右足の幅がFでした。

サブ6ランナーかく語りき

【神と仏の長距離走】大悲山 峰定寺

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今回は出町柳からスタート。

ナイルデルタ、メコンデルタに肩を並べる世界三大デルタのひとつ、出町柳デルタ。(うそ)

この日は台風が近づいているとのことで、空もやや曇り気味。天候に少し不安はあるものの、目的地として設定したお寺に向かってスタートする。

実はスタート地点に来るまで8キロ走っており、すでに汗だく状態。

慣れない連日のランニングのせいか、いまいち身体が重い。図らずもキロ7分程度のLSDペースで行くことになる。

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▲スーパーで買った謎のエナジーゼリー。さっそく摂取。効くのか?

出町柳からは下賀茂本通りを北へ向かいひたすら走る。右手に下賀茂神社を見ながら、北大路通り、北山通りを横切って行く。

ちなみにこの通りには京都の天才パン屋さん、ナカガワ小麦店がある。

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▲下賀茂神社の西を北上する。今日はここで古本まつりが開催されていた。

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北山通りをさらに北上。ここから住宅街に。

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▲昔からの生態系が維持されている深泥池。

深泥池(みどろがいけ)は氷河期時代の生物がいたり、植物は天然記念物だったりと、かなり貴重な池だったりする。

平安時代からあると推定されるこの池には、オバケが出るというのも有名な話。

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▲深泥池から岩倉を抜け、まずは鞍馬へ向かう。

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▲向こうに見えるのがごみ処理施設。あのあたりにツチノコが出るとか出ないとか。

叡山電鉄に並走してさらに北上、京都精華大学二軒茶屋を過ぎて市原までやってきた。

しばらく日差しを遮るものもなく、かなり汗をかいてしまった。

持参した冷凍のペットボトルもあっという間に溶けてすでになくなりそうだ。

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▲この辺りを走る人にはお馴染み、市原のローソン。

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▲さっそくガリガリ君でクールダウン。言うても今日も暑い。

出発から約2時間、市原のローソンに到着。おそらくこれより先にコンビニはない。

というわけで、まずはアイスを食べて身体を冷やす。

その後、水1本、凍った麦茶1本を購入し、エナジーゼリーを食べて出発する。

とにかく水分がなくなる事態が起きないよう、少し多めに背負うようにする。次に補給できるのはいつかわからないのだ。

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▲ローソンからさらに北へ、住宅街を抜け山の中へ。

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叡山電鉄の線路。このあとすぐに電車が通りシャッターチャンスを逃す。

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▲右の鞍馬方面へ。このルートは京都グランドトラバース65のコースでもある。

岩倉からはほぼ上り基調のコース。市原で休憩したとはいえ、なかなかこたえる。

とにかく足元は自重反発を意識して、丹田に集中、大転子からの足運びに気をつける。

ペースはのろのろだけどフォームは崩さないよう長く緩やかな上りを進む。

そして出町柳から約11キロ、鞍馬寺に到着。ここまでは順調に歩を進めることができた。

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▲京都でも有数のパワースポット、鞍馬寺

神社仏閣を紹介するというのなら、この鞍馬寺は外せないだろう。西へ抜ければ貴船神社もある。ネタの宝庫だ。

だけど、このブログではどちらかというとマイナーなところを紹介したいので、今回はスルー。次の機会に譲りたい。

とりあえず写真だけ撮り、鞍馬の集落を走り抜け、さらに山の方へ向かっていく。

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▲ここからは細い国道、鞍馬街道が続く。

鞍馬を過ぎて2キロほど進むと、いよいよ山の中という感じ。このあたりから脚に限界を感じはじめ、もはや歩くほうが速いペースになってくる。

自重、丹田、大転子…じじゅう、たんでん、だいてんし…呪文のようにつぶやきながらフォームを意識するも、身体が反応しなくなる。

歩き、走り、歩きを繰り返していたけれど、どんどん歩く時間が長くなる。

僕にとって登りは鬼門だ。それはわかっている。そこを強化するためにも今回のコースを選んだというのもあったりするのだ。

とはいえ、いよいよ厳しい。川で脚を冷やしたい。そう思いながら川沿いを行く。

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▲出発から3時間、やっと川に入れそうなところを発見!

