右足の幅がFでした。

サブ6ランナーかく語りき

【神と仏の長距離走】普門山 蟹満寺

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新型コロナウィルスの影響でマラソン大会が次々と中止になり、土日の予定がぽっかり空いた人も多いと思う。

僕は全くエントリーしていないので、影響がなかったといえばなかったのだけれど、やっぱりコロナ騒動とは無縁とはいかず、このところ土日は何かと忙しかった。

そんな週末が続いていたけど、何とか時間をつくって今日はいつもより少し足をのばしてみた。

スタート地点は抹茶で有名な宇治駅。と言っても、すでにここまで10キロほど走っている。

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宇治川を渡る。今日、走り出しは比較的良い天気だった。

実はここへ来るまでに、僕の前を美ジョガーが走っていて、ちょうど同じくらいのペースだったので、カタチ的に僕が彼女の後ろを走る感じになってしまった。

つまり、美ジョガーをストーキングランするサンダルおっさんというわけだ。

そのあたりはちゃんと自覚しているので、これではまずいと思い、ややペースを上げて先に行くことに。

先に行ったら行ったで、追いつかれたらサマにならないから、このペースを維持しないといけない。

というわけで、最初の5キロは5分ペースで走ることを余儀なくされる。

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宇治橋の西詰にある紫式部の像。しかし、京都のどこにでもいるな、この人。

どういうわけか、今日は走りはじめからずっとふくらはぎに張りを感じながら走っていた。

だからどうだというわけではないんだけど、やっぱなんか走り方に問題があったんだと思う。

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平等院への表参道入口。

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▲さすがに観光客も少なかった。抹茶アイスも並ばず買える。

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平等院への入口。日曜日の朝10時でこの閑散とした状態は異常だ。

ちなみに平等院には入らず、ここではドラクエウォークのおみやげだけをゲットして早々に立ち去る。

そして、ここからさらに南へ向かって走っていく。

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▲「上空注意」の看板。こういうの嫌いじゃない。

平等院から宇治市役所の横を通り、宇治川ラソンで走ったコースを走り抜ける。そこそこの登り坂だけど、あまり気にせず走ることができた。

とはいえ、ここから結構なアップダウンが続くことになる。下りは良いにしても、登りでは徐々に足運びが遅くなっていく…

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太陽が丘を過ぎ、植物公園を通り過ぎる。

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▲ここでちょうど15キロ。セブンイレブンでエネルギー補給。

今回は基本的に街中や住宅街を行くわけで、コンビニなり自販機が設置されている。

あるフォロワーさんのように「ちょっとそこまで」感覚で出発し、途中のコンビニでホットコーヒーやあんまんを食べて補給する手法をやってみたくて、300mlのお茶しか持ってきていない。

ただ困ったことに今日に限っておなかが減らないのだ…!あんまん食べたかったのに!

とは言え、何も口にしないのは不安だったのでゼリーを飲んでおく。

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京都サンガの練習場を過ぎる。

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▲久しぶりの看板。このまま木津川市に向かって進む。

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井手町に到着!

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▲なぞの猪ラーメン。残念ながらお休み。

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▲川の両側に桜が咲くらしい。ちょっと来るのが早すぎた。

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▲と、いっている間に木津川市へ突入。

ちょうど21キロを過ぎた地点なんだけど、このあたりからガクンとペースが落ち始める。

全然足があがらない。ついに歩きつつ休憩しつつ走りつつ、というペースに。

ハーフのタイムは2時間15分ほど。キロペース6分以上だ。まあ、それはいい。

情けないことに、これ以上走れる気がしなくなってしまった。走っていても楽しくないというのが正直なところ。

ホントにフルマラソン完走したことあんのか、オレ。

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▲のどかな風景とは裏腹に心中穏やかではない。

いつもなら目的地までは計測するんだけど、今回はキリ良いところでストップ。後はボチボチ歩くことに。

最初のペースが速過ぎたのか、ふくらはぎに負荷が掛かり過ぎたのか、理由はなんとでもなるけど、根本的に走り不足なのが一番大きい気がする。

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▲目的地である蟹満寺への看板。見る限りそれっぽい建物はないよな…

歩き始めたのは、確か目的地まであと500mほどだったと思う。

その500mが走れないんだよなぁ…とがっくりしながら、何もない田舎道を歩く。

 

蟹満寺(かにまんじ)

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▲何とか到着。ここが南山城(みなみやましろ)の古寺のひとつ、蟹満寺!

