【琵琶湖一周ジョグトリップ計画】彦根 ~ 近江塩津
昨年の10月から更新が滞っていた【琵琶湖一周ジョグトリップ計画】。今年のGWを使ってやっと続きを走ることができた。
すっかりレポートが遅くなってしまったけど、自分の今後のためにもちゃんとまとめておこうと思う。
さて、今回は前回の続き、彦根駅からスタート。あわよくば湖西の方まで行ってやろうかと思っていたのだけれど、さすがに自分の力を見誤っていた。ぜんぜん走れない。
とはいえ、次回のために少なくとも琵琶湖北端には行っておきたいので、目的地を近江塩津駅に設定する。
彦根~長浜
彦根駅に降り立ったのが午前8時。予定ではもう1時間早く到着するつもりだったのだけれど、思わず二度寝をしてしまいこの時間。
休日ではあるけど、クラブの試合などがあるのか学生が多い。さらにハイカーも多く、思いのほか電車が混んでいた。
さて、彦根駅から、まずは琵琶湖へ向かって走る。左手に彦根城を臨みながら、ボチボチと走る。
▲彦根城の北側、城北を行く。
▲ちらりと天守閣が見える。おーい、ひこにゃーん!
長距離を走る際、僕は基本的にキロ6分のペースで走る。
とはいえ、後半はバテてキロ8分とか9分になるから自分には速すぎるってのはわかってるのだけど。
以前、武庫川ユリカモメウルトラを走った際、キロ6分設定で走って失速してDNFだったことがある。
たぶん、その呪縛みたいなものだろう。
とは言え、実はいまだに自分がどれくらいのペースで走るのがバランス良いのかわからない。走る距離とペースって難しい。
▲彦根城を過ぎると琵琶湖に突き当たる。手前にはお馴染みビワイチのロゴが。
▲ここから琵琶湖沿いに走っていく。いつものさざなみ街道。
▲スタートから約30分、米原市に入る。ホント言うと前回の走りでここまで来たかった。
5月上旬とは言え、この日は非常に日差しが強かった。さすがに真夏ほどではないにしても首の後ろなんかはこんがり焼けてしまった。
気候も良くて大型連休だもんで、いつもよりたくさんの自転車乗りに遭遇する。
▲烏帽子岩というのがあるのだけど、手前の石碑で隠れてしまった。
米原付近は琵琶湖の真横を走ることができるので気持ち良い。左手に琵琶湖、右手に住宅街といった感じ。
このあたり、お世辞にも都会とは言えない。どこか古めかしい印象があり、令和の時代に昭和を感じる雰囲気だ。
だけど、穏やかでのどかな風景は走っていても癒される。琵琶湖もキレイだし!
▲なぞの「まいちゃん号」の標示。さらに「12」って何!?
▲天気いい!対岸の山がうっすら見える。ええ眺めや。
▲そうこうしているうちに長浜へ到着。手前に長浜ドーム、奥には伊吹山。
このあたりまで約15キロ。やや身体の重さを感じるものの、おおむねキロ6分でそこそこ調子よく走れている。
長浜バイオ大学ドームを過ぎればJR長浜駅まではもうすぐ。一番目のエスケープポイントとして考えていたけど、それはさすがに大丈夫。
長浜~木之本
最初の異変があったのは16キロ地点。かなりの急角度で、類まれなる便意が僕を襲う。
さざなみ街道はコンビニはおろか自販機もない無補給地帯。ここでトイレを探すのはなかなか難しい。駅まではまだちょっとある。マジか。
と思ったら、ちょうど東屋があり、そこに簡易トイレがあるじゃない。ラッキー。しかもトイレットペーパーまで備え付けられている。もう紙ってる!
▲休憩した東屋。さすがにトイレは写真におさめてない。
用を足したついでにここで一度目の休憩をとる。日差しは強いけれど、日陰は風があって気持ち良い。
通り過ぎる自転車の集団をぼーっと眺めながらアミノバイタルをひとつ流し込んだ。
▲すっきりしたのでさらに進む。ん?向こうに何やら人影が…
▲でた!大仏!どうやら「長浜びわこ大仏」というらしい。初めて見た。
▲基本的にはこんな感じの道が続く。
琵琶湖の東側にあるさざなみ街道は、前述したけれど、道にほとんど何もない。ただ景色を見ながら黙々と走るのみ。
だから、暇なのだ。
暇で、かつ体力的、精神的に余裕があると、僕はたいてい自分のフォームについて考える。
長距離を走る達人に言わすと、フォームがハマればどれだけでも走れるそうだ。そういや原始人のおっさんもそんなこと言ってたな。いや、言ってたのはアメリカ先住民か。
いわゆる「ハマるフォーム」になるには、僕の場合、キロペース5:10から5:20くらいだと思う。
正確にはハマるフォームになるわけではなく、その雰囲気を感じるくらいだけど。
しかし今の僕はそんなペースで10キロと持たない。だから今回のようにキロ6分くらいで走るわけだ。
だけど、そうなると今度は適切なフォームが維持できない。結果、体力が消耗し、変な部位に力が入って痛くなって走るどころではなくってしまう悪循環。
▲途中、膝くらいまで琵琶湖につかる。暑いけど冷たーい!
