右足の幅がFでした。

サブ6ランナーかく語りき

シェムリアップでぼったくられたけど、僕はもう一度カンボジアに行きたい。 <その5 トンレサップ湖へ>

5月24日 ~ 滞在4日目

カンボジアが誇る東南アジア最大の湖、それがトンレサップ湖だ。我々が訪れたのは乾季だったのでかなり水の量が少なかった。それでも琵琶湖の4倍ほどあるという。琵琶湖近くに住む僕にすると「あの琵琶湖の4倍だと!?」という驚きの感覚なのだが、雨季にはさらに大きくなって琵琶湖の25倍にまでなるというからさらに驚きだ。

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▲トンレサップ水系で採れる魚は、カンボジア人のたんぱく質摂取量の60%を占めるそうだ。(Wikipedia談)

話は変わるが、僕は舟が好きだ。以前、タイのアユタヤで小舟に乗って川を渡ったことがある。あの、頼りない乗り心地で水面が近く感じられる体験はいまだに忘れられない。単純に舟に乗るとテンションが上がるってだけでもあるけど。

 そんなわけで、トンレサップ湖でのクルーズは是非とも体験したい。しかもコンポン・プルックという地域ではマングローブの林を抜けたりなんかできるそう。結局、水位が低くマングローブの中には行けなかったけど、クルーズを楽しむだけじゃなく、アジアを感じる貴重な経験ができたと思う。

 

トンレサップ湖トゥクトゥクが行く

8時30分にホテルのロビーで運転手のサンボさんと待ち合わせをしていたので、朝ご飯を食べて出発の準備をする。水辺ということなので、入念に虫よけスプレーをし、さらに虫よけリングも装着しておく。

相変わらず時間通りにやって来るサンボさんのトゥクトゥクに乗り、いざトンレサップ湖へ。まずはシェムリアップ川を渡り、国道6号をひたすら東へ走っていく。この道を通るのは初めてだ。国道6号シェムリアップを東西につらぬく大通りで、結構、車やトラックが多い。

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▲とにかく交通量が多い。街の大動脈だ。

国道沿いは大きな店やホテルも多い。プサ・ルーと呼ばれるシェムリアップ最大の市場もあり、多くの人で賑わっていた。しかしながら、砂埃がすごい。コンタクトが痛くて痛くてしょうがない。

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▲旅の心残りは、この市場へ行けなかったこと。

しばらく行くと街から郊外へと雰囲気が変わる。途中、ロリュオス遺跡群と呼ばれるあたりを南に折れ、そこから田舎道をひた走る。うっそうとした林の中を赤土の道が伸びており、ところどころに屋台もあれば住居もある。正直、かなり不便な場所だと思うけど、人はどんな場所にも住んでいる。

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▲途中で見かけたマーケット。かなりの人で賑わっていた。

ホテルを出発してからだいたい50分、トンレサップ湖クルーズのチケット売り場に到着した。チケットはひとり20ドル。サンボさんからそう聞いていたので窓口で二人分の40ドルを渡す。すると42ドルよこせという。事前情報だと、トンレサップ湖では結構ぼったくられるケースが多いらしい。ガイドブックにも「個人で行くとかなりの確率で不愉快な思いをする」と書かれているくらいだ。

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▲チケット売り場。この先、トイレがないので用も済ませておく。

もしかするとコイツ、オレを日本人だと思って巻き上げるつもりか!?(2ドルだけど)しかしこっちには強い味方がいる。振り向きざま「サンボさーん!42ドルって言ってきよるで、こいつ!」と大声で叫びサンボ召喚。僕の尋常ならざる呼びかけに小走りで近寄ってきてくれるあたり頼もしいぜ、サンボさん!

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▲船着き場はまだまだ先。しかし今日は天気いいな。

チケット売り場の店員とひと言ふた言交わしたあと、サンボさんから「42ドルだったよ、ごめん」と衝撃の発言。てめぇサンボ!ガセ情報よこしやがって!たった2ドルで騒ぎ立てた自分がこっ恥ずかしいわ!どうやらひとり1ドルはここのコミュニティへの寄付のようなものらしい。ちゃんとチケットにそう書いてある。

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▲上がクルーズチケット20ドル。下が寄付?みたいなもの。

さて、このチケット売り場から船着き場まではあと6キロ。まだ結構あるなぁと思ってたけど、雨季だともっと手前から船に乗るみたい。このあたりまで川になるんだよとサンボさんが教えてくれる。

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確かに一本道の両脇は見渡す限りの平原だ。ピーク時はきっとここまで水がくるのだろう。風を切り、砂を巻き上げ、トゥクトゥクは行く。コンタクトが痛い。

しばらく行くと前方に何やら重機が数台見える。どうやら道を工事しているらしい。パっと見た感じ進める感じじゃない。これにはさすがのサンボさんもちょっと焦った感じだ。こちらもすでにチケット代は支払っている。これで引き返したら大損だぜ。

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▲突然の工事現場に唖然とする我々一同。

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▲サンボさんはたまらず確認しに行く。しかし、なんでこんなとこに洗濯干してる?

