右足の幅がFでした。

サブ6ランナーかく語りき

【読クソ完走文】喰ったらヤバいいきもの/平坂 寛

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僕は決して食道楽なわけではないのだけれど、年々食に対する興味は深くなっている。

食べれるモノは何でも食べたいし、初めてのモノ、珍しいモノは是非とも口に入れたい。

これは「何事も経験」という自分の考えと、「話のネタになる」という関西人の打算的な思いからなのだろう。

ま、食べることくらいしか楽しみがなくなってきた、というのもなきにしもあらずだけど。

 

さて、本書の話。著者は様々な生き物を食べるため日本中、いや世界中を旅している。

それも珍味というレベルではなく、それこそヤバい生き物ばかりが対象だ。

その突き抜けた感は掛け値なしにかっこいい。

以前にも書いた気がするけど、僕は何かの物事に夢中になって取り組む人が好きだ。平たく言うと、マニアとかオタクという人たちか。

その中でも身体をはって危険を顧みず、己のこだわりを貫き通す人、独自の哲学というか信念を明確に持っている人は無条件に尊敬する。

そういう意味で、本書の著者である平坂氏は尊敬できる人物なのだ。

 

平坂氏は単に「ゲテモノ喰って目立ってやろう」という考えでヤバいいきものを食べてるわけではない。

その根底には「いきものへの愛」がつまっている。いきものたちを正しく理解すること、そして生きやすい環境を目指すこと。

そのためにいきものと触れ合うわけだが、その最高の方法が「安全に命を頂く」ことだと言う。

「安全に」食べるためにはそのいきものを知らなければならない。本書には料理の感想はもちろん、図鑑にも負けないくらい、いきものについて説明がなされている。

こんないきものがいたんだ!とか、そんなところに住んでるんだ!とか、オウムガイって美味しいんだ!とか、「食」にからめて紹介するその内容は非常に説得力がある。

 

捕って食べるという行為はシンプルながら、現代では非常に難易度が高いと思っている。僕が捕って食べたことがあるのは魚介類くらいだろうか…。

いつか昆虫や爬虫類を捕って食べてやろうと思っているけど、どうにも実行にうつせないところに自分の凡庸さを感じる。

何かがどこかでブレイクスルーしないと人生は広がらないと思うので、著者を見習い自分を奮い立たせてみたい。

 

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「食」に関していうと、先日読んだこちらの本も面白かった。

著者は辺境野郎・高野秀行氏だ。クレイジージャーニーでもおなじみの著者が記した本書は世界中の様々なメシが紹介されている。

こちらは「捕って食べた」というより、現地では普通に(?)振る舞われる現地食、民族食の食レポ紀行だ。

とはいえ、日本人の我々には想像もできない食材、調理法が紹介されている。

っていうか、のっけからゴリラとかチンパンジーの食体験が紹介されているが、霊長類というのはかなりハードルが高い。

 

「ヤバそうだけど食べてみよう」から「ヤバそうだから食べてみた」に感覚が変化していくと高野氏は言う。

…これも適性の問題かとは思うけれど、様々なモノを食べることで、著者の言葉を借りると、「食の可動域が広がる」わけだ。

「食」は人間の根底でもある。それが大きく広がるということは、その人の考えや人間性にも広がりが出るということだと思う。

そうなると人生はますます面白く、前向きに楽しめるだろう。

平坂氏も高野氏も本当に楽しそうだ。