▲何もない道がずっと続く。
▲まだまだ続く。日陰すらない。夏はヤバい。
どうすればハマるフォームで長時間、長距離を走れるのか。結局、そのフォームで必要な筋力をつけ、スタミナをつけるしかないのではないか。
つまり短距離でもフォーム優先で走るべきなのか。うーん、悩ましい。そんなことをぼんやり考える。
▲行く先々にはこんな感じで水門がたくさんある。
▲右の水たまりはビオトープらしい。
▲途中で見つけた「小江神社」の鳥居と社。湖畔にひっそり立ってる。
▲向こうに見えるのが竹生島。島自体がご神体。
さて、ここまで走り続けて20キロ。どうも調子があがらず、いやむしろ疲労感は増すばかり。ついにキロ7分へ。
どこかちゃんと休憩できる場所はないかと走っていたけれど、ご覧の通り日陰もない。もう限界というわけで、水門の軒で休むことに。
結局25キロ地点まで来た。
▲トレイルの大会で買ったクルミ餅。賞味期限ブチ切れ。でもうまい!
▲しばし風にあたりながら休憩する。ぜんぜん回復した気配がないような。
しっかりめに休憩をとって、いざ走り出したものの、やはりカラダがダルい。暑さか?エネルギー不足か?はたまたただのスタミナ切れか?
うん、たぶんスタミナ切れだと思う。年末の足裏事件から明らかに走る量が減っているのだ。その分がモロに身体に来ていると実感する。
▲わかりにくいけど「湖北みずどりステーション」という施設。
▲26キロ地点、琵琶湖から離れて道路の東側を走る。
▲このあたりがいわゆる湖北エリア。景色がキレイ。
▲木之本まであと8キロ。この時はまだ8キロも!という感じだった。
▲このトンネルが28キロ地点。ついに歩いてしまう。
このあたりから左足も痛くなり出して、歩きと走りを繰り返す。ついにキロペースは8分台に。もはや早歩き状態。
▲トンネルを抜けるとまたもステキな景色。身体の状態とは裏腹に気持ち良い!
▲ひろがる蓮華畑。レンゲには土を肥やす効果があるらしい。
▲瀬田から88キロか…。末広がりや。
▲ちょうど30キロ地点の「大表神社」。ここでも休憩する。
さっき休憩したばかりのような気もするけど、近くの神社でアミノバイタルを飲んでエネルギーを補給する。
実はこの時点でかなり精神的にもがっくりきていて、この先のゴールをどうするか自分会議をするためにも、一度脚を休めたかったのだ。
この大型連休、長距離を走る人やウルトラマラソンを走る人のつぶやきをたくさん見てきた。
そのせいか、自分も走れるんだという勘違いをしてしまい、いざやってみたら走れない。そんな現実を目の当たりにし、しょんぼりなのだ。
補給後、神社の水道から冷たい水をかぶるとちょっと元気がでたので、とりあえず本来のゴールまで行くか、エスケープするかを決める分岐点まで行くことにする。
▲余呉川沿いをひた走る。この区間が一番きつかったかもしれない。
木之本~近江塩津
▲ここが分岐点。木之本駅に行くか、近江塩津駅まで行くか…
大表神社から3キロ、分岐点に差し掛かる。木之本駅へ行くならこのまま約2キロ。近江塩津駅はあと8キロ。
しかし、残り2キロというのは何か味気ない。こうなったら休み休みでもいい、近江塩津駅までを目標として進むことにする。
本来ならば、歩行者や自転車は県道を通る方が良いのだけれど、今の僕はそうも言ってられない。国道を通る最短コースで行く。
▲分岐から集落に入る。「生糸の里」ですって。
国道に合流するまでにひとつの集落を通り抜ける。ここ西山は昔、生糸の里として栄えたらしい。ちなみに今は楽器糸などを作っているそうだ。
住宅が密集している集落なので、もしかして売店くらいはあるかもと周囲を注意深く見ながら走る。
すると、お店ではなかったけれど、自販機を発見!やった!
▲向こうに見えるのは、まさかKIRINの文字!?
▲おぉ!公民館の前に自販機発見!冷たいもん飲めるー
▲値千金のキリンレモン。あー炭酸うめー!