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▲一度トゥクトゥクを下りて、我々は歩いて迂回する。

日本であれば事前に工事の連絡やら標識やら出ているところだが、そこは東南アジア、そういった配慮は一切ない。チケット売り場のおっさんも何か言ってくれればいいのに。しかしちゃんと迂回路は用意されていたので事なきを得た。ちょっとドキドキした体験だった。

 

念願の小舟に乗ってクルーズ

船着き場に着いたらチケットを見せて舟まで歩く。水位が高いときは大きな船に乗るらしいのだが、今は乾季、早速小さな舟に乗り込む。いいじゃない、小舟!船頭の少年がエンジンをかけスタート。小舟は一気にスピードを上げ、狭い水路を走り抜けていく。我々も一気にハイテンションだ。

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トゥクトゥクとはまた違う臨場感!

クルーズは水上高床式の村からマングローブを抜け、湖で水上レストランに寄ってから戻るコースだ。所要時間はだいたい2時間。途中、寺院に寄るか?と聞かれたけどそこには行かなかった。マングローブの林も歩けるとのことだったけど、歩くのでは意味がないので遠慮しておいた。

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▲あの青い建物は学校。警察署もある。

ここトンレサップ湖は「世界の果てまでイッテQ!」という番組で手越祐也氏が「ノーチャラ生活」を送った場所だった。当時、僕も視聴していたはずなのだけど、恥ずかしながら、そのことに気付いたのは帰国後だった。

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▲これが水上高床式住居。雨季の水位は9メートルに達するそうだ。

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▲丸太をつなぎ、板を渡しただけの橋の上で舟を眺める子供たち。

番組は現地の人々にクローズアップした内容ではなかったが、テレビ画面に映った風景と実際に目にした景色は全く異なる様子だった。湖までの道中にも感じたことだが、人々の生活というのは国や地方によって本当に多様で、自分の価値観の狭さや偏見、思い込みを身に染みて痛感する。

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▲村ではちょうど結婚式が行われていた。おめでたい。

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▲我々が通り過ぎるまで踊りを披露してくれた少年。っていうか、そんなに浅いのね。

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▲空き缶に糸を巻いて凧揚げする少年。風がよく吹くそうで、凧はポピュラーな遊び。

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▲何かを引き上げる少年。魚捕りの網か。住民のほとんどが漁業を営んでいるらしい。

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▲雨季には隠れてしまう岸部。ゴミともなんともいえないものが散乱する。

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▲船上でケツを洗浄。でかいトイレだな。

こういったことは、本当であれば多感な10代の子供たちにこそ体験してもらいたいと思う。自分の小学校、中学校が人生の中心として生きている彼らにとって大きな刺激になると思う。6年間道徳の授業を受けるより、1回だけでもこの地を訪れたら何かが大きく変わると思う。残念ながら40過ぎたおっさんは、変わるには世間ズレしすぎている。

さて、水上レストランに着いて一休みする。お腹はとくに減っていなかったので、とりあえず飲み物だけ注文した。ヤシの実ジュースをオーダーしたのだけれど、ひとつ2ドル。街中だと0.5ドルほどなのでかなり割高だ。ま、立地的にもそんなもんか。

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▲ヤシの実ジュース。ホントにストローさして飲むのね。ちょっと薄い。

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▲レストランからカンボジアンガールが乗り込む。どうやらお店で使うバッテリーを充電に行くようだ。

一通りクルーズを堪能し、やって来た水路を戻る。船着き場に近くなった際、船頭の少年がチップをくれと言ってきた。もちろん舟を降りたら渡すつもりだったのだが、彼はまさかの15ドルを要求してきた。ほほう、かなり強気だな少年よ。

人々の暮らしが決して裕福でないのはわかった。若いながら働いている君の苦労も理解している。しかし、チップの額を決めるのお前やない、このワシや!申し訳ないけど、お寺にも寄ってないし、マングローブにも行ってないし、今回の仕事はイージーだったはず。悪いが3ドル以上、渡すつもりはない。

舟を降り、彼に3ドルを手渡す。露骨に不服な表情を見せてサンキューという姿は、しかし世間ズレした40代サラリーマンの心には刺さらない。オレもこれまで理不尽な仕事はいくつもこなしてきたしな。さらばだ、トンレサップの民よ!

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▲カメラを向けると笑顔を見せてくれる。心は純粋なのだ。

帰りのトゥクトゥクではあれだけ揺れが激しく強風を受けながらも居眠りしてしまった。隣を見ると家人も帽子を後ろになびかせながらガックンガックンしつつ爆睡している。舟に揺られ思いのほか疲れたのか、いろんなものを見て感じて疲れたのか、あっという間に街へ到着したのだった。

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▲帰りに一度ガソリンを入れる。750mlの瓶に入った燃料は1ドルでおつりをもらっていたからリッター100円くらいか。

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▲ワニ園のワニも祈ってる。合掌。

 

寄り道して帰る

街へ帰る際、サンボさんに2つお願いがあることを告げた。ひとつは洗濯物。昨日出した洗濯ものをピックアップしたい旨伝える。このあたりのランドリーなんだけど…と地図を指さすとサンボさんは瞬時に理解、オッケーと快諾してくれる。

