【読クソ完走文】メシが食える大人になる!よのなかルールブック / 高濱 正伸
小学校では昨年から道徳が「特別の教科」として施行されている。どのような内容をおこなっているのかは知らないけど、教科である以上、評価の対象となるそうだ。
道徳というもの自体、つかみどころがないと言うか、何を持ってして道徳というのか、これまた不明瞭なところではある。
個人的にはネットリテラシーなどを徹底的に教え込んでもらった方が役立つと思うし、海外のようにボランティアに参加するなどすれば良いのではとも思う。
とはいえ、文科省が発行している冊子には結構こと細かに授業内容や評価について記されているので、僕なんかより数倍賢い人が練りに練った、身になるものなのだろう。
さて本書。子供たちが世知辛い世の中を生き抜くために何かしらのヒントになればと購入した。「よのなかルール」として50の項目が書かれているが、いずれも頷ける内容だ。
ただし、この内容を子供に読ませるのは少々難しい。とくに小学生には、書いていることはわかっても内容までは理解することができないだろう。
ある意味、子供向けの自己啓発本は丁寧かつ優しく書いているものの、当の子供が理解しにくいジャンルといえる。
なぜなら、圧倒的に人生経験が少ないから。
こういった本を子供に与えるならば、親が解説してやることが必要だ。最初から教える必要はないけれど、「この意味わかる?」とか「これってどういうこと?」とか、直接本人に聞いてみて、わからない内容はかみくだいて説明してあげなければならない。
たとえば、「直感力をきたえておく」というルール。解説には「いろいろな場面でこれぞ!という判断ができる」と書いてある。内容が抽象的過ぎて僕もわからない。
いろいろな場面って?これぞ!という判断って?そもそも直感力って?どうやればきたえられるの?などなど…。誰か教えてチョンマゲ。
というわけで、上記のように具体的な事例による説明が必要となる本書。これは読む側に経験と知識がないとストンと頭に入ってこない。
大人でも理解できないものであれば、いわんや子供をや。児童向け本とあなどるなかれ、子供たちのためにと思って購入したものの、思わぬところで親の力を試されることとなってしまった。
しかし、さすが本書。こんな内容もルールとして紹介されている。「親にカンペキをもとめすぎない」。
あらためて言っておくと、本書にはとても良いことが書いてある。むしろ僕の方がなるほどなーと感心したし、これまでの経験を顧みてしっくりくる内容だった。
ただ物事を教えるにはそれについて精通していなければならない。専門的とは言わないまでも、ある程度の理解が必要だ。そこが難しい。
話は戻って道徳のはなし。道徳を教科として教えるには道徳を理解していなければならない。
はっきり言う。僕には無理だ。
道徳の授業の効果がいかなるものか半信半疑なところではあるけれど、そこは学校の頑張りに期待したい。