Mane Village Suites を全力で応援しようと思う
5月21日から4泊5日でカンボジアはシェムリアップに滞在したのだが、その時お世話になったホテルが「Mane Village Suites」というヴィラタイプのホテルだ。
「地球の歩き方」にも掲載されていない新しいホテルで、街の路地を入ったところにこじんまりとたたずむこのホテル、エクスペディアでの評価も十分高いのだが、評判通りとても快適に過ごせたので、個人的な感想にはなるが詳しく紹介したいと思う。
気になるところ
最初にちょっと気になったことを記したい。応援すると言ってのっけからネガティブな情報かよ、と思われるかもしれないがそういう訳じゃない。まずはこんなところもあるんだよということを知った上で良いところを理解してもらいたいのだ。
1.日本語が通じない
海外旅行をする日本人にとって非常に重要な問題、日本語。世界的にみて極めてローカルな言語であるが、観光地のシェムリアップでは日本語を耳にする機会は多い。大きなホテルでは日本語がわかるスタッフを常駐しているケースもあるが、このホテルでは日本語が一切通用しない。コミュニケーションは英語オンリーである。
▲玄関の壺にはまるでメダカのごとく熱帯魚が泳いでる。さすが南国。
当初、英語でもうまく意思疎通ができなかったので、お互いカタコトだとこんなもんかと思っていたが、オーストラリアから来た宿泊客とは談笑までしていたので、どうやら我々の英語がいけてなかっただけで、彼らの英語力には何の問題もない。むしろ英語さえできればちゃんとコミュニケーションはとれる。
じゃあ、英語がしゃべれなけばダメなのか、というとそうでもない。家人は散歩へ行く際、フロントスタッフにどこへ行くのかと聞かれ、「コノヘン、グルグ〜ル」と答えた出川級の英語力だが(いや、英語でもなんでもない)、そんな彼女でもフロントスタッフの力を借りて独りで街までマッサージへ行くことができたのだ。
とくにフロントの女性スタッフ、「メガネちゃん」は相手の言いたいことをくみ取る力が強く、質問と答えが異なった際でも、根気よく丁寧に話をしてくれた。そう、言語の問題なんてたいしたことないのだ。日本語が通じないからといって、このホテルを敬遠するのはもったいない。
2.思いのほかオープン
ホテルの入口にはドアがない。前の道からすぐにロビー、フロントがある。その後ろにプール、それに面してレストランバーと客室といった感じだ。入口から部屋までシームレスな作りが南国のラフさを感じさせる。
▲ロビーから外を見たところ。三角形の玄関が印象的。
我々が宿泊したのはスイートテラスというルームだったのだが、部屋の入口はドアではなく大きな窓。共用通路に面した窓が出入り口になるので最初は違和感があった。しかも、カーテンを開けっ放しにしていたら、プールに浮かぶ他の宿泊客から部屋の中は丸見えになってしまう。
バスルームもドアがキッチリと閉まるタイプではない。すりガラスの扉があるだけで、鍵もしまらない。トイレをする際は事前に「トイレ行くで!」と言っておかないと、洗面所を使おうと思ったら相手が用を足していた、なんて場面に遭遇することになりかねない。さらに慎重に用を足さないと部屋へ音漏れする懸念もある。
▲ガラスの扉をあけると洗面とトイレ、その向こうがシャワー。
しかし、これが南国リゾートの解放感なのか、1日も経たずにこのスタイルに慣れてしまった。とくに部屋を出たら即プールなのはすこぶる便利だ。当然ながらプールから上がれば即部屋に帰れる。これもまた素晴らしい。
3.学校が近い
ホテルの隣にはローカルな市場があって、その隣にはインターナショナルスクールがある。ちょうどホテルの南東が学校に面するカタチになる。
学校の朝は早い。早朝から子供たちの歌声が聞こえ、昼間も遊び声や笑い声が絶えない。午後からは学校放送が夕方まで続く。何を言ってるのか全くわからないが、想像するに、誰々のお迎えが来たよーってことかもしれない。
