右足の幅がFでした。

サブ6ランナーかく語りき

ホームマウンテン、大文字山を紹介してみる <4>

 

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今回は大文字山の山頂からスタートします。

前回、頂上でハイカーの方から聞いた頂上からの別ルート、今回はそこを開拓するためやってきました。頂上では以前、比叡山を走った時に顔見知りになったランナーの方と遭遇。人に会うことはめったにないのでテンションあがりつつも、これがすぐに不安に変わっていきます。

結論から言うと、山をなめちゃいかんということで。遭難したわけじゃないけど、そんな気分を味わうハメになりました。

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▲午前10時、快晴。良い一日になりそうだ!

大文字山山頂からは主に2つ、山科方面からのルートと火床へのルートがメインです。ただ、このコースも走りなれてしまったので、ちょっと変化がほしいな、というわけで今回のルート開拓に至りました。景色が見える逆側、北側はゆるやかな下り斜面ではあるけれど、道らしき道はなく木々が乱立しているので見た目に「ここを進もう」という感じではないのです。

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大文字山、山頂の裏側。この時点でどこへ向かえばいいのやら。

とりあえず、下ってみないことには始まらないので下りやすいルートを見つけながらサクサクと進みます。目印もないため、なんとなく進みやすくなってるところを下っていくと正面に道らしき地形になっていたのでそこを進んでいきます。

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▲まっすぐ下ると道らしきところが。とりあえずここを進む

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▲左手に進む。右は崖っぽくなっている急斜面。下を見下ろす感じ。

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▲なんとなく進めそうな雰囲気なのでこのまま直進

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▲赤い目印発見!ここで道が3つに?わかれてる。直進するのは難しそう

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▲左へ行くとなんとなく火床の方へ向かう感じ。今思えばこっちが正解だったか…

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▲右の方がちゃんと道っぽくなってたので、今回は右へすすみます。

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▲わかりにくいけど、見上げた写真。この上がさっきの見下ろしポイント

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▲なんかちゃんと道になってるので、土手の上を進みます

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▲と思ったら、また広いところへ出た。広くて逆に進む方向がわかりにくい

正面は水がちょろちょろ沢っぽくなっていて行き止まり。倒木を越えたら左に進んでいきます。おそらくこの水がこの後、流れになって山を下って川になって銀閣寺前の白川疎水に合流することになります。何て名前の川か知らないけどその源流みたい。

引き続き山というより森のような開けた場所を進みます。枯枝がたくさん落ちていたり、整備された感じではないので全く走ることはできず、周りの様子を見ながら歩いていきました。

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▲おぉ!切り株の上に石が!もしやケルンか!?じゃあ、ここまではあってるかも

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▲シダの群生をかき分けかけ分け…このあたりからなんかあやしい雰囲気

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▲かなりコケのついた石や木が多い。ということはあまり人が通らないのかしらん。

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▲根っこから倒れた木を目印にと思って撮ったけど、意味はない

ちょろちょろとしみ出していたような水もここまでくるとちょっとした流れになって小さな川をつくってました。まわりはぬかるんでいて歩きにくい。このあたりも開けていてバーベキューをしたりするには良い感じ。木の枝にフライパンが挟まっていたので、誰かが何か調理していたのかも。

このまま流れの右側を進んで行ったけど、ここも途中で行き止まり。さっきの小川を横切り、流れに沿って左に進んでいきます。

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▲さっき根っこの横を流れていた川を横切る

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▲流れに沿って進むも、もはや見た目にやばい

上の写真でもわかる通り、進むべきルートがよくわからない。倒木を乗り越えてたものの、進める陸地がないのでそのまま川に入って進んでいくことに。この辺りはまだぜんぜん浅いので大丈夫だけど、川を下るというのには一抹の不安が…。

ここで頭をよぎったのが、「山で道に迷ったら沢に降りずに尾根に登れ」ということ。沢は歩き易いし下ってるし、このままいけば下山できるんじゃないかと思うけど、滝があったり崖があったり非常に危険。悪天候だと鉄砲水の危険性もあるので避けるべきルート。

対して尾根には登山道も多く正規ルートに戻りやすかったり、登山者に遭遇できたり、自分の位置を再確認することができるので、登るのが大変でも上を目指すのがセオリー。とはいえ、見た感じ登りようがないし、とりあえず今回だけということでこのまま川を進みます。

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▲しばらくいくと右手に進めそうな陸地発見。

右の土手に上がってなんとか上に登ろうかとしたその時、キィヤーーーーーーッ!という鳴き声が!一瞬、白装束の女の人が包丁持って襲い掛かってくるイメージが頭に浮かんだけど、声の方を見ても何もない。サルかキジか鹿なのか…そこはかとなく抱いていた不安を現実として実感した瞬間でした。独りって心細い!