蟹満寺は奈良朝以前、秦氏の一族である秦和賀が建立したといわれる古刹だ。

本堂のご本尊は国宝で、1300年前に作られた釈迦如来像なのだけど、保存状態も良くて一度見に来たいと思っていた。

そして何より、何で「蟹」なのか…という興味深いお寺でもある。

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▲これが本堂。思いの外、きれいだな…。

勝手に山寺のような風格ある伽藍を想像していたけど、約10年前、250年振りに改築が行われたそう。

本堂だけでなく、境内も綺麗だし、明るい感じ。

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▲出た!蟹の扁額(?) これ見たかったんだよなー。

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▲よく見ると蟹が蛇をはさんでる。

蟹満寺には蟹にまつわるものがいくつか奉納されている。絵とか置物とか。

名前の通り、蟹がフィーチャリングされているのにはちゃんとしたワケがある。

 

昔々、このあたりに善良な夫婦と娘が住んでいた。

ある日、村人が蟹を食べようとしていた時、娘がその蟹を買って草むらへ逃がす。

またある時、娘の父がカエルを食べようとしている蛇を見つけて助けようとする。

「カエルを助けてくれたら娘を嫁にやるで!」と蛇に向かって叫ぶ。

すると蛇はカエルを食べるのをやめてどこかへ消えてしまう。

その晩、紳士に化けた蛇が娘をもらいにやってくる。

父、やばいと思って「三日間待ってくれ!」と言う。

しかし三日経っても家から出てこない娘に腹を立て、蛇が本性を現して暴れる。

家の中では家族そろって観音様に拝み倒す。

夜が明けて静かになったので外に出る三人。

そこにはハサミで切られた蛇と無数の蟹の死骸があった。

蟹と蛇を弔うために観音様を祀ったのが蟹満寺のはじまり。

 

というわけで、ツッコミどころ満載のお話だけど、これだけは言いたい。

てめぇ、カエル!お前だよ!お前がやれよ!

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ちなみにこの日、年に一度の涅槃会とのことで本堂にはお釈迦様が入滅された姿を描いた掛け軸がつるされていた。ラッキー。

これが2m×3mくらいの大きな掛け軸でなかなかの迫力だった。

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目的の釈迦如来像はどうだったのかというと、これはこれでなかなかの迫力。

本堂には僕一人だったので、心ゆくまで釈迦如来像と向き合うことができた。

しかも結構近くまで、それこそ触れるくらいの距離まで近寄って見ることができるのは、とても稀有な経験なのだ。

残念ながら本堂内は撮影禁止なので画像はないけれど、間近で見る2m40㎝の仏像はおおいかぶさるような威厳があった。

お寺自体はあまり大きいわけではないので、ここだけのためにここに来るのはちょっとコストが高い。

できれば、別の場所とセットで訪れるのをオススメする。

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▲蟹満寺の隣にある綺原神社。

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この辺りは古代、渡来系民族で織物にたずさわる人が多く住んでいたといわれている。

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▲近辺唯一のカフェ。

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▲道路のいたる所に記された謎のマーク。おそらく「山城」の「山」。

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普段、京都市の北の方を走ることが多いんだけど、今日はかなり南の方までやってきた。場所でいうと、ちょうど京都と奈良の間くらい。

周辺にはいくつか古いお寺があって、魅力的な一帯ではあるんだけど、ただ分散しているので、複数のお寺に寄るというのが難しい。

ホントなら今回、もうひとつ寄りたいお寺があったのだけど、力尽き心折れた状態では駅まで向かうのが精一杯だった。

とはいえ、総距離26キロ、初めての場所を通って楽しいジョグトリップだった。

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