右足の幅がFでした。

サブ6ランナーかく語りき

【読クソ完走文】頭に来てもアホとは戦うな!/田中 耕太郎

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「アホとは戦うな!」とは、これまた挑戦的なタイトルだ。皮肉でも嫌味でもないことを前置きするが、著者は自分を「アホ」だとは思っていないということだ。そうでなければこんなタイトルはつけられない。

著者だけではない。このタイトルを見て「そうそう!」なんて思った人は自分がアホ側に属するなんて微塵も思っていないはず。

そこで考える。自分はアホか否か…。まずはアホの定義が必要だ。

 

アホとは一体どういうものか

本を開いて最初の章、一行目にこの本が言いたいことが凝縮されている。つまり、


「限られた資源を無駄使いするな」


ということである。これがすべてと言って間違いない。有限で貴重な人生を誰かのせいで無駄にするのはもったいない。誰かのせいで時間も体力も浪費するのはバカげたことだ。
この「誰か」のことを本書では「アホ」と呼んでいる。どうやらIQ的なことや、場にそぐわない言動をするってことではないらしい。自分の邪魔をする人、攻撃してくる人、権力を振りかざしてくる人、つまり自分の人生の足を引っ張ってくる人を「アホ」という。
裏返すと、回りの影響で人生を無駄に過ごしてしまっている人(自ら自分の人生の足を引っ張っている人)もまた、「アホ」と言えるわけだ。

 

自分がアホにならないために

本書は「アホ」への対処方法が具体例を交えて紹介されているわけだが、政界出身の著者の例は市井の民にはピンとこない。そういう「賢い」人の中にも「アホ」がいるんだな、と思うくらいだ。

ただ、自分の人生を邪魔してくる要素は千差万別、多種多様。ひとつひとつに対応するのは難しい。だからこそ自分がしっかりブレないポリシーをもって対応することが大切なのだ。

また本書には自分がアホにならないために、いくつかの注意事項が書かれている。その中で印象に残ったのは、「無駄なプライドは持たない」ということと、「他人の目を気にしない」ということの2点だ。

 

無駄なプライドとは

本書では「成功体験を持った人」が調子に乗って身の丈以上のことをしてしまう、または謙虚さを失うことを「無駄なプライド」と言っている。

先生、先生ともてはやされると、大した実績もないのに「オレは先生だ!偉いんだ!」と思ってしまう。立場が人を作るとはいうけれど、勘違い野郎はただのアホだ。

「他人に良く思われたい」と思っている人も要注意。良く思われたいが故に、相手から馬鹿にされたりなめられたりするとつっかかるタイプだ。

僕の経験上、そういう人間には小物が多い。Twitterなんかで自分の主張をムキになってつぶやいている人もそういうタイプだろう。

どんなに過激なつぶやきをしていても、スマホ片手に猫背になってチクチク文字入力しているのかと想像するとちょっとかわいらしい。どうでもいいけど。

結果的に持って良いプライドは、「自分の仕事の質に対するプライドのみ」と著者は言う。これには全く同意見だ。仕事に厳しい人は自分にも厳しいし、そのためには無駄なプライドは邪魔なのだ。

そういえば「 棄てな棄てな まじなプライドを」と少年隊も歌っていたっけ。

 

他人に合わせる必要はない

突然だけど、僕はモテたい。ちやほやされたい。そういう意味では他人の目を気にしている。

だけど、本当にモテたいなら、たぶん裸足では走らない。裸足でマラソン走っても黄色い声援が聞こえたことは一度だってないもの。それでも裸足で走るのは自分がやりたいからだ。

他人の目を気にするとは、それによって自分のやりたいことができない、やらないということに他ならない。直接的に足を引っ張られているわけではないけど、知らず知らずのうちに自分の人生を乗っ取られている。それに気付けないのもやはりアホだ。

とはいえ、人生なかなかままならないもの。自分の力ではどうにもならない大きな力というのは存在する。家族、親戚、仕事…それぞれの環境で求められる役割がある。そこは仕方ない。

ただ自分の裁量で動けることについて、わざわざ自分から他人に合わせに行く必要はないはずだ。

 

正直者は馬鹿を見るか

本書は「アホとは戦うな!」というタイトルではあるが、実のところ「アホにはなるな」と提唱している。つまり、つまらないことに翻弄されて時間を無駄に過ごすなということである。

人間、生きていると必ず他人と接することになる。その時、自分の中に芯の通った考えがないと、いろんな意味で損をしてしまう。

シニカルな言い方だけど、残念ながら世の中は公平ではないし、理不尽だし、矛盾だらけでできている。そんな世界でバカ正直に生きていてはアホになってしまう。

もちろん、品行方正でありたいと思うし、他人に迷惑を掛けようとは思わないけれど。

本書では上に挙げた2点の他にも、いくつかアホにならないためのアドバイスが紹介されている。それらを踏まえ、冒頭の疑問「自分がアホか否か」を判断した結果、うーん、残念ながらちょっとそのケはありそうだ…。

だけど、同じアホになるならば、やりたいことを思いっきりやって「あいつはアホだ」と言われたい。