我々が泊まった部屋は東側だったので、とくによく音が聞こえていたのかも知れないが、当方、子供の声など気にならないし、それほど部屋に滞在していたわけでもないので全く問題なかった。
しかし、気になる人は気になるかもしれない。せっかくリゾートに来てるのに学校放送が聞こえるなんて!という具合に。何を言っているか意味がわからないのがせめてもの救いか。
▲結構、立派な学校のような気がする。
それよりも、同じ宿泊客だった黒人青年の方がノイジーだった。大きめのスピーカーをプールサイドに持ち出し、お気に入りのミュージックを大ボリュームで鳴らし踊る。
当の本人はノリノリで、コレがオレのスタイル、イェ!ってな感じだろうが、こっちとしたら学校放送の方が随分マシだぜ、イェ。
▲陽気なのは構わないが、周りに迷惑かけちゃダメだよ。
一度、ホテルのスタッフが、「彼の音楽が迷惑なら伝えて来ますよ」と気を遣ってくれた時がある。こちらは問題ないよと笑顔で伝えたが、その日以降、彼のボリュームは小さくなった。
4.お湯は無限じゃない
アジアあるあるだが、安いホテルだとシャワーは水しか出ない。その点、Mane Village Suites は5つ星ホテル。ちゃんとシャワーにお湯は出るのだ。
通常のシャワーヘッドともう一つ、天井から蜂の巣のような大きなシャワーがぶら下がっており、まるでスコールのごとく大量のお湯をかぶることができてしまう。
▲天井の巨大シャワー。取り付けの甘さが気になる。
それが楽しくて、滝行じゃー!などと思いながらご機嫌に頭を洗っていた訳だが、どうやらこの行為がお湯を無駄に消費してしまったらしい。
僕の後でシャワーに入った家人は途中から水しか出なくなったと、南国であるにも関わらずブルブル震えながら出てきた。まさに水行だったわけだ。
お湯の量が決まっているのか、何か装置のトラブルかはわからないが、お湯は無限に出てこないということをわかって欲しい。この後、無駄水を使わなくなってからお湯が出ないってことはなくなった。
5.その他、小さな不思議
日本だと当然なこともお国変われば異なってくるもの。例えば、電気のスイッチのオンオフが統一されてない。些細なことだが、何故こうなった…。
そして、シャワールームの水ハケが悪い。当初、滝行から供給される水量が排水溝のキャパをオーバーしたのかと思ったけど、どうやら単純に水が流れにくいようだ。何故、流れない…。
▲シャンプーやボディソープはアジアの香り。
百歩譲って水ハケは構わない。問題なのは洗面所のタイルが水に濡れると滑るということだ。同じタイルがシャワールームにも使われているので、身体を流している時も気をつけなければならない。
ぼったくりやスリなどの治安面、生水や露店販売などの衛生面、すべてを含め、おそらくカンボジアで最も注意を払ったのが、ホテルの部屋のシャワールームだったと言っていい。
ちなみに、部屋に使われている石タイルは濡れていても滑ることはない。何故、同じタイルを使わなかった…。
▲部屋のタイルは良いモン使ってる。
部屋にはキッチンが設置されている。旅行に来てまでわざわざ使う必要もないのだが、あわよくば市場で新鮮な食材を手に入れて調理してやろうかと目論んでいた。
しかし、残念ながら調理器具が見当たらない。それより何よりコンロに火がつかない。ウンともスンとも言わないので調べてみたらガス栓がつながっていない。
▲コンロの下を覗いてみると…設置されているだけ。
キッチンの水は出る。換気扇も回る。でも火はつかない。いや、わかるよ、火事にでもなったらそりゃあ大変だもの。だったら何でコンロを付けた…。
それでもいいホテルなんだって
僕はせいぜい出張でビジネスホテルに泊まる程度だし、都会の5つ星ホテルなんて足を踏み入れたこともないので比べようもないわけだけど、ここからは体感的に良かった点を列挙していきたい。
1.朝食が美味い!