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▲とりあえず足を冷やす。水が冷たい。

しばし川につかって蘇ったかと思いきや、そう簡単に回復するわけもなく。

結局、冷たくて気持ち良かっただけで、どんどん歩く時間が長くなる。

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▲まだまだ登坂は続く。

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▲トンネルつくる計画あるのかしらん。

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▲このまま真っ直ぐ。自転車乗りの人も10人くらい見かけた。

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▲もはや一切走れない。黙々と歩く…

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▲目的地の峰定寺まで17キロ!がびーん!

出発から3時間半、今回目的にしていた峰定寺の看板が出る。まさかの残り17キロ。

今、はっきりと心の折れる音が聞こえました。メメタァ

想定していた距離的にいうと間違ってないし、そんなもんなんだろうけど…

この状況、つまり登坂が続いて全く走れていない、しかも本調子でもない、そして暑くてしんどい時にこの現実はキツい。

この先しばらくは引き返すポイントを探しながら歩くという後ろ向きな気持ちで進むことになる。

だけど、なかなか引き換えせそうな場所もなく、とりあえずGoogleマップを見てポイントとなる花背峠まで頑張ることにした。

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▲かなり高いところまで来たっぽい。つづら折りが半端ない。

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花背峠に到着!気温は24℃。

やっとの思いで花背峠に着くと自転車乗りが二人、出発の準備をしていた。

携帯を持って挨拶すると、「撮りましょうか?」と気遣ってくれる優しさ。

いや、そういう訳ではないのです、と丁重にお断りし、花背峠から先、道がどうなっているか聞いてみた。

彼らはこのまま引き返すそうだけど、そのうち一人が以前にこの先へ行ったことがあるとのこと。聞けばこの後はほぼほぼ下りになるそうな。

それなら引き返そうが先に進もうが下りは下り。帰りはバスに乗るんだから、少しでも目的地に近い場所まで進んでみることにした。

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▲現在地から別所、花背を過ぎて画面中央の峰定寺を目指す。

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▲ここからは下りがメイン。走ったるでー!

とりあえず気を取り直して下っていく。「この先ほぼ下り」と聞いて気持ちに余裕が出て来たのか、意外と脚が動く。

かなり急な坂を右に左に折れながら走る。調子に乗って足を痛めないよう抑えて走る。

そういや高雄マウンテンマラソンの時もこんな下りだったなと思い出した。何事も経験しているとどこかで活きてくるもんだ。

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▲さっきのトンネルはここに出てくるのかな。

山道を一気に下り、視界が開けた先に現れたのが花背の里だ。このあたりは別所町と言うらしい。

しかしよくぞまあこんなところに集落があるなと思う。近くに高速もないし、鉄道もない。雪深いところだから冬は陸の孤島だ。

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▲ここから花背の里。のどか。

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▲かやぶき屋根の民家が見える。ザ・里山って感じ。

だけど、こういうところに走って来れるっていうのは本当に楽しいと思っている。

僕は高速道路から見える山間の集落や広がる田園地帯なんかに魅力を感じるタイプなので、普段見ることしかできない場所に身を置けるというのはそれだけで満足だ。

遠くから眺めていると、一見何もないような場所だけど、実際に来てみたら本当に何もない。コンビニも自販機もない。

だけど気になったところに気軽にフラリと寄れるのが走って来ている利点だと思う。

たいした距離ではないけれど、これくらいの場所まで来れる走力がついて良かった。

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▲田舎の神社。実は奥の方にも鳥居があって、かなり厳かな雰囲気だった。

