右足の幅がFでした。

サブ6ランナーかく語りき

【読クソ完走文】すいません、ほぼ日の経営。/糸井 重里

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スローライフシンプルライフ、そんなもんクソくらえじゃーぃ!

と、叫びたくなるほど僕はハイセンスな生活に憧れている。

量より質を重んじ、理知的でありながらユーモアがあり、趣味や好みが高尚で、どこか余裕ある振る舞いながらも好きなことには情熱を傾ける…。

実際、そんな生活とは無縁仏もいいとこなのだけど、これを体現しているのが糸氏重里氏であると僕は勝手に思っている。

 

子供の頃、ニュースステーションに出演していた糸井氏が巨人優勝を豪語していたのだけれど、その年、巨人は優勝できなかった。

それで自ら丸坊主になってスポットライトを浴びながら長い反省文を読んだのだ。

「一行一億円と言われる糸井さんにこんな長い文章書いてもらって一体いくらになるのやら」みたいなことを当時キャスターだった久米宏が皮肉っぽく言っていた。

それはさておき、その時に読まれた内容は全く覚えてないけれど、子供ながらにとてもわかりやすく感動したことだけは記憶に残っている。

ハイセンスの体現とは全く関係ない話だけど、そこから糸井氏のアクションには注目するようになり、漠然とこんな風になれたらなぁと、行ったこともない外国に憧れるような気持ちであったのかもしれない。

月日が流れ、僕が社会人になって仕事を任された時、ある企画のコピーライトを糸井氏にお願いできないかと思いついたことがある。

ダメもとでコンタクトを取ってみたところ、その仕事を受けるのは難しいと事務所の方から丁重な返答があり、ダメもとはやはりダメだった。

そんなエピソード程度なのだけど、僕は糸井氏にあこがれている。決して奥さんが樋口可南子だからうらやましいとかじゃあない。

 

さて、本書のはなし。

株式会社ほぼ日の社長を務める糸井氏にジャーナリストの川島氏がインタビューする形式で内容がつづられている。

糸井重里」個人ではなく、会社の経営者としての視点から仕事について組織について人について語られており、著者の優しい言葉使いが印象的だ。

優しいというのは、変に格式張っていたり横文字を多用したり経済人めいた言葉使いではなく、丁寧にわかりやすく記されているということ。

僕のように万年平社員であっても、糸井氏が語る内容にはいちいち相槌を打たざるを得ない。そんな内容だった。

とくに仕事について。

最近、これからの自分の仕事について考えることが多い。

僕はサラリーマンだから会社の営利で動くことが基本になるのだけれど、それでも、ぶっちゃけやりたくないことはやりたくない

というか、もう40オーバーにもなると、仕事のモチベーションとして自分の好きな事や興味ある事という要素が重要になってくる。

もっと平たく言うと、楽しくお金を稼ぎたい

その方向性やヒントとなるものが本書には書いてあった。

とは言え、そう簡単に楽しいお仕事なんてみつからない。

僕は喫茶店が好きだけど、すみっこでコーヒーを飲むのが好きなだけで、別にマスターになりたいわけじゃない。

甘いモノも大好きだけど、パティシエになりたいとは思わない。食べたいだけだ。

だから好きと仕事を組み合わせるのはよほど慎重にならないと本末転倒になる難しい問題なわけで…。

何かこう自分が面白がりながら没頭できる仕事はないものか。

 

この本、タイトルに「すいません~」なんてついてあるあたり鼻につくなと思っていたけれど、糸井氏はそう思う人がいるということも予測済みで、あとがきにタイトル名についても触れている。

しかも「すいません」を引用し、これまたうまいことまとめ上げて、「何がすいませんなのか?」という疑問を見事に解消、僕を含め多くの読者が納得しただろう。

これぞハイセンス。

しかしなんでこんな文章が書けるのか。くそ、ほんとスゴいな。