右足の幅がFでした。

サブ6ランナーかく語りき

”今そこにある危機”にどう向かい、対処するか。

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突然ですが皆さんはトレイルランニング中や山登り中、もよおしたことはありますか?

人間、誰しも食べたら出すもの。そのタイミングは時と場合を考慮せず、”今そこにある危機”として訪れることがあります。街中であれば今や郵便局より多いと言われるコンビニへ駆け込んだら済むわけですが、トイレのない山の中だとそうはいきません。

山へ行くことが多ければ多いほどその確率は高くなり、いざ危機が訪れたその時、どうするべきなのか。そうです。ノグソするしかないのです…

何を隠そう、実のところ僕も2回ほど経験があります。詳細は生々しくなるので割愛しますが、40過ぎたおっさんが何をしているのだと、情けない気持ちになったことを覚えています。

しかし、そんな僕の行動を肯定してくれる、いやむしろ推奨してくれるのが今回紹介するこちら、「葉っぱのぐそをはじめよう」という本。

内容はタイトル通り、ノグソをした後はその辺に茂ってる葉っぱでオケツを拭きましょう!というもの。いや、葉っぱで拭く以前にノグソしないし。という指摘はもちろん、これはノグソする人向けに「拭くなら葉っぱがいいよ」って本でもあります。

とはいえ、食べたら出るのが人間の性。野メシや山ゴハンというジャンルはメディアでも紹介され、書籍も多数、それらを題材にした漫画もあるほど。しかしそればかりがもてはやされて、出す方、つまりノグソ山トイレがタブー視されるのはおかしな話でもあるわけです。

トレイルランニングをしていれば、いずれこういう機会に恵まれる?もの。ロングトレイルなんて走ろうものならなおのこと。そういえば千日回峰行を行っていた塩沼亮潤大阿闍梨もノグソしたって言ってたもんな。そんな不可避必至の出来事に備え、葉っぱのぐそを知っていれば心に余裕もできるのではないかと思います。

 

ところで、著書の伊沢氏はノグソの実践・普及に尽力する「糞土師」として活動されています。この方の「糞土思想」はひと言でいうと「ノグソで世界平和を目指す」という考え方で、彼の本気度はハンパありません。

ノグソが地球を救う…そう断言する彼の思想はいわゆるパーマカルチャーで、ヒトの営みも自然サイクルの一部であるべきというもの。本書後半の「糞土思想」に関する記述は大変興味深い内容なので、是非一読して頂きたい。

それに加え、ノグソQ&Aも面白い。「雨や嵐の日はどうするんですか?」という基本的な質問から「オシッコも一緒にしていいんですか?」という愚問にまで丁寧に回答しています。

またノグソは軽犯罪になるのではないか、ノグソによる水質汚染問題、糞害問題、日本人全員がノグソをした時のシミュレーションなどなど、社会的な側面からもQ&Aを通して考察されています。

一番納得したのは「ハエがたかるので汚いです」という意見に対し、「汚いのはハエよりも、自分が出したウンコではないですか?」という回答でした。

 

と、ノグソ談義はまたの機会にするとして、今回はあくまでトレイルランニング中にもよおした際の対処ということで話をすすめたいと思います。要は出した後、どうするか

以前読んだ服部文祥さんの本には「川の少し離れたところで用を足し、終わったら川へ行って水をすくいながら洗う」とハンドウォシュレット的な方法が紹介されてました。ただいつも川が近くにあるわけではないし、直洗いはちょっと…と思わなくもない。

その点、葉っぱというツールが使えるということはノグソ初心者にとってハードルを低くしている要素。というわけで、本書に掲載されていた、使えそうな葉っぱをいくつか紹介したいと思います。

 

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■フキ
まさに拭くための葉っぱという名前のフキ。葉っぱの大きさも適度で安心感がある。幼葉はやわらかく、産毛もあって拭き心地も良いらしい。ちなみにフキノトウはお尻の谷間にフィットして、尻触りもかなり良いとのこと。

 

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ヨモギ
成長すると固く細くなるため使えないが、若葉はどこでも見かける手に入りやすい葉っぱとして重宝しそう。使い方は若葉を先端から20㎝ほど茎ごとちぎり取って、それを束にして拭く感じ。

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タンポポ
なんと花の部分を使って拭くという、貴族的な趣向。大きめの花を2~3、柄をつけて摘んだ後、指に挟み込んで使う。花部分は繊細で弱々しいため、仕上げ拭きに適しているのだとか。

 

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■クズ
日本中どこでも茂っていて、その繁殖力故に海外では危険外来種として恐れられているクズの葉っぱ。子供の頃、山で転んで出血した時にこの葉っぱで血を拭いた経験がある。確かに使いやすそう。

 

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■コナラ
日本の雑木林でよく見かけるコナラ。どちらかというと、少し湿った枯葉の方が使いやすいよう。秋は同じくクヌギやクリの落ち葉を見かけるけど、その中でもコナラが最も使いやすいとのこと。

 

著者は他にもススキやキノコなどでも試している。そう思うと、どんなものでも拭ければそれで良いのかもしれない。要は拭いたものも拭かれたものも自然に還るということが重要なのです。

余談にはなりますが、ノシッコをした際、女性の場合はコケを使って拭くと良いらしいですよ。

 

はじめて伊沢氏のことを知った時、「これはクレイジージャーニーに出演すべきだ!」と思ったけど、先日タモリ倶楽部に出ておられるのを見て、あぁ確かにタモリ俱楽部案件だわな、と妙に納得してしまいました。

ご本人はノグソをスポーツのようにとらえ、自らをアスリートだとおっしゃっています。山を走り、誰も来ないきわどい場所でノグソする…その内、エクストリーム・ノグソなんていうジャンルが出てくるかもしれない。

今のところ、積極的にノグソをしようとまでは思わないのだけれど、トレラン中、危機に直面した際の心持ちという意味では不安や後ろめたが軽減されたました。そして手を伸ばせば葉っぱがある。それだけで安心して用を足せそうな気がするのです。