斜面の上を警戒しながら進んでいくと、またも行き止まり。すんなり進めそうで進めない、また先ほどの川を渡って左手に進んでいきます。

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▲でも結局行き止まり。もう一度川を渡る。向こうに見えるのが進んできた道

今渡った川の向こう側にも、もう一つ流れがあって、ちょうど2つの川が合流するデルタの先っちょに出ました。これまでうっすらとした流れだったのが、合流することで川幅も広く流れもしっかりしてきて、なるほど、このまま流れが強くなると川を下るのは危険だなと思いました。

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▲ちょうど左側からも川がながれていてここが合流ポイント

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▲またしても川に入って進んでいく。流れもしっかりしてきてる。

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▲さらに進む。右手奥に山手へ進めるところがあったので一度川から出る

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▲そのまま行くとだいぶ上の方へ来てさっきの川が結構下の方に…

ここでちょうどスタートして1時間が過ぎました。川の流れも急になってきたので、一度川から離れ、斜面を登りつつ流れを目視しながら進んでいきました。もはや道なき道を進む感じ。とはいえ、なんとなく人が通ったような跡も見受けられたので、それを慎重に見極めながら進みます。

斜面がきつくて山側の足(右足)を踏ん張るので、ワラーチのひもがズレてきていて、そこそこ滑るので変なところに力が入る。ここで無茶して怪我でもしたら大変だと思ったので、持って来たおにぎりを一つ食べて休憩しました。

この時、かろうじて携帯の電波が入ったのですかさずGoogleマップを開いて現在位置を確認!すると山頂からほぼ北へ進んでる。あまり変なところへは行ってないみたい。東に比叡山グラウンド、比叡平が確認できたけど、斜面が急でそこへ向かうのは難しい。なので川の流れに沿って北側の国道を目指すことにしました。

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▲電波がつながったのでGoogleマップを開いてみる。とりあえず国道を目指す!

目標が定まったのでこのまま北西を意識しながら進みます。ここでもさっきと同じ甲高い鳴き声が聞こえて、上をみたら鹿の角が見えたのでさっきの鳴き声は鹿の声かも。でもかなり激しい感じなので警戒してるのかも。っていうか鹿の鳴き声、知らないかも。

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▲しばらくいくと気に赤い布が巻いている!人が通った後だ!

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▲もしかして看板か!?と斜面を下って見に来たら、へんな形の木でした

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▲足もワラーチもどろどろ、土まみれ。

ここまで川の流れを左下に確認しながら、かなりの斜面を進んできました。途中、ニホントカゲが出てきたり、シマヘビが出てたり、大きな蜘蛛の巣を顔面にくらってしまい軽くパニックになったり、まあ、あまり人が通らないところなんだろうなと思いつつ、何とか前に前に進みました。

斜面、川、斜面、川という感じで進めるところを進んでいきます。これまでくるぶしくらいまでだった川もところどころ膝下くらいの深さがあったり、結構な段差があったり、いよいよ危険度が増してきた雰囲気。

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▲このあたりは石や岩がところどころにあって、川底はやわらかい砂だった

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▲結構な流れ。ここで足とワラーチを洗浄

できるだけ山側を進んでいきますが、ここでまたも印を発見!印があるってことは人が通ったってことで、つまり人が通れる道があるということ。だと思っていたけどそれらしいルートが一切見つからない…。結局、とうとう川へ降りるしか進めるところがない、という状態になってしまってしばらく川を進むことに。

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▲さらに進むと赤いビニールテープ!人のにおいだ!

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▲しかし山を進む道がなく、覚悟を決めて川を下る

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▲でもだいぶん道に近づいてる!

いくらか進んだ時、斜面の上にまた鹿が!今度はドトロッ、ドトロッという走る足音まで聞こえるくらい近い場所に出現。鹿が走れるということは歩きやすい場所なのか?ちょっと尾根っぽいぞ。ということで、ここで思い切って川の流れに別れを告げて、斜面をひたすら登ります。

もしかしたらちゃんとしたルートがあるかもしれない。誰かいるかもしれない、そんな期待をしつつ、ただの斜面を駆け上りました。しかし、登りきってもあるのは変わり映えしない景色。結局、やっぱり山の中。そう落胆しかけた時、「ドゴーン!」という大きな音!思わず姿勢を低くします。

銃声か!?もしかしてさっきの鹿を猟師が撃ったのか!?その時は本気でそう思いましたが、よくよく考えると狩猟期間は11月から。(山賊ダイアリーより)この時期に銃を使うのは禁止されているはず。じゃあ、あの音は何だったのか…知る由もありません。

ただ、そうこうしている内に川の流れの音に交じって車のエンジン音が聞こえる!どうやら目標にしていた国道はもうすぐそこみたい。地図で見る限りさっきの川の向こう側なので谷を突っ切って向かうことにしました。

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▲不法投棄か!?でも誰がどうやってこんな山奥に!?

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▲ついに車道を発見!やったー!

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▲北白川側から山中越に向かう途中の車道でした

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▲こんなところから出てきた。なんかようわからん

結局、谷になっているところが車道だったので下るだけで良かったわけで。よくわからないけど、何かのタンクがある場所から出てきました。こうして身の安全が確保されるとさっきまでの危機感はなんだったんだろうって思ってしまいますが、これも無事だったから良かったものの、冒頭でも書いた通り、山をなめちゃダメですね。

今回、時間が早く明るかったこと、携帯の電波が通じたこと、さほど大きな山ではなかったこと、こういった要素があって無事に下山することができました。でも、これがホントに知らない山で、地図もなくコンパスもなく、日が暮れて来ていたらと思うとゾッとします。

もうひとつ、山のセオリーとして「引き返す」ということ。これも肝に銘じておきたいと思いました。

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▲ワラーチに深刻なダメージ!致命的だぜ…

そんなわけで、最終的にワラーチがボロボロに。もともとかなり傷んでいたけど、今回のでトドメって感じ。新しいワラーチ、作らなきゃ。