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▲まだまだ下る。結構快調。

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▲紅葉橋のバス停。ちょうど21キロあたり。

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▲っていうか、バス停くらいしか写真に撮るものがない…

しばらくはあまりお腹も減ってなかったから持参したゼリーを食べていたのだけど、このあたりから急激にお腹が減ってきた。

朝は納豆ご飯しか食べてないしな。シリアルも一杯食べれば良かった。

自作のおにぎりを2つ持って来ているので、休憩がてら食べれそうなところを探しながら走る。

せっかくの昼食だ。できれば川に足をつけながら食べたい。その際、安全に川へ下りれるところがいい。そして日陰がいい。

とくに「安全に」というのはモストインポータントだ。こういう時にヘマをすればすべてが台無しになる。

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▲何とか川に入れないか見ながら走る。しかしどこも危なそうだ…

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▲結局、この神社で一休みすることに。

休憩場所を探して25キロ地点まで来てしまった。もう限界ということで、目の前の神社で一休みさせてもらうことにした。

この神社、大神宮社、通称花背神社というらしい。ただ、何の説明もないので誰を祀っているかもわからない。

調べた人の話では天照大神豊受大神をご祭神としているそうだ。

そんな神社でおにぎりを食らう。

木陰に腰を下ろして休憩すること10分。少し先に集落があるようなのでとりあえず行ってみる。

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▲だいぶ近づいてきた。待ってろ峰定寺!

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▲橋の下では親子が川遊び。楽しそう。

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▲川遊び親子とは逆方向へ進む。このあたり集落になってる。

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▲ナイスなタイミングでトイレ発見!

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▲しかも自販機発見!

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▲エネルギー補給!

別所町で見た自販機以来の自販機。しかも二台!いや一台でいいけど!

ここでもお茶を1本、水を1本購入し、エナジードリンクを飲んで休憩する。

トイレにも行けたし、あとは川に入りたいくらい。

あとずっと気になっていた「交流の森」という看板。自販機の横にも掲げられている。

何やら道の駅っぽいのかなと思っていたので、そこまで飲み物を我慢しようと思っていたけど、ここで補給しといて正解だった。

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▲集落を過ぎると多少のアップダウンはあるものの、基本走りやすい道。

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▲おー、気持ちいい。写真では伝わらないこの清々しさ。

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▲気になっていた交流の森。道の駅みたいな感じかと思ったらリゾート施設だった。

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▲水に入りたーい!…でもここで入ったら怒られるんだろうな。

交流の森は僕が思っていたようなサービスエリア的なものではなく、立派な施設だった。

家族連れが避暑地として訪れる場所のようで、川遊びはもちろん、バーベキューをしたり木工作品を作ったりできるそうだ。

独り黙々と走るおっさんには無縁仏、川に入ってる子供を横目に先を急ぐ。

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▲岩の上に小さな鳥居。魚釣りをしている人の姿も。

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▲ついに美山荘まで3.3キロ!ということは峰定寺もあと少し!

交流の森を過ぎて1キロほど行ったあたり、ちょっとした登坂でピタリと脚が止まってしまった。

あー、これは足が売り切れたってヤツだな。というのが自分でも不思議なくらい理解できたのだからちょっとは成長しているのか。

気持ち的には前向きだし、心肺もまだ問題ない。ところが脚だけはどうにも力が入らない。

もう何ていうかとりあえず暑い、水に入りたい!なんとしても!

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▲穏やかな川の流れ。お!あのあたり入れんじゃね?

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▲思った通り、期待してた通り、安全に下りれる場所を発見!

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▲人工的に整備されたかのように入りやすい場所。

そしてついに川へ入れる場所を発見!手前の流れは穏やかながら深さもある。

向こう側にはもっと深い場所があったけど、独りだし危険は冒さず我慢する。

そして着の身着のままドボン!

キャー!気持ちえぇー!このために走って来たんちゃうか。

仰向けになると身体をすり抜けていく川の流れが冷たくて心地良い。

そんな中、ふと空を見上げると雲の流れが異様に速い。そういや台風来るんだった。

あんまりゆっくりもできないなと思い、水との戯れもそこそこに先を急ぐ。

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▲深めの場所で全身つかる。なんて気持ちええんや。

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▲教会前のバス停。あと一駅!