さらにここでも休憩を入れる。そしてついに冷たい飲み物をゲット。自販機を見つけた時の感動、キリンレモンを飲んだ時の充足感、これはここまで走ったご褒美だ。
相変わらず足は痛いし、別に体力的に復活したわけじゃないけど、気持ちは少し元気になった。
▲850メートルもある長いトンネル。
▲トンネルを抜けると目の前に琵琶湖。
長距離を走っていると、途中で「なんで走ってるんだろう」と自問することがある。苦しい状況になればなおさらそう思う。っていうか、僕はいつもそう思う。
今回も例にもれずそう思ったわけだけど、「なんで走っているのか問題」について、少し真剣に考えてみた。
▲ここもなかなかの地獄表。
決して走った距離をSNSにあげて、いいね!してもらいたいわけじゃない。…いや、ウソ。それもちょっとあるかも。
だけど、大会でもない、強制されたわけでもない、自分が自分で決めて走っている、いわばフリーランなわけだから、しんどくなったらやめたらいいだけの話。
▲かつて竹生島への舟乗り場だったところ。良い感じで朽ちている。
それでも長距離を走るっていうのは、走っていて楽しいと思える時があるから。
…というのも、もちろんある。だけどそれだけじゃない。
▲もはや見る影もない船着き場…
僕の場合、長距離を走ることで走れた実績が自分の矜持になる…と言えばちょっと鼻につくけど、つまりは「自分の位置確認」なのだと思う。
「自分はこれだけできるのだから自信を持って物事に取り組める」とか、「言いたいことをいうにあたりその裏付け、根拠」みたいなものだ。
▲いまここ!
漫画「タッチ」で達也がノーヒットノーランを狙うシーンがある。周りからは狙ってやるものじゃない、と言われるけど、達也は「狙ってやらなければ意味がない」という。
実績としてカタチになるものがなければ、今の自分はうまく立っていられない、というような意味なのだけど、それに似ている。
▲もうひとつ長いトンネルを抜ける。
要は自分が自分自身に納得できるかどうか。
おそらくそういった思いは誰しもあるだろうけど、僕の場合、現状では長距離を走るということがそうなんだと思う。
とはいえ、いつも足が痛いだの、スタミナがもたないだので、結局のところ己のふがいなさに自信をなくしてしまうわけなのだけど。
▲トンネルを抜けるとこの景色。ええもん見せてもろたわ。
▲そんなこんなで、ついに琵琶湖の最北端に到着!
▲たぶんこのあたりが琵琶湖最北か。
▲しばし琵琶湖を眺めながら休憩する。
最北地点には塩津浜緑地公園がある。みどりがあって浜があって、とても静かでいい場所だ。
木陰に腰を下ろして波打ち際を見ていると、心地よい風が吹いて気持ちいい。来て良かった。
気分的にはここでゴールにしたいところだけど、残念ながら周りに何もない。どっちにしても駅までは行かないとだから、もうひと頑張り走りに戻る。
▲ここから国道沿いの歩道がなくなるので集落の中を通る。
▲わかりにくいけど、こっち。
▲その昔、「塩津街道」といって、福井県の敦賀から物資を運ぶ要路だった。
▲住宅街を抜けると農道を走る。
▲ひっそりと稲荷神社。由来なんかは書かれてないんだよなー。
▲国道からのルートもあったけど、こちらの農道ルートから行く。
あとはこのまま国道8号線に出て北上すれば近江塩津駅だ。でも車が往来する国道の歩道を走るより、何もない農道を行く方が孤独感が強いのでしばしこのまま。
なんかもう己の矮小さを身に染みて走りたい気分なんだよ、今は!
水田のど真ん中、トラクターや軽トラしか通らないだろう細い道を黙々と走る。
途中、農作業のおじさんが「こんにちは~」なんて笑顔で挨拶してくれるもんだから、うれしくなって「こんちゃっす!」って大きい声が出てしまった。
瞬間的な人との接点は好きだ。
▲右の高架がJRの線路。もうちょっと!
国道に合流したら、あとはJRの線路沿いに走る。暑いしキツいし早くゴールしたいしで、もういろいろ限界だったと思う。
向こうに駅の標識が見えたところで、左腕のGARMINがピーっと鳴った。ちょうど41キロを示す合図だ。
ここでたまらず計測をストップ。あと数百メートル我慢できずに、今回のランは終了した。
▲近江塩津駅に到着!むちゃくちゃ疲れた。
目的地に到着したのが14時50分。休憩を含め、約7時間のジョグトリップだった。
あわよく名物サラダパンでも食べてやろうっと思っていたけど、駅の売店はしまっており、まわりに店舗もない。
そそくさと着替えて、とりあえずコーラを飲んで、今来た道を電車に乗って帰路につくのだった。
今回で3回目の走りになるけど、これまで118キロ進んだことになる。ちょうど琵琶湖の半分くらい。なんとか今年中には一周できるかなぁ。
次回は己を知り、もう少しキロペースを抑えてスタートしようと思う。そして「インナーで股擦れおこす問題」についても真剣に考えたい。