【読クソ完走文】カレーライスを一から作る/ 前田 亜紀
前回、「子供に教えたいこと」をテーマに書いたので、ちょっと似通った内容になるかもしれないけど、これも是非、子供たちに体験してほしい。
というか、僕が体験したい。それが本書「カレーライスを一から作る」である。
これはグレートジャーニーこと、関野吉晴氏が大学の講義でカレーライスを文字通り一から作ったドキュメントだ。
この作品の存在を知ってから、どうしてもこの映画を見たかったのだけど、残念ながらどこにも見当たらないので書籍で読むことにした。
我々の身近な食べ物である「カレー」。それを通して、様々な気付きを得ようというのがテーマとして描かれている。
カレーに入れる野菜、肉、そしてお米。調味料や食器まで一から作るというのは、なかなかクレイジーな発想だ。
でも、実際にはそれぞれを一から作ってる人がいて、僕らは9割出来た状態で購入し、最後の1割である調理を行っている。
カレーの具材や味付けに異様なまでのこだわりを見せる人もいるけど、それは所詮、1割の中で小躍りしてるに過ぎない。
いや、まぁ、その1割が結構大切だったりはするんだけど…
知らないことを知る、気付きを得る、ということ以外にこの講義を通して関野氏が伝えたかったメッセージがある。それが、「自分で考える」ということだ。
どう考え、どう判断し、どう実行するか。おそらく人が生きていくために最も基本的で最も重要なことだと思う。
「考える」には練習が必要だ。様々な情報(知識や経験や感情)を取り込み整理して結論を出す、この一連のシーケンスを鍛えるためにカレーを作る。
化学肥料を使うか否か、数ヵ月大切に育てた鶏を殺して食べるのか、そういった判断を実際の行動、結果と結び付けて学べるのはとても深い経験になると思う。
本書ではもうひとつ、印象に残った場面があった。
農家の人が、同い年の関野氏は世界中を旅する広い人生で、ひとつの土地で暮らす自分はせまい人生と言った時のこと。
関野氏は逆に自分が足元にある世界のことを詳しく知らないと言い、ものごとの原点を知ることが大切だという話をする。
僕も海外への憧れが強く、たくさん旅行している人や帰国子女の人なんかは無条件でスゲーって思ってしまう。
だけど、日本にいる自分にだって知識や経験を得る機会は十分あって、ちゃんと考えられる人になれるんだと、ちょっと勇気をもらった。
一通り読了した後、やっぱり映像として見たいと思ったので、本作の公式ホームページから問い合わせをしてみた。
残念ながら個人への貸し出しは行っていないということだったのだが、団体として申し込めばDVDの貸し出しを行ってくれるらしい。
しかも監督の前田氏やなんと関野氏までもお呼びして、上映と一緒に講演までしてもらえるプランもある。
マジか―。会社で有志募ってやろうかなぁ。経費で落とせるかなぁ。(せこい)
費用については変動があるらしいので、気になる方は公式へ問い合わせてみて欲しい。