朝6時から10時半まで、プールサイドのレストランで朝食が食べられる。焼飯、焼そば、目玉焼きなどから、フルーツ、シリアルなど、種類は少ないながらもビュッフェとして準備されている。
▲フルーツ、ヨーグルト、シリアル、フレッシュジュース!さわやかすぎるやろ。
しかしメニューから単品をオーダーすることも可能で、朝食だけで10種類ほどから選ぶことができる。頑なに食生活を変えない欧米人のためにウエスタンスタイルの朝食も用意されている。嬉しいことにすべて無料だ。
そして、この朝食が美味い。掛け値なしに美味い。4回朝食を食べたけど、どれも本当に美味しかった。
▲カンボジアのお粥、ボーボー。パンを粥の中に入れて食べるのが流儀。
席に着くと毎回ボーイさんが飲み物を聞いてくる。それならばとコーヒーをお願いすると、いつもコーヒーが先に運ばれてきた。それがカンボジア・スタイルかと思っていたが、別にそういうわけでもないらしい。もちろん食後にオーダーすることも可能だし、部屋に持ち帰ってゆったり飲んでも構わない。
2.午後にお茶の時間がある!
午後4時から5時の間、アフタヌーンティータイムと称し、飲み物と甘味のサービスがある。僕はこの時間に合わせて、急ぎ買い物から帰ってきたくらいだ。
▲下が見えないくらい葉で覆われたカンボジアティー。まずはスプーンで葉っぱを取り除くんだって。
カンボジアティーとドライフルーツ、焼バナナなど、結構な量のお菓子が運ばれてくる。とくに寒天や豆が入ったココナッツミルクベースのデザートが美味い。名前はわからないが、カンボジアの代表的な甘味らしい。
▲昆布のようにも見えるがそうじゃない。
わざわざどこかへ食べに行かなくても、夕方になればホテルで食べれるのが嬉しい。しかも無料だ。満腹で食べきれないドライフルーツは部屋に持ち帰り、夜な夜なポリポリ頂くのがカンボジア流 (ウソ)
3.トゥクトゥク乗り放題!
Mane Village Suites はメインストリートから西に約1キロほど離れたところにある。とはいえ、最寄りのスーパー「ラッキーモール」には歩いて行ける距離だ。そこから街をブラブラ見て回ると、あっという間にオールドマーケットなどがある中心地に到着する。
▲ラッキーモールは3階建てのそこそこ大きなスーパー。
ただ、暑いし歩きにくいし信号もほとんどないから道路横断も危ないし。そんな時、便利なのがホテルのトゥクトゥク無料サービスだ。街へ行く時は必ず利用していた。毎度、流しのトゥクトゥクを拾う必要がないのが嬉しい。
▲ホテルの前ではこんな感じでトゥクトゥクが待機している。
ただ、ちょっと遠くに行くときは相場の2ドルが必要になる。基準はよくわからないが、1.5キロを超えると請求されるようだ。我々の場合、「キャンディ・アンコール」へ行く時がそうだった。
4.他にもこんなサービス
チェックインの際、ウェルカムドリンクとしてトロピカルジュースが用意されている。これが冷たくて美味いのだ。部屋に入るとウェルカムフルーツのサービス。大味なところは否めないが、早速の南国感に気分もノリノリだ。
我々が滞在した5月、6月はキャンペーンとして、ホテル内の有料サービスがすべて半額だった。もちろんマッサージも半額だ。ただ、ミニバーもランドリーも半額であっても高いので利用はしていないが。
▲筒の中に毎日新しいミネラルウォーターが入っている。
そして毎日ミネラルウォーターを補充してもらえる。遺跡巡りから帰った際にも水をもらえたり、トゥクトゥクでもらたり、こちらも基準はいまいちよくわからないが、水はいくらあってもありがたい。カンボジアは暑いのだ。
5.裸足でもオッケー
これがいい点かどうかはさておき、裸足派の僕にとってはとても嬉しい環境だ。南国での開放感をさらに助長させる裸足スタイルは是非とも味わって欲しい。
▲朝食へ向かう通路も裸足でいく。
部屋は裸足、通路も裸足、ご飯食べる時も裸足。靴を履かない生活は潜在的なストレスを軽減していると言っていい。普段は裸足反対派の家人もこの時ばかりは同じく裸足スタイルだった。
▲レストランでも裸足。なんかね、もう楽チンなのよね。
シェムリアップでは街中でも裸足の人を見かける。まず、お坊さんは裸足だ。次に子供たち。おじさんも裸足率が高い。基本、靴やサンダルを履いてはいるが、裸足との境界が曖昧なのだと思う。
