右足の幅がFでした。

サブ6ランナーかく語りき

遭難者の気持ちはなんとなくわかる…【読クソ完走文】ドキュメント 道迷い遭難/羽根田 治

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遭難なんてどこの世界の話だと思っていたけど、トレイルランニングを始めて山へ行くことが多くなったことで無視できない出来事になった。

遭難というのは足を踏み外して崖から落ちたり、濁流に流されてしまったりして、こ、ここはどこだ…?みたいな状態のことだと思っていた。

しかも“何とかアルプス”とか“何とか岳”とか特別な山で起こるイメージだし、近所の低山を走る程度の自分は大丈夫だと心のどこかで決め込んでいた。

だけど、そんな危機感のない自分を戒める出来事があったのが2年前。

いつもの大文字山で切羽詰まる思いをした。 詳細は下記を参照。

結局、電波の届く場所でマップを確認できたので大事に至らず済んだと思っている。

もちろんそのまま進んでも車道に出れただろうけど、進むべき方向がわかっているのとそうでないのとでは精神的な安心感が全く違う。

精神が不安定だと、人は往々にして判断ミスを犯しやすい。

それは本書「道迷い遭難」にも記載されている人間の性とも言うべき性質なのだ。

 

迷った時の鉄則

どんな山行にせよ、迷った際に守らなければならない鉄の掟がある。

それは、

 

・迷ったら引き返せ

・沢に下りるな、尾根に登れ

 

この2点である。

本書には遭難事件として7つのケースが紹介されているが、いずれもこの2点を守らなかったことが原因、というか事態を悪化させている。

逆に言うと、おかしいと思った時点で引き返すこと、沢に下りず尾根にいくことを行っていれば遭難しなかったかもしれない。

とは言え、かくいう自分も大文字山の時は思わず沢をたどってしまった。

水があると安心できるのか、沢がなんとなく集落を連想させるのか、とにかく沢に執着してしまうのだ。

沢を離れて木々の生い茂る尾根を目指すにはなかなかの決断が必要だと思う。

 

赤布にご注意

山を歩く際、ひとつの目安になるのが「赤布」と呼ばれる目印だ。

わかりにくいルートの木の枝に布を巻いて進むべき道を明確にする。

本来はそういった目的のものではあるが、これがまた信用ならない時がある。

本書でもこの赤布を辿って状況が悪化した例が取り上げられていた。

登山者用のもの、沢登り用のもの、猟師や林業を営む人がつけたものなど、実は目的が様々ある。

道迷いの時に赤布を見つけるとものすごく安心するのだけれど、安易に信じるのは考えもの。

それからもう一つ、境界票を辿っていくのもオススメしない

境界票とは県境を示すため山中に打ち込まれた杭のこと。

僕はこの杭をたどって進んでとんでもない目にあった。

Googleマップのみに頼るとこういうことになる典型例だと思う。詳細は下記を参照。

 

遭難しないために

それでは、遭難を避けるために何をどうすればよいのだろう。

まずはできるだけ独りで行動しないこと。

人数が多ければ遭難しないということは決してないのだけれど、独りで判断すると往々にして選んではいけない方を選ぶ傾向にある。

そんな時、相談できる人がいると客観的かつ冷静に判断することができる。

とはいえ、僕も含め独りで山へ行く人は多いと思う。

そんな時はこれ以外のリスクヘッジをしっかりするべきだ。

次に必ず地図を持参すること。

もちろん地図を読めることが条件になるのだけれど、登山マップでもあるのとないのとでは大きく違う。

僕が良く行く山は京都一周トレイルのルートなのだが、必ず地図は持参している。

スマホの地図に頼るのもありだが、充電がなくなったら使えないのでやはり紙の地図は必要だと思う。

最後に行き先を身近な人に伝えること。

行き先を宣言するというのは、行き当たりばったりを抑止することにつながる。

つまり計画性が出るということだ。山行にはルート、ペースなど計画が必須なのは言うまでもない。

そして万が一遭難した場合、行き先がわかれば捜索も行いやすい。

こういった基本的なことを守る守らないが生死を分かつ要素になるのだから、十分に気をつけたい。

 

冒頭にも述べたが、山に入る以上、遭難の可能性は少なからず頭に入れておくべきだ。

事前の準備はもちろん、おかしいと思った時は「引き返す勇気」を心掛けたい。