大地を走るのではない、大地が過ぎていくのだ。みたいな話
ついこないだ、twitterを騒がせた (特定の人のタイムラインだけかもしれませんが) 書籍を読みました。
「ぼくは原始人になった」という題名の、ちょっと変わったおっさんのドキュメント。サバイバルを中心に書かれた本書ですが、一般的なサバイバル指南書とは一線も二線も画す、というかコンセプトが全く異なるのでうまく説明できないけど、著者の言葉を借りると「大地と信頼関係にある」ことを説明している解説書でもあります。
30分間、ヤギを全力で追いかけ回して狩るというエピソードとかアホちゃうかと思うけど、これこそ「BONE TO RUN」で人間が長距離走を得意としていた所以であると結論付けていたことと考えると、まさにヒトとして正しい姿勢なのかもしれない。(あくまで自然の中でという意味だけど)
そんな彼が普段履いているのは自作のサンダル。本文にはスコット・ジュレクやタラウマラ族などお馴染みの(?)名前が出てきます。タラウマラ族とは交流を持っていたようで、本書では彼らの食生活にも言及しています。
そんな生活をしているので、自ずと裸足についても造詣が深くなり、彼なりの考えを展開しています。「緩衝物をたくさん使わないとどこかを傷めるというのは、ランニングシューズ神話だ」と言い切り、「肉体を最高の健康状態に保つには、衝撃にさらすべし」つまり裸足で走るべしと言ってます。
①いかに着地するか、また ②姿勢が美しいかという点に留意し、裸足走法(自然走法)の練習方法についても説明しています。細かい内容は割愛しますが、彼の理論でいくと、
裸足で走る
↓
足の裏の筋肉が鍛えられる
↓
体のバネが柔軟になる
↓
結果的にやわらかく着地できる
↓
つまり姿勢がよくなる
とのこと。
姿勢が良いと何が良いかというと、これはFDSの考えに当てはまります。Fはフォーム、Dはディスタンス、Sはスピード。フォームが良ければ距離を走れるしそしたら速くなるよという、チーランニングの考え方と同じです。
これが実践できれば走るのが楽になるそうで、その例えとしてアメリカ先住民の言葉を引用しています。「自分が大地の上を走るのではない。大地が体の下で動きはじめ、自分はそれに合わせて脚を動かすだけだ」と。なんかソフトバンクの孫さんみたいな言い回しだけど、そういえば小出監督も同じようなこと言ってた気がする。
もう一点、数多の極限状況を生き延びた著者が気付いたこと、それは何よりも酸素の供給が肝心ということ。それは走る際も同様で、「酸素処理能力、VO2マックス(最大酸素摂取量)が重要」だと説いています。それは言い換えると「呼吸が大切」だということ。
以前、酸素をたくさん取り入れる呼吸法を教えてもらったことがあるけど、僕は呼吸のコントロールが苦手で、走っていると安定した酸素摂取ができていないと思う。ちなみにアスリートだと60の値で優秀だそうです。そう言われてもピンときませんが。
本書に書かれてることをまとめると、全く当たり前に言われてることばかりなのかも知れません。でも、馬のレースにサンダルで出場するような人が言うと俄然真実味を帯びてくるから不思議。やってることはイカレてるけど。