6.スタッフがフレンドリー
前述したが、スタッフは日本語を話せない。しかしそれをカバーしても余りあるホスピタリティがあると言っていい。そう、例え日本語が通じても不愉快な思いをする時はあるものだ。
当日の朝、トゥクトゥクの手配をお願いしても迅速に対応してくれたり、出掛ける時には行き先を聞いてくれたり、皆気軽に声を掛けてれる。
朝食時もお茶の時間も、軽い談笑(個人の感想による)をさせてもらった。1割の英語が分かれば、残り9割は工藤静香ばりに目と目で通じ合う、そういう関係なのだ。…まぁ、今日びはGoogle翻訳もあるし、日本人は筆談得意だし、実際何とかなるもんよ。
7.市場が近い
これはホテルの立地的なことだけど、隣にはNhae Market というローカルな市場がある。ガイドブックにも載ってない小さな市場だ。Mane Village Suites は最近できたところなので、トゥクトゥクの人にホテル名を伝えても首をかしげる事が多かった。そんな時、この市場の場所を示すと決まって「おぉ〜!」って反応をするので、地元では名の知れた市場らしい。
▲道路に面した市場の正面。奥までずっと店が続いている。
Mane Village Suites に泊まると、このローカル市場で手軽に地元感を体験することができてしまう。肉や魚を買うわけにはいかないけれど、無雑作に並べられた名も知れぬ食材は眺めるだけでもエキサイティング間違いない。
▲この市場感がアツい。ディス イズ アジアって雰囲気。
ちなみに道路に面した日用品ゾーンでは飲み物を買うことができる。ビールを買えるのは、おそらくここが最寄りだろう。ドルじゃなくリエル計算でするあたり地元感あふれている。
ただ、ここの市場は午前中しかやっていない。朝食後、散歩がてら訪れてみてはいかがだろうか。
8.ツアーについて
現地の旅行会社ではいろいろなツアーが企画されており、遺跡巡りなどはだいたい相場が決まっている。当初、我々もツアーを申し込もうかと思ったのだが、その時その時で気が変わるかもしれないということで、結局事前の予約はしていない。
そんな時、とても助かったのがホテルでのトゥクトゥクチャーター。だいたいのスケジュールは決めていたので、それに合わせてお願いすることができた。
我々を担当してくれたドライバーはミスター・サンボ。旅日記に幾度となく登場する彼は、とても丁寧な運転をする優良ドライバーだ。3日間お世話になったわけだけど、我々の旅行が成功したのは彼の運転あってこそだと思っている。
▲ホテルの前でサンボさんと記念撮影。
ちなみにホテルでのチャーター料金は下記の通り。
・小回りコース ~ 26ドル
・朝日鑑賞 ~ 15ドル
・トンレサップ湖 ~ 22ドル
その他にもツアーはあると思うが、我々は今回この3つをお願いした。費用はチェックアウト時にまとめて精算するので安心だ。些細な要望にも答えてくれるので満足度は高い。
Mane Village Suites はホテルとして十分清潔だし、当然アメニティも最低限揃っているし、トイレもウォシュレット(アジア式)完備だし、空調だって完璧だ。
体重計も置いてあるしアイロンもあるし金庫もある。コンセントは部屋に3つ、洗面所に1つ。いずれも日本のコンセントがそのまま使えるタイプだ。テレビのチャンネルも多く、日本の放送も見ることができた。
掃除は午後に1回、おばちゃん2人が担当だ。掃除の間はテラスやプールで過ごせば15〜20分ほどで綺麗にしてくれる。
そうそう、チェックアウトは12時なのだけど、我々の飛行機が18時発だったので、それまでかなり時間が空くことになった。メガネちゃんに相談したところ、時間まで部屋にいてくれていいという。ハイシーズンはそうはいかないかもしれないが、レイトチェックアウトもサービスだった。
空港までの送迎も無料なのだが、帰り際にドライバーから手紙と包みを手渡された。彼はそれが何か知らないとのことだったが、間違いなくホテルからプレゼントされたものだ。手紙に何と書いてあったのか、包みの中は何だったのか、それはご自身で確かめて欲しい。
最後にあらためて、 この4泊5日の滞在はとても快適に楽しく過ごすことができた。
ホスピタリティあふれる小さなホテル、Mane Village Suites を僕は全力で応援したい。
滞在時の様子はこちら