプライベートビーチだな。
▲出た!滋賀県名物、鮒ずし!
▲何この金ピカの建物…迎賓館って書いてるけど
しなびた集落に突如姿を表した黄金の建物。海津迎賓館という所らしいけど、食事ができたり泊まったりできるわけではないらしい。
調べてみたら象牙を取引きしている会社だそうで、ストリートビューではまだ年期の入った木造の佇まいのままだ。
なんで金ピカなのかわからないけど、今ではサイクリストの映えスポットになっているようだ。
▲建物の隙間から見える琵琶湖。こういう感じのところ好き。
▲立派なお寺。狭い集落の中に2、3軒お寺があった。
▲漁協。
▲やっと車道に出た。並木が続いてる。
▲アクアパレス通りを北上して駅に向かう。アクアパレスて!
▲マキノ駅に到着!
集落を抜けて約2キロ、ほうほのていでマキノ駅へ到着。只今、14:40、およそ5時間のジョグトリップでした。
キロペースは7分30秒なので全然遅い。24キロ以降はほとんど8分こえてるし。30キロくらいならそれほど補給なくてもいけるかなと思ったりしたけど、自分の力を見誤ってたぜ。
とはいえ、今回は琵琶湖最深部、奥琵琶湖を走ったわけだけど、のどかにおだやかにリッチな時間を過ごすことができて満足だ。
次回スタート地点へのアクセスも多少は良くなったので、近いうちにリベンジしたい。
▲帰りの車窓から。ちかれた。