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▲ちょっと深そうだけど、水がきれい。ステキ!

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Googleマップで何度も見た大悲山口のバス停!ついに到着!

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▲現在12:18。次のバスは14:35。このバスには乗りたい。

今回、帰りはバスに乗る予定なので時刻表を確認しておく。田舎なので一本逃すと致命的だ。

ドボンのあと、Tシャツは脱いでしぼったけど、パンツはそのまま。

インナーが入っているタイプなので脱ぐとポロリになるからだ。

今回はエロくてキモい通称エモパンで来ているのだけれど、濡れてピタッとしてしまい卑猥感が増大。

お寺に入れてもらえるかどうか懸念要素ではある。

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▲目指す峰定寺はこの先。あと2キロくらい。

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▲右手に川の流れを見ながら細い道を行く。その間にエモパンを乾かす!

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▲かやぶき屋根の家。今は無人みたい。

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▲あと1キロ!

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▲こんな感じの道が続く。

残り2キロからは走る歩くを繰り返す。ぶっちゃけ、川に入った時点でもういいんじゃね?的な気持ちになってしまった。

汗も流したし。

腑抜けた走りを続けながらまた汗をかいて来たので、どこか川に入れるところはないかと探し出す。

だって荷物を置いたらすぐドボンってすごく楽なんだもの。

ぴちぴちパンツの卑猥感なんでビーチク見せてるセレブのドレスと同じやで。(全然違う)

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▲ここもドボン出来そう…

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▲ここも…

 

大悲山 峰定寺

大悲山口から川沿いに進むこと約20分、12時37分に目的地である峰定寺に到着した。家を出発してから実に6時間。やっと本題に入る。

当初12時頃に着けたらいいなと思っていたので、まあまあ予定通りといえば予定通り。

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▲やっとのこと到着した。美山荘の奥に峰定寺の入口がある。

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▲ここが入口。参拝は15時半までとのこと。

峰定寺(ぶじょうじ)は1154年に創建された山岳信仰のお寺。その2年後に保元の乱、5年後には平治の乱が起こる、まさに平家が台頭する時代のお寺だ。

その後、平家が衰退し落人となった人々が移り住んだのが、ここ花背とも言われている。

社務所ではおそらく住職の奥様と思しき方がお出迎え。僕が行った時、ちょうど参拝を終えたご夫婦とすれ違った。

ここ峰定寺では参拝にルールがある。以前、志明院に行った時もそうだったけど、初めて来た旨伝えて参拝料の500円を納めて説明を聞く。

説明してくれたお母さんはとてもフレンドリーな方で丁寧に教えてくれるので安心だ。

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▲まずは奥にある社務所へ向かう。

仁王門より先、持ち込めるのは貴重品(お金)とタオルと飲み物だけ。和柄サコッシュみたいなものを貸してくれるので、それに入れて肩に掛ける。

本堂までは約400段の階段があり、途中にある鐘を一回だけ鳴らして本堂にお参りするスタイルだ。

そして階段を登る間、「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」と唱えながら登る。

六根とは、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚・意識 のことを指し、ご神体である大悲山を登りながら身を清めるのだという。

この説明をする時、お母さんが「どっこいしょ、どっこいしょ、ろっこんしょうじょう、ろっこんしょうじょう と言いながらね」と話してくれた。

うまいこと言うねーと思って調べてみると、「六根清浄」が「どっこいしょ」になったという説もあるそうな。

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▲これが仁王門。色褪せた感じが逆に威厳を感じさせる。

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▲近くでみるとなかなかの迫力。扁額(へんがく)=「門の上に掛かった看板」は平安時代のものだってさ。