もうひとつ、これも昨日からの課題であったスーツケース。実は2件ほどお店を回って目星はつけていたけど、こういうことは現地の人に聞くのが一番、サンボさんにどこか良い店を知っていたら一緒に来てほしいとお願いしてみた。

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▲街へ帰ってきた。シェムリアップ川を渡って中心地へ。

そんなわけで、まずはスーツケースを買いに。サンボさんは、セントラルマーケットと言っていたが、どこの場所だったかは覚えていない。

スーツケースが所狭しと並ぶ店内へ。さっそく店員と交渉する。いざとなったらサンボ召喚カードを切ろうと思っていたけど、それはそれで申し訳ない。まずは自分たちで交渉する。

いろいろ見せてもらった中で、黄緑の大きめスーツケースに決めてディスカウント交渉。店員さんも「これはチープだから」という理由で55ドルから下げようとしない。埒が明かないため、「50ドルならこれに決めるよ」と切り札的に言って、ついに交渉成立。

いい買い物ができたよ。ありがとう、サンボさん!…と、その時は思っていたが、帰国後、関西国際空港で黄緑のスーツケースを受け取ると、さっそくキャスターが壊れてちゃんと転がせなくなっていた。カンボジア人がチープと言うだけあって、本当にチープだった。しかも持ち手が中心からズレているため、荷物を入れた状態で持ち上げるとバランスが取れない。これは確かにチープだ。

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▲バイクの前に乗る子供。何かを食べている。

その後、ランドリーに寄ってもらい無事に洗濯物を回収する。心配していたようなことはなく、服はすべてきれいにたたまれて、ビニール袋に入って戻ってきた。これで1ドルか。家の近所にあったら間違いなく利用するな。

結局、ホテルに到着したのは15時ちょっと前。朝早くから結構長い時間、サンボさんにはお世話になってしまった。今回の滞在でサンボさんに会うのはこれで最後だ。3日分のお礼をチップに込める。「また来年待ってるよ」と優しい言葉を掛けてくれた彼は、最後まで紳士だった。

 

買い物、夕食、そして寝落ち

部屋に戻るとちょうど清掃の時間ということで、しばしプールに退避する。16時までうだうだと過ごし、アフタヌーンティーを頂いてから買い物へ行く。明日の帰国へ向けて買い忘れたお土産などを見るため、有名店にも足を運んでみた。

カンボジアでは日本人がプロデュースしたお店や商品が多い。そういうところはさすがのジャパンクオリティ。海外でわざわざ日本めいたモノを買うという複雑な思いはあるが、やはり良くできているし、そういう店の店員さんは丁寧だ。

例えば、アンコール・クッキー。これまでの東南アジア的な接客とはうってかわって、日本式な接客が現地では逆に違和感がある。なるほど、海外の人からは日本の店はこんな風に見えるのか。

我々が店内にいた時、ちょうど日本のツアー客がバスで到着し、文字通り押し寄せる感じで入店、それを待ち構えるかのように試食と商品説明を機械的に繰り返す店員、もはやコントのようにすさまじかった。

しかし、このアンコール・クッキー、実のところかなり美味しい。味的には間違いない。アンコール・ワットを模した形のクッキーの下部に「ANGKOR WAT」と書かれている。実は地元のスーパーにも模造品(?)が売られていて、文字のところが「CAMBODIA」に変更されている。味もマズくはないが、やはり本家の方がダントツ美味い。

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▲スーパーに売っていた方のクッキー。ドリアン味もあるよ。

もうひとつ、カンボジアの有名なお土産のひとつに胡椒がある。カンボジアの胡椒は世界一ィィィィー!と称されるほど。しかも、ホワイトペッパー、ブラックペッパーはもちろん、レッドペッパー、グリーンペッパーなんてものもある。この胡椒はお土産として買いだ。

ちなみに、グリーンペッパーとは生胡椒のこと。カンボジアに来たら生胡椒を食えとも言われている。とくに代表的なのが、「チャー・ムック・マレイッ・クチャイ」と呼ばれる、イカの生胡椒炒めだ。

最終日の夜はこれをチョイス。調べたところ、例のマッサージ屋のすぐ隣に有名店があるという。「クメール・テイスト」というお店で伝統的な家庭料理が味わえる庶民派レストランだ。ちなみにイカの生胡椒炒めは5ドル。

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▲この緑のツブツブが生胡椒。一粒でもかなり香り高い。

これでもかとふんだんに使われた生胡椒。房のままいくつも入っている。一粒噛むと口中に胡椒の世界が広がるのだが、5,6粒一気に行くと胡椒地獄だ。おかずを3品頼んだつもりが、なぜかすべてにご飯がついてきて思いのほか満腹になってしまった。ビールも頼んで20ドルほど。

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▲店の壁にいたヤモリ。30センチ近くあったろうか、これまで見た中で最もデカい!

この日はちょうど旅のテンションが落ち着いて疲れが出たのか、二人ともぐったりだった。トゥクトゥクを拾い、ホテルに戻って、部屋に着いたら、そのまま気を失うように眠ってしまった。明日はついに最終日だ。

次の日へ…