仁王門から先は撮影も禁止なので文章だけでのレポートになるけれど、この峰定寺、確かに静かで清浄な空気が満ちた神聖さを感じる場所だった。

時折、山水を引いているホースからズゴゴゴッという音がしてビビったけど、お寺ということがわかっているからか、薄気味悪さのようなイヤな感じは全くしない。

当初400段と聞いていた階段だけど、体感的には200段くらいか。周囲を見ながら進むとあっという間に鐘まで到着した。

堂谷晩鐘と呼ばれる鐘を突く。静かな山に鐘の音が響く。趣深い。日本昔話みたいなシチュエーションだ。

すぐ上には本堂がある。日本最古の舞台造り建築なのだそう。仁王門と同じく色褪せた木造からは歴史を感じる。

崖にせり出して建てられているのだけれど、そこから見渡す景色は一面の山、山、山。ホントに山の中の山寺だな。

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▲門前橋。昔はここを通って仁王門に向かったらしい。

ここでお母さんの説明を思い出す。

「本堂についたら10分間、瞑想してください。風を感じて空気になったつもりで」とのことだった。

まずはお賽銭をしようと200円投げ込んだのだけれど、そのうち1枚が賽銭箱に引っ掛かってしまい、うまく穴に入らない。

しかもお堂の隙間から投げ入れるタイプだったため、中まで手が届かないのだ。少しの間、何とかできないか奮闘したけど、100円玉はピクリともしなかった。

そんな状態なもんで落ちないお金が気になって気になって瞑想どころではない。何なら今でも気になっているくらいだ。

とはいえ、とりあえず座って目を閉じる。風通しの良い場所なので気持ちいい。結局、5分ほど心を落ち着けてから下山した。

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▲樹齢900年は経つという杉の木。

峰定寺は修験道のお寺で、本堂のさらにその上に行くと行場がある。残念ながらそこを訪れることはできないのだけれど、外界から大きく隔離された場所は人知を超える何かがありそうだ。

参拝は30分を目安に戻って来るよう言われていたけど、もう少しいたいようないたくないような、そんな不思議な場所だった。

社務所へ戻って借りていたカバンを返す。その代わりに拝観した証拠となる入山証とパンフレットをもらう。

ホントはもう少しお母さんと話をしたかったのだけれど、僕が戻ったタイミングで檀家さんらしき人がやって来たので、そそくさと荷物を持って退散した。

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▲さらば、峰定寺。

ちなみに、峰定寺には「三本杉」という神木がある。ただ歩いて往復1時間とのことだったので、バスの時間を考慮し今回は断念した。

本尊の御開帳が9月、特別拝観は5月と11月にあるので、次回はそのタイミングを狙いたい。秋は紅葉もきれいみたいだし。

大悲山口まではもはや歩いて戻る。なんだかんだまた汗をかいてしまったので、川に入れるポイントを探しながら歩く。

とくに良さげな場所もなかったので、結局バス停近くの入水ポイントから川に入ることに。

そして、ここはガンガーか!ってノリで汗を流して身を清めて服を着替える。調子に乗り過ぎてちょっと寒いくらいになってしまった。

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▲バス待ちの間に最後のおにぎりを食べる。

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▲さっきまで晴れていたのに急に大雨が降り出した。ギリセーフ。

ひとつ上の写真と見比べてもらえばわかる通り、おにぎりを食べている時は日が出ていたのだけど、数分後、急に大雨になってしまった。山の天気は変わりやすい。

その後、バスに乗って走って来た道をそのまま折り返す。本数が少ないためか、思ったよりバスが混んでいて1時間半近く立っての移動となったのは想定外。

ただ、思ったより身体に疲労はなく元気だったのはおにぎりのせいか、瞑想のせいか、川に入ってさっぱりしたせいか…

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バスから窓の外を眺めながら、この時はきつかったなとか、もう少し頑張れたかなとか、今日の走りを振り返る。

そしてバスの終点、出町柳駅に着いたのは16時半。バスだけで2時間掛かってしまった。

今回の走行距離は約40キロ。家を出てから約10時間ほど掛かったけど、大満足のジョグトリップだった。